また次の登山企画を考えた。
今までの登山はこういう流れだ。
・第1回 棒ノ折山(969m):前半が沢登り、後半に木の階段が多い。霧の中の幻想的な登山となった。
・第2回 般若山(400〜500m):急登の岩山。初の岩場にドキドキ。日が暮れて途中で引き返して敗退。
・第3回 金勝山(264m)&官ノ倉山(345m):20分で登頂可能な低山ながら、街に面して眺めは良い。
・第4回 二子山(1166m):般若山を軽く超える危険度MAXの岩山。川やんとフッチーの二人が西岳尾根を完全走破!
沢、岩、楽、超岩ときてるので、次は岩はやめておこう。2回続けて命賭けではエスカレートする一方だ。
と言って、楽過ぎる場所だけのために、わざわざ遠出するのも面白くない。
今までは埼玉の山ばかりなので、そろそろ他県の山も行ってみたい。
僕と同じく千葉に住むナカシマンが般若山以来の参加となったので、千葉の山にしてみようか。
千葉の山は、高くても標高が400m程度なので、標高を稼ぐよりも距離を稼ぐことになりそうだ。
距離を稼ぐにしても、複数の山を組み合わせるしかない。
だとしたら、山を捨てて沢歩きをメインに考えてみるか。
ちょうど良さげな沢が、千葉にはあった。
その名は、梨沢。
梨沢の奥には七ツ釜という淵が点在する。
ネットで調べると、淵の深さは腰上程度。落ちても足が付く。
急流もなく、穏やかな沢を歩いていくようだ。
第1回の棒ノ折山も沢登りだったが、その時は沢に入らなくても登れた。
今回は、あえて沢に入って歩く企画である。
参加者は5人。
前回二子山で大活躍したエースの川やん、西岳で引き返した落ち武者の僕と慎重派ホリー、千葉在住のナカシマン、そして急遽ナカシマンの後輩のモンドリーが連れ出された。
モンドリーは初参加で、普段運動もせず登山も自信ないとのことだが、最年少なので活躍に期待だ。
予定日は6月7日の日曜日。
だが、数日前から大雨が続き、日曜当日も雨の予報。
予定が流れると思っていたが、前々日の金曜夜には、雨は日曜午前までとの予報に。
(どうせ沢で濡れるし、小振りなら行っちゃうかな〜)
悩んでいると、前日土曜の朝には雨がやんだ。
そして、日曜の予報は、曇り、気温27℃になった。
(行ける!)
雨の後なので沢の状態が心配だが、気温も高く、濡れて凍えることもないだろう。
寝不足が続いてたので、今回はたっぷりと睡眠を取ろうと思っていたが、バイクの音で目が覚めて3時間しか眠れず。
出掛ける時はいつも寝不足だ。
6時45分、僕は車を運転して出発。
今回の目的地は千葉県内なので、僕は遅めの出発で大丈夫だ。
都内から電車で来るホリーと川やんを拾うために、船橋駅へ向かう。
7時半、船橋駅にホリーが現れる。
ホリーが車に乗り込むと、少し酒臭い。
「ちょっと夜更かしをしてしまいまして…」
昨夜は、深夜までサッカー日本代表の試合を観ながらビールを飲んだとのこと。
僕と同じく寝不足のようだ。
続いて川やんも船橋駅に到着。
車に乗せて出発するも、車内にビールの匂いが漂う。
「ちょっと酒臭いから窓開けますか〜」
僕が言うと、
「あ、やっぱ分かります?」
川やんが答える。
酒を飲んでたのはホリーのはずなのに!?
「昨日、遅くまで飲んじゃって、あまり寝てないんですよ。まだ酒が残ってるかな」
なんと川やんも飲んでいた!
「なんだ、俺が酒臭いかと思ってたら、二人ともかい」
ホリーも驚く。
寝不足3人組みが車窓から酒の匂いを撒き散らしながら、8時に千葉市内でナカシマンとモンドリーと合流。
高速に乗って一路南に、房総半島へ。
「僕、千葉に長らく住んでるのに千葉市内より南に行ったことないんですよ。楽しみだな〜」
ナカシマンの初房総だ。
川やんとナカシマンの会話が弾んでいる内に、風景は工業地帯から緑に変わった。
千葉の山は低いので、見渡す限り丘のように緑が連なる。
曇りの予報だったのに空は青く、房総半島のイメージも良くなる。
木更津を過ぎて君津市で高速を降り、国道127号を南へ。
右手に海が見えたので、寄り道。

9時半、上総湊駅付近の浜辺で休憩。
海域は東京湾の出口の浦賀水道で、横須賀市が10km向こうの対岸に見える。

海へ向かって竿を構える釣り人も多い。
「千葉市内の海とは違いますね〜」
海を離れて内陸部へ。
川を渡って小道に入っていくと、カーナビに道が表示されてないが道は続いている。
これでは道を間違っても気付かないが、まぁ川沿いに行けば目的地だろう。
僕らはその川の上流へ登ってくのだから。
民家のある集落を抜けると、何も建物がなくなった。
かなり山奥まで来たかと思っていると、また集落が現れる。
その集落が、さっきの集落より栄えてたりして不思議だ。この先は林道しかないのに。
目的の梨沢集落に着く。
車を停める場所を探して走るが、路肩が狭い場所ばかりで、路駐したら他の車の通行に支障をきたす。
民家のない方へと坂をどんどん登っていくが、路肩がない。
あまり登ると、あとで沢に降りなければいけないので、面倒になる。
ようやく路肩の拾い場所があったが、地元の人たちが路肩の草刈りをしてる。
邪魔になるかと思いつつ、駐車可能か聞いてみた。
「ああ、いいですよ。私らも休憩すっから」
おじさん達の許可が出た。
10時、車を停めて身支度を整える。
「沢に行くなら、そっちから降りるといいよ」
おじさんが道を教えてくれた。
道を降りていくと神社があり、地元の人たちが集まっている。
除草作業の休憩中なのだろう。
「こんにちは〜」
よそ者の僕らは挨拶をする。
「どこまで行くん?」
「七ツ釜まで行こうかと」
「ええ?けっこう遠いよ〜」
地元の人が一瞬驚いた表情をした。
七ツ釜とは一体どういうとこなのだろう?
「鮎とかいるかもな」
「イノシシ出るから気を付けろよ」
う〜む、どんな沢なのだろう?
「まぁ、神社でお参りしてけや」
「はい、そうですね」
僕らが神社の境内に入っていくと、社殿の階段におじさん達が腰掛けている。
僕らはおじさん越しに神社に手を合わす。
「あれ?俺らが神様かい?」
コントの様なやり取りの後、僕らは神社の横手から沢に向かって降りていった。
ある程度降りていくと、登り坂。
この短い登り坂で、僕とホリー、初参加のモンドリーが息切れ。
この先に不安を感じさせる。

坂を登って狭いトンネルを抜けると、梨沢近辺の案内図があった。
案内図の前に駐車スペースがあり、ここまで車で来れるようだが、トンネルは狭いし、地元の人用だろう。
ルートを確認して、さらに下っていく。

雨の後のせいか道はぬかるみ、数人が危うく転倒しかける。
こんなんで沢歩きが出来るのだろうか?

「お、やっと沢に出ますよ!」
ナカシマンが声を上げて盛り上げる。
薄暗くぬかるんだ木々の下から、光溢れる沢の世界へ!

…と思ったら水田だった。
沢はもう少し下にあるっぽい。
「誰ですか、沢って言ったの〜」
〜続く〜





























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