高岡へは、去年の夏に友人らとドライブ旅行で訪れたが、高岡大仏を観てなかったので、今回観ておこうと思ったのだ。

午後1時半、高岡駅到着。
自転車を組み立てて、高岡大仏を観る。
次に向かう場所は金沢だ。
高岡から40kmほどだろう。
2時間ちょいで着いて、金沢の兼六園を観れれば良い。
国道8号を金沢へ向けて走っていくが、今日も向かい風が強い。
昨日以上の強風で、時速15kmしか出ない。
それどころか、雨もぱらついてきた。

前方に山が見え、あの山並みを越えていくのだろうと予感させる。

坂を登りきり、後ろを振り返ると小矢部市の街並みが見える。
ここで昼食のパンを食べ、金沢方面に向かって坂を下りていくと、雨が強くなった。
これではマズイとカッパを着て、さらに行軍。
向かい風は弱まったものの、雨のせいで寒い。
源平トンネルを抜けると、雨がほぼ止んだ。
蒸れて暑いので、カッパを脱ぐ。
もう一つトンネルを抜けると、また雨が強くなった。
カッパを着る。

ここは倶利伽羅峠といい、源氏対平氏の戦が行われた峠だ。
源氏が牛の角に松明を着けて、平氏軍に突撃させたという。
その後もいくつかのトンネルを抜けていくが、中には歩道がないトンネルもあり、怖かった。
雨は依然強くなり、カッパを着ていても足はビショビショだ。
前方に自転車を修理している人がいた。
「どうしました〜?」
僕が尋ねると、パンクしたらしい。
「さっき後輪がパンクして直したのに、またパンクですよ〜。もうチューブごと代えようかと思って」
なかなか大変だ。
その若い人は、手際よくタイヤを取り外して修理していく。
僕はパンク修理したことないので、羨望の眼差しで見つめている。
雨は、ますますひどくなってくる。
「ああ、先に行ってもいいですよ〜。まだ掛かりそうですから」
「いえいえ、困った時はお互いさまですから。タイヤ支えてますよ」
「ありがとうございます〜」
雨と強風の中、道端での修理だ。
雨宿り出来る場所は1km以上戻らないとない。
「僕は高岡まで電車で来て、そこから走り始めたんですけど、向かい風には参りましたね〜」
「そうっすか、俺は今日は富山市内から走ってきたんですけどね。雨の予報だったんで早く出れば大丈夫かと思ってたのに、パンクで時間くっちゃいましたよ」
話していると、お互いに金沢に向かっていることが分かった。
その若者は、神奈川から新潟に向かい、富山、石川と全行程を走っているという。
600kmくらいはあるだろう。電車混じりの僕とは段違いの自転車乗りだ。
「今回の旅で、前輪が3回、後輪も2回パンクしてるんで、もうこれが最後のチューブなんですよね。これがパンクしたら、終わりですよ」
「僕は幸い、パンクしたことないんですよ。今回は電車混じりなので、パンク修理セット持って来なかったんですよ」
「すごいっすね、パンクしないなんて」
修理は進み、後は空気を入れるだけになった。
携帯ポンプで空気を入れるも、シュコーと抜けて空気が入らない。
接触部が雨で濡れれるせいか、何度やっても入らない。
雨風はさらに強くなり、僕の自転車が倒れた。
若者の荷物が風で飛ばされる。
「まるで台風っすね〜」
何度も悪戦苦闘している内に、空気が入った手応えがあった。
接触が悪かっただけのようだ。
無事に修理完了。
「いや〜、手伝ってくれてありがとうございます。助かりました。どうせなら一緒に行きませんか?」
「いいですね、行きましょう」
こうして台風のような雨の中、僕らは金沢を目指して走り出した。
〜続く〜
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