富士山が当たり前のように聳え立っているのが見える。
はるばる来たという実感が湧いてくる。

ここで休憩がてら、また食事を摂る。
富士吉田へ向かって道は下っているが、その向こうは上りになっているのが見える。
何と素晴らしい見通しだろうか。
僕は絶景を前にして憂鬱になった。
仕方なく自転車で進む。
また上りが始まる。
緩やかだが、着実に上り続けるこの悪夢。早く終わってくれないか。
この辺の住所を見ると、『下吉田』となっている。
明らかに『上吉田』があり、今いる場所は街の中の標高の低い所であると分かる。
なお、下吉田の駅で標高は753m。
都留市駅の標高467mから300mほど上ってきている計算だ。
僕は上り続ける。
富士山が見えている。
夕方になり、帰宅する学生が自転車で僕を抜いていった。
(こんな所を毎日通学していたら健脚になるだろうな…)
僕は上り続ける。
富士山がそこにある。
道路に沿って流れている用水路は、僕が向かう方向から流れてきている。
流れの速さを見ると、かなり下って流れてんだなと思う。
つまり僕からすれば、かなり上っていかなければならないという事だ。
僕は上り続ける。
富士山から向かい風が吹き降ろす。
いつの間にか、自転車を降りて押している。
だってお尻が痛いし、脚も痛い。
サドルの上に服やタオルを敷いて座ってみたが、痛みは変わらなかった。
僕は上り続ける。
富士山が怨めしい。
大月から30km近く、上りの道が続いている。
後ろを振り返ると、富士吉田の街並みが、眼下に広がる。
富士吉田市内だけでも、これほど上ってきている。

さて、目の前に分岐が現れた。
左に行くと東側の山中湖、右に行くと河口湖を初め、西側の本栖湖など他の富士五湖のある方だ。
僕は山中湖方面に向かう予定だ。
もう上りたくない。あの分岐から下りになっていて欲しい。
分岐に近付くと、河口湖方面に向かって下っているのが見えた。
では、逆方向の山中湖方面はどうなのだろう?
左折する車が上って行くのが見えた。
僕は暗澹たる気分になった。
〜続く〜
![Powered by 269g[ブログ・ジー]](http://269g.jp/img/269g.gif)