2006年09月28日

Drive物語・東北編8 〜ああ松島や〜

仙台の朝、僕は目覚めた。
時計を見ると、7時12分。
7時集合だ。僕は慌てて顔を洗って集合場所に向かった。

ホテルの1階がロイヤルホストになっていて、そこで朝食を摂る予定だ。
ロイホに入ると、みんな揃ってすでに食べている。
「おはよう、寝坊したよ」
「そうなの?珍しいね。またどっか遊びに行ってるのかと思ったよ」
僕は旅先では朝は早起きして、散歩などで外出したりしてるのだが、今回は大寝坊である。
仕事帰りから始まった徹夜のドライブと昨夜の酒が堪えたのだろう。

みんな先に食べ終わり、出発の用意のために自分の部屋に戻って行った。
僕も急いで朝食を済ませると、部屋に戻って昨晩散らかした荷物をまとめ始めた。
部屋の窓から見える景色はすぐ隣りのホテルだったので残念だ。
もし向こうのホテルの誰かがカーテンを開けたら、あいさつでもしなければいけない距離である。
僕がロビーに下りていくと、もちろんみんな集まっていた。
「さぁて、行こうか」

時刻は8時。
向かうは日本三景の一つ、松島である。
うまく行けば、9時の遊覧船に乗れる。
1時間で松島を回って、また仙台に戻り昼食を済ませ、高速を使って目的地の一つである、秘境にある温泉に向かうつもりだ。

ところが、仙台の街は渋滞していた。
(これは9時出発の船には乗れないな。…となると、その後の予定も考え直さないといけない…)
また今日も、却下しまくる日なのかと嘆く。

渋滞に紛れてゆっくりと海岸方面へ向かってゆく。
ぜんぜん松島の気配がないが、山を登ると視界が開け、松島が見えてきた。
「お〜、松島見えた〜」
「でも、渋滞が連なっているのも見えた〜」

松島へ.jpg

9時半頃になってようやく駐車場に入れた。
船着場へ向かうと、遊覧船が桟橋に戻ってきた。
降りる客と入れ違いに乗船する。
遊覧船は2階建てで、1階は眺めが悪いので別料金を払って2階に上った。
座席に着くよりは、外に出てた方が気分いいので船後方の甲板に出る。
しばらくすると遊覧船のエンジンが震えだし、出航した。

船内には売店があり、何故かかっぱえびせんばかり売っている。
「ウミネコがエサをもらいについてくるんだよ」
NK君がそう言ったので周りを見てみると、僕の周りにはかっぱえびせんを持った人がいっぱいいた。

そのえびせんを狙って、ウミネコがどこからともなく飛んできた。
10羽とかではない、何十羽ものウミネコが遊覧船の後についてくる。

松島.jpg

誰かがえびせんを投げた。
投げられたえびせんは、ウミネコのくちばしに収まった。
誰かがえびせんを手に持って高くかざす。
掲げられたえびせんを、ウミネコが抜き取っていく。
(こりゃあ面白いな)

誰かが子供にえびせんを持たせて、掲げさせた。
「怖いよ〜」
子供は泣きそうで、すぐに手をすくめてしまう。
ウミネコは、そんな子供からは貰わない。
もっと食べやすいえびせんを見付けてついばんでゆく。

ウミネコの目を見ると、ハンターの目をしていた。
これは僕もトライしなければなるまい。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 03:18| Comment(2) | Drive物語U

2006年09月27日

Drive物語・東北編7 〜仙台の夜〜

久しぶりに運転するNK君を雨が襲いつつも、高速道路で仙台市内に入る。
仙台に入る前に雨はやんだが、まったく、この旅行中はよく雨が降る。

初めて訪れた仙台に、僕はキョロキョロしていた。
思ったより栄えている。G.W.に行った四国の都市とは大違いだ。
だが、栄えていることが良いとは言えない。旅行者にとっては、情緒が感じられないからだ。
その点、県庁所在地に城のある四国はかなり良かった。

ベガルタ仙台のスタジアムを右手に見ながら、仙台市内を縦断していく。
『ベガルタ』とは、七夕に織り姫『ベガ』と彦星『アルタイル』が出会うということからの合体名だ。
僕らが来る1週間前には、名物の仙台七夕まつりが行われている。
まつり中は人出も多くなり、宿泊代も千円以上高くなっていた。

