下りは楽しい。
ツラい上りがあったからこそ、この下りがある。
僕は、1コーナー1コーナーを味わいながら下っていった。
昨日初めて越えた高尾山の大垂水峠の下りより、山中湖から越えた夜の篭坂峠の下りより、箱根の下りは変化に富んでいた。
少し車が多かったが、180度のヘアピンの連続など、素晴らしいコーナーが待ち構えている。
上りで一切回らなかった脚のはずだが、この下りでは良く回る。
だが昨日、下り坂で転んでいるので、スピードは抑え目だ。
抑え目でも50km近く出てるけど。
これだけ出ると、急ブレーキで自転車が揺れ、実に危なっかしい。
自転車本体の4倍以上の体重が上に乗っているのだ。
いくら腰を落としても、このスピードでは不安定になって当然だ。
一回、急ブレーキで車体が浮きそうになった。
思えばダウンヒルのテクニックなど、僕にはない。
ブレーキ掛けっぱなしのダウンヒルでも良いくらいだ。
でも、ブレーキが磨り減って急に利かなくなったら死ぬな。

あっという間に20個近いコーナーを抜け、多数のお風呂が楽しめる箱根ユネッサンの前を通り、小涌谷の集落を駆けていった。
小涌谷には美術館や温泉宿が多いのだが、見る見る内に僕の後方へ過ぎ去っていく。
やがて、宮ノ下の国道1号と138号の分岐の交差点が見えてくると、車が渋滞しだした。

だが、こちらは小回りの利く自転車だ。
車の間をすり抜けながら進んでいった。
もちろん、急に車のドアが開いてもぶつからないよう、車の中の人の動きは見ている。

一旦は渋滞がなくなって快適に下れたが、大平台という集落でまた渋滞した。
渋滞で身動きの取れないバスを何台も追い抜いた。
芦ノ湖からの上りで僕を追い越していったバス達だろう。
ここでは僕に軍配が挙がったようだ。
急カーブでミラーがない箇所もあった。
しかも渋滞に囲まれて身動きが取れない。
そんな時は、空いている対向車線にはみ出てかわしていくのだが、左コーナーなら対向車は見えるが、対向車線に出ての右コーナーはブラインドだ。
耳を澄ませて、対向車のエンジン音を聞きながら右コーナーを曲がっていった。
他にも、車の窓をミラー代わりに、右コーナーの向こうを映し見ながら曲がっていった。

そうやって次々に車を追い抜いて、箱根湯本の街中に下りてきた。
渋滞ながらも素晴らしい下りだった。
渋滞のお蔭で、ちゃんと景色も見れたし。

箱根湯本駅には、小田急ロマンスカーが停車していた。
なかなか良い駅だ。ロマンスカーが引き立っている。

そのまま僕は箱根湯本を通り過ぎていった。
温泉に立ち寄りたかったが、昨日転んだ傷が滲みるのでやめた。
こうして箱根八里、天下の険を上って下っての32kmは終わった。
バイバイ、箱根。
〜続く〜
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「旅は少年を成長させる」そんな思いで読んでおります。
ブレーキかけると、反動でかなり負荷がかかるし、飛ばしすぎると足の回転がついていかないし。
その点、自転車の下りは楽だ。
僕は走るのは苦手なので、箱根駅伝走れる人は尊敬するね。