2005年11月03日

Sporting Chance2 剣道なんか(前編)

「剣道なんか、でけんどー」
そう言いたい気分だった。

僕は幼少時、妹より体力が劣っていると、よく親から言われたもんだ。
そんな不甲斐ない僕に、父は剣道をやれと勧めてきた。
父自身、剣道をやっていたので、子にもやらせたかったのだろう。
しかし、小学校低学年だった僕は、「4年生になったらやるよ」と逃げていた。
剣道などという、竹刀で引っ叩き合う競技は真っ平御免なのである。

いざ、4年になると習字を習いに行った。剣道から逃げるためだ。
「中学になったら剣道やるよ」
そう引き延ばして、いよいよ中学生になった時には卓球部に入った。
これで、剣道からは逃げる事ができたのである。

中学の体育の授業で剣道があったが、数回さらっと流して終わったので助かった。

やがて高校生になると、そんな僕の前に再び剣道が姿を現した。
体育で必修科目として、1年間やらなければならなくなったのである。

竹刀の振り方から、防具の付け方、礼の仕方まで本格的に習う。
1学期は基礎、2学期は打ち合いなどの応用、3学期は対人戦を行うとの予定。
気が遠くなった。(なんで人と剣道で対戦しなきゃいけないんだ?)

1学期。
蹲踞(そんきょ)という、つま先立ちで座りながら竹刀を振るトレーニングをやらされる。
これが、かなりキツイ。
僕は中学の時にヒザを悪くしてるので、そういうトレーニングが殊更つらい。
防具は汗の臭いが染み付いている。
こんなんで剣道を好きになれるはずもない。

2学期。
人に対して打ち込む練習だ。
右から左から打ち込む。
それを竹刀で受ける方も怖い。
互いに素人だから、リズムが狂ったら頭を打たれる。防具は付けてない。
僕は適当にやっていた。
(つまらないな〜剣道なんて)

3学期。
いよいよ対人戦だ。
一人が7戦ずつ戦うスケジュールで、毎週、授業ごとに一人ずつ戦っていく。

一人目との試合、あまり長引かない内に負けた。
長引いて痛い思いをしたらイヤだし。
二人目も負けた。相手の岡本君はすごい速さで竹刀を振ってくる。
勝てるはずもない。

そして、三人目の平川君。180cm以上あり、ガタイも良い。元陸上部だ。
試しにこちらも攻撃してみた。
僕の面が決まった!
「痛って〜」
平川君がそう呟きながら、ものすごい形相で睨んでいる。よほど、僕の面が痛かったのだろう。
素人だから、キレイな面ができず、頭頂部に深く入ったのだ。
なんかとっても怖いので、ワザと負けた。
これで0勝3敗。

四人目は弓道部の前田君だ。
僕は試合開始と共に、面を打つと見せて、胴を打った。
初めて使ってみたフェイントが通用した。
前田君は、まさか僕が試合開始と同時に攻撃してくるとは思ってなかったのだろう。
二本目も、面を打つと見せて胴…と見せて面が決まり、僕が取った。
スパンと入ったので前田君は一本取られたのに気付かず攻撃してきた。
「いつの間に取られたんだ?」
前田君は不思議がったが、素人なので声を張り上げずに攻撃してたので無理もない。

四試合目で初めて勝った…。
意外だった。
(僕でも勝てるんだ…)
少し剣道が面白く感じた。

五人目は元バスケ部の白石君。動きが速い。
またも僕がフェイントをかけ、面を取った。
「痛ってェな〜」
どうやらまた、頭頂部に入った様だ…。

二本目は白石君は、こちらを場外に押し出す作戦にきた。
あまりに押してくるので、僕は白石君が怒ってるのかと思った。
2回場外に押し出され、白石君が一本取ったことになった。
(そうか、押し出されちゃいけないんだ)

三本目も白石君は押してきた。
僕も押し返したり、互いに打ち合ったりしたが、勝負はつかない。
渾身の白石君の押しがきた。
僕はそれに合わせて引きながら胴を打った。
場外に出ながらの胴だったため、無効かと思ったが、僕が一本取っていた。

これで2勝。
さらに剣道が面白くなった。

六人目は隣のクラスの、「イカンガー」というあだ名の野球部員。
何故、そんなあだ名なのかは知らないが、当時のマラソン選手「イカンガー」の様に、豊富なスタミナで、竹刀のラッシュを仕掛けてきた。
あまりのラッシュに僕は防戦一方。
周りで見てる人も笑っている。それくらいのラッシュだ。
でも、面ばかり狙ってくるので、防御はしやすい。

やがてイカンガー君は疲れた。
ラッシュがやんだのだ。
そこに僕が一撃を振り下ろした。

ガチン!!!

「うっわ〜!!」
イカンガー君は床に崩れ落ちた。
「イテテテテテ…」
かがみ込んで頭をさすっている。
どうやら、今までで一番の会心の一撃が出たようだ。
周りの友達たちもどよめいた。

二本目はイカンガー君は、もう近寄ってこなかった。
僕が面を打とうとすると、過敏に逃げる。
(そんなに痛かったのか…。悪いことしたな)
ラッシュをなくしたイカンガー君は怖くはなかった。
二本目も僕が取り、これで3勝3敗となった。

果たして勝ち越せるのか…?

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 00:45| Comment(2) | Sporting Chance
この記事へのコメント
スポーツチャンバラやりたくなりました。
あれ面白そうじゃありません?
Posted by 冬樹 at 2005年11月03日 09:35
確かに面白そうです。
あの競技、技として、横に倒れこみながらスネを打つというのもありました。
そんな技に対しては、ジャンプして串刺しですかね。
あの剣は柔らかいから、突きはないのかな?
Posted by SNJ at 2005年11月04日 04:04
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