せっかくの七夕まつりを外して仙台にやってきた僕ら4人だが、今夜宿泊する予定のホテルに向かうも、なかなか見付からない。
久しぶりの運転のNK君に仙台駅周辺をグルグル回らせて、やっとホテルに辿り着いた。

部屋に荷物を置くと、さっそく飲みに出た。
狙いは、名物の牛タンである。
だが、僕は牛タンが好きではなかった。しかし、牛タンに期待する他の3人には言えるはずもない。

仙台駅.jpg

牛タンの前に、駅ビルのデパートまで酒を買いに向かった。
目的の一つ、東北の地酒などを買っておくためである。
試飲しながら銘柄を選び、4人それぞれに日本酒を買った。

試飲してのほろ酔い加減で牛タン店を探すと、そこいら中牛タン店だらけだった。
しかし、店はどこも混んでいて、なかなか良い店が見付からない。
ようやく店を探し当てて入った。雑誌に載っていたお店だ。

とりあえず、ビールと牛タンを注文する。
「すみません、牛タンが切れていまして…」
「え?……」

なんと目的の牛タンが在庫切れだった。
僕的には牛タンがなくても構わなかったが。

「では、こちらの刺身をお願いします」
「それも切れてまして…」
「え?……」

僕は魚介類もそんなに好きではないので構わなかったが。

「では、こちらのおつまみを…」
「それも切れてまして…」
「え?……」

何もかも在庫切れである。

「では、何ができるのですか?」
「こちらの、イカのおつまみが一品だけできますが…」
「何もないなら、入る前に一言いって下さいよ」
温和なNK君が少し怒った。
もう僕の食べるものはなかった。

仕方ないのでビールだけ飲んで店を出た。
僕とRA君が店を出るも、NK君らが出てこない。
RA君が店の方を覗き込む。
「NK、怒って交渉してるのかな?」
「しかし、何も注文できないのはひどいね」
僕もガックリだ。

NK君が出てきた。
店の計らいにより、格安で会計を済ませたようだ。ナイス!

気を取り直して、他の店に入った。
そこで牛タンをたらふく食べた。
僕も恐る恐る牛タンを食べてみたが、美味しかった。
「いや〜、牛タン美味しいね」
仙台に来るまでは、焼肉店の牛タンを想像していたのだが、仙台の牛タンはタレに漬けてあって味が滲みてて美味しい。
僕はコロッとスタンスを変えた。

途中、店の中が急に盛り上がった。
店のおばちゃんが言った。
「今日、ベガルタ勝ったからビール半額だよ」
「お〜っ!やった〜!」
僕らも盛り上がった。
さすが仙台だ。ベガルタの活躍を喜んでいる。
ちなみに、僕らは僕らの地元の柏レイソルのファンだ。

食べも食べたが、飲みも飲んだ。
その割りに、会計は意外に安かった。良い飲みだった。

「帰りにラーメン食べたいね」
NK君が言った。
「え〜!?」
僕と小野君はお腹いっぱいだった。
「いいね」
RA君もまだ食べれるようだ。
しかし夜も遅く、ラーメン店も見付けられなかったので、カップラーメンをそれぞれ買ってホテルで食べることにした。

ホテルの部屋に戻ると、僕はノートPCでこのブログを書こうとしたが、酔いと満腹と睡眠不足で意識朦朧として何も書けない。
考え事をしている内に時刻は1時を回った。
(座ってぼんやりしてても時間の無駄だな…)

僕は、栗駒の温泉の匂いを落とそうと部屋のお風呂に入った。
せっかくなので石鹸を入れて、普段やらない泡風呂にしてみた。
これなら匂いも落ちるかもしれない。

(いい湯だな〜………)
湯舟で寝そうになった。
風呂から出ると、すぐにベッドに横になった。
時刻は2時を回った。
明日は7時集合だ。6時半には起きないといけない。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 05:08| Comment(4) | Drive物語U

2006年09月26日

やっと帰宅〜

9日振りに帰宅した。
もう夜は寒い。夏は終わってしまったようだ。

夏のことで、いろいろ書こうと思っていたのだが、なんかあまり書く気がなくなってしまうな…。

電車の中で座って寝てたら、左の人にもたれかかりそうになったので、左に傾かないように意識したら右の人にもたれかかってしまった。
前に傾けばいいのだが、大荷物を抱えていると前にはいけない。
そうすると後ろに傾いて窓に後頭部をぶつけてしまう。

