2006年10月28日

自転車奇行・箱根編10 〜山中湖に佇む〜

富士吉田市内を南に向かって上り続けた僕は、国道139号を左折して山中湖へと進路を取った。

まだまだ続く上り坂に、僕は辟易する。
もちろん、自転車は押して歩いている状態だ。
その僕を、自転車に乗ったおじいさんが抜いていく。
学生も次々に抜いていく。
みんなこの辺に住んでいるだけあってか、坂道に強い。

僕はと言えば、関東平野の平らな土地で育ったため、急坂はともかく、こんな30kmも続くような長い坂を経験した事がない。
街全体が傾いているのだ。

ふと思い立って、僕は自転車に乗って学生を追いかけてみた。
お尻も脚も痛いが、僕の力がどこまで通用するのか試してみたかった。

あっと言う間にちぎられた。
僕はスタミナを使い果たし、自転車から降りた。
住所を見ると、『上吉田』とある。
やっと富士吉田市の標高の高い所に来たようだ。

そして夕闇迫る頃、山中湖村に入った。
薄暗い森の中の国道を、山中湖に向かって歩き続ける。
坂は緩やかだが、僕の脚は限界だ。
山中湖は、富士五湖の中で最も標高が高いらしい。

僕は南東に向かっているので、僕の右側に富士山が位置している。
時折、木々の隙間から富士山が夕闇に溶け込んでいくのが垣間見える。

森の中の国道は緩やかに上り続ける。
あまりに暗くて、自分が上っているのか分からなくなるが、いったん目を閉じて平行を意識してから目を開けると、先の道が上っているのが分かる。

暗い森の道に、少し不安になってくる。
道は合っているのだろうか?
(こんなとこ、来なければ良かったのかな…)

夕闇が濃くなって、気温も下がってくる。
冷たい風が吹き始めると、長かった上りは終わった。
ここからは山中湖までの下りのはずだ。
僕は上着を羽織ると、下りへと漕ぎ出した。

冷たい風を受けて下っていくと、森は開けて前方に山中湖が見えた。
東京から125kmほど走って、ついに山中湖に辿り着いた。
時刻は5時20分。出発から13時間以上経っていた。
当初の予定ではもっと明るい内に山中湖に着いて、自転車で湖を一周してみようとか思っていたが、もう真っ暗だ。

山中湖.jpg

僕は山中湖畔にしばし佇むと、湖の南に回って、そこからまた山道を上り始めた。
向かうは『篭坂峠』。
1104mの峠だが、山中湖の標高が982mと高いので、そんなには上らない。
しかし脚が限界なので、自転車を押して歩いて上らねばならない。

日が暮れて真っ暗になった山道を、自転車のライトを頼りに上っていく。
街灯も少しはあるが、基本的には暗い道だ。
この周辺は道の両側が別荘地になっているはずだが、週末でもない今は真っ暗である。
別荘へ通じているであろう小道が、森のそこかしこに口を開けている。
その向こうは闇。
不安が増してくる。
森の中からカサカサと音がする。風か小動物の物音だろう。

篭坂峠.jpg

たまに通る車のヘッドライトが、僕の行く先を照らしてくれる。
坂の向こうにテールランプが消えると、再び闇が訪れる。
勾配のキツい坂の向こうは下りかと思えば、やっぱり上り。
またこの錯覚に陥る。

さっきまで寒かったのに、いつの間にか僕は汗を垂らしていた。
もう上りは懲り懲りだ…。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 03:11| Comment(2) | 自転車奇行2006
この記事へのコメント
すごい遠くまで行ったんだね。夜はどっか泊まったのかね。結構きつそう、僕にはちょっと無理かも。
Posted by RA at 2006年10月28日 07:31
遠くまで行こうと思えば、どこまでも…。

さすがに夜は泊まったけど、ここから直帰しても深夜には帰れるね。
Posted by SNJ at 2006年10月28日 10:58
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