ある日、友人の小野君が、意を決して車を購入する事にした。
僕の実家の車は、古い三菱パジェロと、新車の日産レグラスがあった。どちらもデカい四駆車だ。
さらに、別の友人の西沢君がHONDAの車、マナブ君がMAZDAの車を持っていた。こちらはどちらもスポーツタイプ。
小野君は、まず四駆にする事を決めた。形も好みだったが、田舎の長野に行くのに雪道も考慮したからだ。

仲間内ではいない、TOYOTA車のRAV4が候補に挙がった。
他にも、テリオスキッド、CR−V、RVR、ジムニーワイドなどがあったが、排気量が2000cc以上でないと気になる、馬力がいくつないと心配だ、などとどうでもいい事にこだわり、CR−Vも捨てがたいが、3ドアの選べるRAV4に落ち着いたのだ。
まぁ車を買う時は、些細なデータも気になるものである。そうそう買える代物ではないからだ。
ちなみに僕は車を買った事がない。
小野君は千葉県柏市在住だが、知り合いのツテで、埼玉県狭山市のTOYOTAのディーラーでの購入を検討する事になる。
自宅からは遠いが、少し安くしてもらえるかもしれないからだ。
狭山に向かうのに、足として僕の家のレグラスで行く事になった。
小野「悪いけど、一人じゃ心細いから付いてきてよ」
僕「うん、いいよ。ドライブがてら行ってみよう」
狭山行き当日、僕の家のレグラスで、小野君に近所を運転させてみる。免許を取ってから、随分とハンドルを握ってないからだ。
僕「このレグラスは、アクセルを少し踏むだけですごい加速するんだ。ディーゼルターボで低速トルクがあるから。踏みすぎないようにね」
小野「ふ〜ん、そうか・・・」
そこで急加速するレグラス。
小野「危ねっ!急発進しすぎだよ〜」
僕「ねっ?ヤバいでしょ、この車のパワー」
小野君はすぐに僕に運転を代わり、狭山へ向かった。
狭山市は所沢市の北西、入間川流域に位置し、狭山茶で有名だ。茶畑がたくさんある。
狭山に着くと、すぐTOYOTAのディーラーに赴き、商談が始まった。
僕は待ってる間、いろんな車のカタログを片っ端から取って見ていた。ちなみに僕は車を買う気は全くない。
後で、取ってきたカタログを見ると、有料のカタログもあった。僕はかっぱらいだったようだ。
とりあえず小野君と共に、展示してあるRAV4の実物を見せてもらう。
3ドアだから後部座席は狭い。
僕と小野君で並んで乗ってみて広さを確認する。もちろん僕の手にはカタログいっぱいだ。
僕が後部座席を倒したいと言う。
セールスマンの方が座席を畳んでくれる。
畳んだ状態での、ラゲッジルームの広さを確認。これなら荷物も積める。
座席を立てると、ほとんど荷物は積めないが、小野君は、まぁ4人で遠出する事もないだろうと納得。
RAV4を確認後、隣に展示してあるラウムという車種も見せてもらう。
1500ccのラウムは後部ドアが左右ともスライド式で広かった。小野君と並んでも、もう一人は十分に乗れる。
僕「ラウムいいねぇ」
小野「こりゃ広いわ」
セールスマン「え?ええ、そうですね・・・。ラウムはご家族などいらっしゃると便利ですよ」
RAV4からラウムに乗り換え兼ねない客に焦るセールスマン。RAV4の方が60万くらい高い。
ドアを開けたり閉めたりして楽しんだ後、ラウムを降り、さらに隣のスプリンター(カローラ)へ。
こちらも後部座席に二人並んで乗るが、5人乗るには狭かった。
小野君は、やはりRAV4でいく事は変わりなく、見積りも出て、すぐ契約に至った。
もっと値引きをゴネた方が良かったのだろうが、狭山も遠いし、いろいろ策を練るのも面倒だったし、ほぼ予算通りだったので、その場で契約した。
帰り道、狭山市の側にゴーカート場があったので行ってみたが、休みだった。
本で調べて行ったのに残念だった。
仕方ないので、帰りがてら狭山市の隣の川越市の喜多院というお寺に行ってみる。
川越市は、蔵の街だった。
昔の面影を留めているのだろう。道も一方通行だらけだ。
喜多院が見えてきた。
一方通行を曲がる。
喜多院が遠ざかる。
大通りに出た。
国道だ。
国道に出ちゃ行き過ぎだ。
また引き返す。
喜多院が見えてくる。
一方通行の通りに進む。
喜多院が遠ざかる。
どうやら、うまく道を進まないと喜多院には辿り着けないらしい。
回って巡って、やっと喜多院の前に来る。
『4:30閉門』
今、まさしく4:30だった。

僕「なんでだ〜。せっかく着いたのに〜」
小野「残念だったな。ゴーカートもやってなかったし」
喜多院を諦めて帰る。
途中、SUZUKIのディーラー、三菱のディーラー、ダイハツのディーラーに寄り、いろんな車種を見る。
でも、もうRAV4を買ったあとだ。あまり意味はない。
喜多院が観れなかった腹いせか。
帰りに浦和市を通ったが渋滞。
小野「ここ、浦和レッズの本拠地だな。前に行ったカシマスタジアム、市原スタジアムに続いて3チーム目だ」
僕「Jリーグ巡りするか・・・」
さて、お流れになったゴーカートだったが、実は川口市にもゴーカート場があるのを、僕は本で確認してきていた。
狭山か川口のどちらかに行ければいいなと考えていたのだ。
そこで浦和を抜けた後、遠回りになるが川口市内を通って帰る事にする。時刻は夜の9時を過ぎていた。
地図でゴーカート場がある辺りに来る。その辺を回ってみるが、ゴーカート場は見当たらない。
道をローラー作戦のように走ってみるが、ゴーカート場は見つからない。
そのうち、一軒の大きな建物に気付く。明かりは灯ってない。
看板も何も出てないが、ゴーカートが入るとしたら、その建物しかなかった。
僕「こ、これは・・・」
小野「あぁ、どうやら・・・」
ゴーカート場は潰れていた・・・。小さくゴーカート場と分かる文字も見えた。一ヶ月前に出版された本に載ってたのに潰れていた。
なんとも、僕と小野君のコンビで出掛けると、目的地に辿り着けない事も多いのだが、ここまで完膚なきまでに叩きのめされた事はない。
そのRAV4も先月ナビゲーションが付き、ますます愛車として小野君のお気に入りになっている。