前に、電車内で座って寝ている人がお互いもたれかかっているのを見た。
互いに傾いていって、最後はガツンと頭をぶつけ合って目を覚ます。
笑わずにはいられない。
ニックネーム SNJ at 23:54| Comment(0) | 日記

2006年09月18日

夏も終わり

最近、3週間ほど全然動かなかったので3kgほど太りました。
夏にかけて5kg以上減った体重も逆戻り。
このペースでは前より重くなるかも…。
しかも触って分かるほど筋肉は落ちている…。

今年2月の友人の結婚式のDVDに映っている自分を観て、どこのデブかと思いましたが、それに逆戻りするわけですな。

これから冬にかけては、大量の汗をかくこともないし、食事を減らしていくしかなさそうです。

憂鬱だ…。お菓子でも食べるかな〜。
ニックネーム SNJ at 02:46| Comment(5) | 日記

2006年09月13日

Drive物語・東北編6 〜栗駒高原から仙台へ〜

栗駒山荘の眺望の良い露天風呂でのぼせた後、僕は栗駒高原の牛乳というものを飲んでみた。
搾りたてではない普通のパックの牛乳だ。
脂肪分は3.8%以上と表記されている。

飲んでみると、とても美味しい。
風呂上りと高原の眺望もあるかもしれないが、何とも甘味があって美味しかった。
もっと飲みたかったが、この後は仙台市内に向かわなくてはならないので、あまりのんびりもしていられない。
RA君の愛車パジェロioに乗り込むと、RA君は愛車の舳先を仙台に向けて出発した。

「さぁて、とりあえず温泉にも入ったし、あとは仙台に行って飲むだけだな」
いろいろと目的地を却下してきたこの旅だったが、ようやく予定通りのスケジュールになってきた。
多少、車の中が硫黄臭いが致し方ない。

RA君が山道を飛ばす。
愛車パジェロioは、RA君の操舵に従って舳先を右に左に向けながら山道を下っていく。
上りは4人搭乗で重かったのもあって時間がかかったが、下りは勝手に加速していくから早いのだ。

「バイバイ、栗駒高原」

………。
…何かがおかしい…。何かが…。
パジェロioは山道をどんどん進んでいく。

「あっ!道を間違えてる!」
パジェロioの舳先は仙台に向いていなかった。
「この道は北上したあと、山を迂回して南下して鳴子温泉の方を抜けていく道だ。仙台にいくなら1時間以上遠回りになるよ」
「そう言えば、看板に書いてあった」
「早く言ってよ〜」
本来は、鳴子温泉も立ち寄れたらいいと思っていたが、早い段階で却下したのだ。
パジェロioはまた栗駒に逆戻りだ。
かなり下ってきたので、もちろんかなり上る。
20分以上のロスになった。
しかし、時間のロスより怖いものが待っていた…。

正しいルートに乗って、また山道を下っていた。
RA君は右に左にハンドルを切る。
時間のロスを取り戻すためか、下るペースも早い。
時に対抗車線にはみ出しても、早いペースを保った。もちろんミラーで対向車が来ないのを確認している。

RA君は運転に集中して無言になっている。
助手席のNK君は少しうとうとしている。
後部座席では、僕と小野君が移ろいゆく山の景色を見ていた。

左にガードレールが見えた。
右カーブだ。
対向車は来ない。
RA君が減速して右にハンドルを切り、ガードレールに沿って曲がっていく。
ガードレールが近付いてくる。
ガードレールはなおも近付く。

僕は運転手のRA君を見た。
(寝てやがる!?)
僕はガードレールを見た。
(ぶつかる〜!…って声を掛けたら、RA君は驚いてハンドル操作を誤るかもしれない)
僕は極めて冷静な声でRA君に声を掛けた。
「危ないよ」

「あっ!」
RA君がハッと気付いてガードレールへの衝突は避けられた。
「危なかった〜。今、目を開けたまま気を失ってたよ」
やはりRA君は一瞬寝ていたようだ。
昨夜は寝てないも同然だし、栗駒高原への険しい山道で神経をすり減らして疲れていたので仕方あるまい。
温泉でものぼせてた事だし、車中の硫黄臭で意識朦朧となったのもあるかもしれない。

