昨夜のサッカーゲームの借りを返すべく、僕はスペインを使って小野君と対戦した。
拮抗っした勝負だったが、やっぱり負けた。
やがて、小野君が弱い国を使い始めると、僕のスペインはやっと勝つことができた。
さすが、無敵艦隊だ。
そこに千葉に残してきた友人の浅野君から電話が入った。
メールだけでは飽き足らずに、ついには直接電話行使に出てきた。
浅野「おお〜、そっちどうよ〜」
僕「今日は松山に来てて、今はサッカーゲームでこてんぱんにやられてるよ」
浅野「いいなぁ、オレも行きたかったなぁ」
僕「そうだね、今回は長旅になるから都合がつかず、みんなで来れなかったので残念だったよ」
小野君に代わった。
浅野「おお〜、楽しそうだな〜」
小野「今日も酒飲んでるよ。旅に出てから毎晩飲んでる」
浅野「オレも飲みたいよ〜。今度飲もうよ〜」
小野「いいよ、帰ったら飲もう」
浅野「やった〜、じゃあまたね〜」
飲み会が決まった。
遊んでいる内に夜も更けた。
風呂に入ると、もう1時になろうとしていた。また寝不足になりそうだ。
部屋の外を見ると、松山城のある山がすぐ目の前にある。
鬱蒼と繁った森になっていて、松山城は見えない。
予定では、松山城の天守閣が見えると思っていが、残念ながら近すぎて見えない。
窓を開けていても、ただ虫が入ってくるだけだった。
まぁいい、明日は松山城に登って、天守閣から松山市街を見下ろしてやるつもりだ。
ベッドに横になってラジオを聴いていたら、目が冴えて眠れなくなった。
地元のラジオのしゃべりを聴いてみたかったのだ。
実は関西に来てからというもの、店員さんの対応が丁寧なのに驚いた。
語尾の「〜ます」を、「〜ますぅ」と強調してしゃべるせいか、ものすごく丁寧に感じる。
関西以西から東京に来た友人が、東京の店員は冷たいと言う意味が分かった。
東京の若い店員は、語尾をはっきり言わない人が多い。
「525円になっス〜」みたいな。
なので、僕は関西や四国の言葉遣いにメロメロになっていた。
もし、若い女性の店員がそんな言葉遣いをしていると、みんな美人に見えてくる。
さて、朝6時半に起きると、ここがどこだか分からなかった。
頭も痛いし、疲れが溜まってダルい。昨日の山道の運転がかなり堪えたようだ。
きちんと睡眠をとらなかった事を後悔する。
旅は今日で最後だ。何とか乗り切ろう。
宿泊したホテルは別館扱いで、本館に行くと大浴場や露天風呂がある。
なので、7時からの朝食のバイキングを手早く済ませると、僕はひとりで本館の屋上にある露天風呂へ向かった。
本館までは80mほど歩く。朝の散歩がてらの朝風呂だ。
でも、松山の朝は寒かった。
屋上の露天風呂は、奥道後温泉からの湯引きと書いてあった。
『坊っちゃん』で有名な道後温泉は、松山城から東に2kmほど行ったとこにある。
露天に入ると、風が冷たくてなかなか出られなくなった。
温まったと思って立ち上がると、吹き抜ける朝の風に冷やされ、また湯に浸かる。
そうこうしてても時間がなくなるので、頑張って湯から出た。
服さえ着れば大丈夫だ。別館に戻る道は、歩いていて寒風が気持ち良かった。
小野君と合流すると、ホテルに車を置いたまま、歩いて松山城へ向かった。
松山城へはロープウェイもあるのだが、僕らは裏手から歩いて登った。
これがまたキツイ登りになった。石段をいくら登っても松山城が見えてこない。

僕は歩き疲れてヤケになり、走って登っていった。
そうして天守閣の見える広場に出たものの、僕は息が上がって座り込んでいた。
動悸が激しい。呼吸も苦しい。急に走ったせいか、めまいもする。
さっき風呂に入ったのに、もう汗だくだ。
冷たい風が心地よい。
ゆっくりと登ってきた小野君は息は整っていた。
僕は登山には向いていない。


松山城に入ると、残念ながら改修中で、城を覆うように鉄骨が組まれていた。
瓦の並べ替えをしているらしい。
天守閣に登ると、窓の外はシートで囲われていて、街並みを見ることは出来なかった。
シートの隙間からかろうじて街並みが見える。

松山城からの下山はロープウェイにしようと思っていたが、小野君が歩いて下りると言うので、僕も歩いて下りることにした。
いや、走って下りるの間違いだ。
ダダ〜ッと、走りながら下りていく。
登りよりは楽だ。
タン、タン、タン、タンという走りのリズムが、歩きのリズムより安定する。
階段の曲がっているところで、きちんとターンされ出来れば、あとは石段で転ばないようにしさえすれば、重心移動を止めることなく下っていける。
息は上がるが、重力によるベクトルより進行方向へのベクトルが大きいので、膝への負担は少ない気がする。勝手な自論だ。
途中で年配の夫婦が登ってくるのに出くわした。
夫婦「あとどのくらい登りますかね?」
僕「あと、2回ほど曲がれば見えてきますよ。頑張ってください」
夫婦「ありがとうございます」
僕はまた走って下りていった。
2分も掛からずに下りきった。
数分後、小野君が下りてきた。
「そんじゃ行くか〜」
僕は一人だけ汗だくになっていた。また風呂に入りたい…。
〜続く〜
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