時計を見ると、7時12分。
7時集合だ。僕は慌てて顔を洗って集合場所に向かった。
ホテルの1階がロイヤルホストになっていて、そこで朝食を摂る予定だ。
ロイホに入ると、みんな揃ってすでに食べている。
「おはよう、寝坊したよ」
「そうなの?珍しいね。またどっか遊びに行ってるのかと思ったよ」
僕は旅先では朝は早起きして、散歩などで外出したりしてるのだが、今回は大寝坊である。
仕事帰りから始まった徹夜のドライブと昨夜の酒が堪えたのだろう。
みんな先に食べ終わり、出発の用意のために自分の部屋に戻って行った。
僕も急いで朝食を済ませると、部屋に戻って昨晩散らかした荷物をまとめ始めた。
部屋の窓から見える景色はすぐ隣りのホテルだったので残念だ。
もし向こうのホテルの誰かがカーテンを開けたら、あいさつでもしなければいけない距離である。
僕がロビーに下りていくと、もちろんみんな集まっていた。
「さぁて、行こうか」
時刻は8時。
向かうは日本三景の一つ、松島である。
うまく行けば、9時の遊覧船に乗れる。
1時間で松島を回って、また仙台に戻り昼食を済ませ、高速を使って目的地の一つである、秘境にある温泉に向かうつもりだ。
ところが、仙台の街は渋滞していた。
(これは9時出発の船には乗れないな。…となると、その後の予定も考え直さないといけない…)
また今日も、却下しまくる日なのかと嘆く。
渋滞に紛れてゆっくりと海岸方面へ向かってゆく。
ぜんぜん松島の気配がないが、山を登ると視界が開け、松島が見えてきた。
「お〜、松島見えた〜」
「でも、渋滞が連なっているのも見えた〜」

9時半頃になってようやく駐車場に入れた。
船着場へ向かうと、遊覧船が桟橋に戻ってきた。
降りる客と入れ違いに乗船する。
遊覧船は2階建てで、1階は眺めが悪いので別料金を払って2階に上った。
座席に着くよりは、外に出てた方が気分いいので船後方の甲板に出る。
しばらくすると遊覧船のエンジンが震えだし、出航した。
船内には売店があり、何故かかっぱえびせんばかり売っている。
「ウミネコがエサをもらいについてくるんだよ」
NK君がそう言ったので周りを見てみると、僕の周りにはかっぱえびせんを持った人がいっぱいいた。
そのえびせんを狙って、ウミネコがどこからともなく飛んできた。
10羽とかではない、何十羽ものウミネコが遊覧船の後についてくる。

誰かがえびせんを投げた。
投げられたえびせんは、ウミネコのくちばしに収まった。
誰かがえびせんを手に持って高くかざす。
掲げられたえびせんを、ウミネコが抜き取っていく。
(こりゃあ面白いな)
誰かが子供にえびせんを持たせて、掲げさせた。
「怖いよ〜」
子供は泣きそうで、すぐに手をすくめてしまう。
ウミネコは、そんな子供からは貰わない。
もっと食べやすいえびせんを見付けてついばんでゆく。
ウミネコの目を見ると、ハンターの目をしていた。
これは僕もトライしなければなるまい。
〜続く〜


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