栗駒でパジェロ.jpg

「疲れたら自主申告だからね。疲れたら代わるよ」
小野君がそう言って運転を交代した。

小野君の運転で無事に山を下り終え、高速道路からはNK君に運転を代わった。
NK君は久しく運転していなかったので、昼間の高速道路担当ドライバーになった。
「久しぶりの運転だから緊張するな」
高速に乗ると、そう言うNK君をあざ笑うように雨が降ってきた。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 04:52| Comment(4) | Drive物語U

2006年09月04日

散歩中の犬

少し前、夏真っ盛りの頃の事だ。
散歩中の犬が、日陰になる道端で伏せて休んでいた。
犬種は小型犬のテリアっぽい長毛種だ。
毛が長いので、暑さもより一層堪えるに違いない。

暑さもあるし歩き疲れたのだろう、伏せたままハアハア息切れしている。
その横で飼い主のおじさんが、散歩のリードを持って所在なさげに佇んでいる。

おじさんはリードをクイッと引っ張る。
紐がピーンと張る。
犬は動かない。

よく見てみると、伏せている犬は前後の足を投げ出して伸ばしている。
横から見るとスーパーマンのポーズ、上から見ると「H」の形で伏せているのだ。
これでは小型犬ながら、最大限の接地面積を作り出しているので、摩擦も最大になり、おじさんが少し引っ張ったくらいじゃ動かない。
接地面積が広いということは、アスファルトへの放熱効果も高いということだ。

日陰のアスファルトは少し冷たいのだろう。
犬は日陰に伏せているが、おじさんの顔には日が当たっている。
これでは、おじさんは暑いはずだ。

クイッ、クイッ

おじさんがリードを引く。
リードを見れば、おじさんがこっそり引っ張っているのは分かる。
おじさんは早く行きたいのだ。
犬はチラッとおじさんを見るとまた視線を戻し、前方を見ながらハアハアいっている。

夏の散歩は大変そうだ。
僕はその横を、夏の日差しを浴びながら自転車でゆっくりと通り過ぎていった。
ニックネーム SNJ at 23:51| Comment(2) | 街角・日常編

2006年09月03日

隣の電車

電車が駅に停車している。
僕は、その電車内の、ホームとは反対側の開いてない窓の側に立っている。

僕の乗った電車とは、ホームを挟まない側のすぐ隣にも電車が停車している。
僕の乗っている電車とは反対方向の電車だ。
その車内をひとりの女性が歩いていた。
僕が窓から見ている視界の中心にその女性が入ってきた。

その時だった。
女性が急にその場で足踏みを始めた。
僕の目の前、ガラスを2枚挟んだ向こうで、女性がその場で足踏みをしているのだ。

…と思ったら、隣の電車が動き始めたのだった…。
つまり、女性は車内後方に向かって歩いていたのだが、電車が前に動き始めたため、僕の目からは女性がその場で足踏みをしているように見えたのだ。

僕の目で女性を絶対的に見ていたからそういう認識をしたのだが、相対的に見れば何のことはない。

電車が加速するにつれ、女性は少しずつ後ろに下がっていく。僕の目から見てだが。

(頑張れ、あんた後ろに下がってるぞ)

僕の応援も空しく、やがて女性はものすごいスピードで後ろに下がっていった。前に進んでいるはずなのに。

そうこうしている内に、僕の電車も動き出した。
車窓を夏の風景が流れていった。
ニックネーム SNJ at 23:55| Comment(0) | 街角・日常編

電車の中の親子2

夏も終わりが近付く、ある日の朝。
電車に乗ると、席が空いていた。
二人ずつ向かい合って座るボックスタイプの席だ。

ボックス席の窓側にメガネを掛けた母親が座り、その膝上に1歳児を乗せている。
そしてその向かいに6、7歳の女の子が座っていた。
僕は通路側の席に座ることにした。
「すいません、横座っていいですか?」
僕は女の子の隣に座っていいか尋ねた。
「どうぞ」
母親が了解する。

僕が座ろうとすると、
「リュックは上に載せなさい!」
母親がぴしゃりと言い放った。

「あ、すみません、リュック上に載せます」
僕は自分のリュックの事を怒られたのかと思ってそう言ったのだが、母親はこちらを見ていない。
よくよく見ると、6、7歳の娘もリュックを抱えている。
母親は娘を見て言っていたようだ。

