たまには自転車に乗って上らないと、自転車はただのお荷物になってしまう。
コーナーを一つクリアした。
二つ目のコーナー手前で道路工事をしている。
交通整理のおじさんが、僕に止まるよう指示をした。
だが僕は、その指示に従うまでもなく、自転車を止めて降りた。
情けないことに、コーナー二つ目手前でギブアップなのだ。

そこからまた、歩いての上りが続く。
箱根関所発、箱根湯本行きやら小田原行きのバスが、何台も僕を追い越していく。
僕も小田原を目指している。
バスの、重そうだが確実に上っていく機動力が、羨ましく見えた。
僕は箱根峠までで、もう限界だ。休み休み行くしかない。
僕が坂の途中で休んでいると、後方から観光客らしいおじいさんが歩いて来るのが見えた。
歩くのも大変そうだな〜と思いつつ、僕がリュックの中を見て顔を上げると、もうおじいさんは僕の側に来ていた。
早い!早過ぎる。
「すみません、この辺に双子茶屋ってありませんかね?『双』っていう字を書くんですがね」
おじいさんは、疲れ果てている僕に尋ねてきた。
僕はリュックから地図を取り出して、その双子茶屋とやらを探してみたが見当たらない。
僕は、前方80mくらいのところに見える商店で尋ねてみたらどうかと勧めた。
「ああ、そうですね。ありがとうございます」
おじいさんはそう言って、お店の方へ歩いていった。
僕が再び自転車に乗って前方を見ると、おじいさんはもう商店の前に着こうとしている。
僕は、おじいさんからほんの数秒しか目を離していない。
何と素早いおじいさんだろうか。すごい機動力だ。
僕も負けじと頑張らなければなるまい。
少し上っていくと双子茶屋があった。
おじいさんは間違ってなかったようだ。

双子茶屋からさらに行くと、精進池という名の水溜まりみたいな池が出現。
観光客が池の周りを散策している。
この辺は道の左右に史跡が点在しているので、徒歩で廻っている人も多い。
僕は全部素通りだ。
この池の先に突然、『国道1号最高地点 874m』の看板があった。
何という事だ!箱根峠よりこちらの方が28m標高が高いとは!
しかも最高地点という標識だけで、何の峠でもない。
三島から上ってきた僕は、少しがっかりした。
でもまぁ、ここからは下りという事だ。
上りは30分で終了。3kmも続かなかった。助かった。
上りで脱いでいた上着を羽織って下っていく。
芦之湯という温泉宿に向かって、急な下りがあった。
その向こうに、また急な上りが見えたので、僕は下りの勢いで上ってしまおうと思って、一気に下っていった。
しかし、芦之湯から車が出てきたので、僕はブレーキを掛けてしまった。
上り坂はツラい事となった…。
ここを過ぎると本格的に下りとなる。
よ〜し、待ちに待ったダウンヒルの開始だ。
僕は一気に加速していった。
〜続く〜
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