「リュック載せましょうか?」
僕はもう一度、その女の子のリュックを網棚に載せるか尋ねたが、女の子も母親も聞いちゃいない。
「……」
僕は無言でリュックを抱えて座席に着き、そのまま寝るつもりで目を閉じた。

電車はまだ停車している。
しばらくすると、僕の膝に打撃が入った。
目を開けると、お婆さんが僕の向かいに座ったとこだった。
何事もなかったので、また目を閉じた。

電車が出発した。
目は閉じているが、意識はあるので物音は聞こえている。
隣の母子の話しが聞こえた。
「おばあちゃん元気だった?」
「うん、元気だったよ」
推測するにどうやら、夏休みで女の子がおばあちゃんの家に泊まりに行っており、母親が1歳児を連れて迎えにきた帰りなのだろう。

僕は少し意識が遠ざかりかけた。
母親が娘に対して何か怒っている。
なかなか厳しい母親のようだ。
娘が何か言う度にぴしゃりと抑え込む。
それでもめげずに娘は話題を変えてはしゃべる。
話の最後は母親がビシッと言って終わる。

「抱っこする〜」
女の子は1歳児を抱っこした。
「ア〜ア〜」
1歳児はグズりだした。
「もう〜、泣かせないでよ」
母親が1歳児を自分の膝の上に戻した。
1歳児は大人しくなった。

その内、女の子がお菓子を取り出して食べ始めたようだ。
すると、母の膝上の1歳児の女の子が、それを見て羨ましくなったのだろう、グズりだした。
「ア〜、ア〜ア」
「だ〜め」
女の子は拒否した。
「アア〜アァ〜ア!」
1歳児は激昂してきた。
「だ〜めッ」
女の子はなおも拒否した
「アアァ〜!ア〜ッ!」
1歳児は泣き出した。

「○×ちゃんはいくつなの?」
「ア〜ッ!」
「O×ちゃんは何歳?」
「アァ〜アッ!」
「○×ちゃんはこれダメなの」
「アアア〜ァ!」
「○×ちゃんは3歳じゃないでしょ?これはダメなの」
「アア〜!アア〜!」

どうやら、女の子はお菓子の対象年齢が3歳以上とかの事を言っているのだろうが、1歳児には通用しない。
母親が懸命にあやしている。
何とか1歳児は大人しくなった。

「あっ」
女の子は、お菓子のゴミを床に落としてしまったようだ。
女の子はゴミを拾おうとしたが、
「後にしなさい」
母親に怒られた。

僕は、その間ずっと目を閉じていたのだが、やがて意識を失った。
ふと気付くと、何かが足に当たっている。
また向かいのお婆さんの打撃かと思って薄目を開けると、女の子が座席の下に潜り込もうとしていた。

「ああ〜、向こうにいっちゃった〜」
ゴミは床を転がっていったのだろう。
「もう〜、後にしなさい」
母親に怒られた。

女の子は座席の下から出てきて席に座ると、前傾姿勢になり、向かいの1歳児の足に頬ずりを始めた。
「○×ちゃ〜ん」
きっと1歳児の事が大好きなのだろう。
僕の中の設定では、女の子はおばあちゃんの家に泊まりに行ってたので、1歳児に会うのが久し振りに違いない。
凛々しい顔立ちの女の子だ。きっと親元を離れて泊まりに行って成長したのに違いない。

「○×ちゃ〜ん、あったか〜い」
何度も足に頬ずりしては、1歳児を撫でたりしている。
「ちょっと抱っこしてて」
母親は荷物を開けるために、1歳児を女の子に渡した。
また女の子は1歳児の抱っこを試みた。

頬ずりの成果だろうか、今度は1歳児はグズらなかった。
「あったか〜い、あったかいよ〜」
クーラーの効いた車内だ。子供には寒いのだろう。
「ママ〜、○×ちゃんあったかいよ〜」
女の子は不器用な抱き方で抱っこしていた。
1歳児はもう泣かない。

電車は駅に停車した。
僕はそんな光景を最後に横目でチラッと見ると、駅に降り立った。
駅の喧騒と、まだ衰えぬ夏の暑さが僕の身体を包んだ。
ニックネーム SNJ at 03:38| Comment(2) | 街角・日常編