10月19日朝4時から始まり、21日午後3時帰還までの59時間。
その二日半の間に進んだ距離は、
一日目約175km、二日目90km、三日目62kmの、計325kmほど。
学生時の自転車通学での一ヶ月分の走行距離と同等だ。
越えた主な峠は、東京都から神奈川県に抜ける、高尾山の脇の大垂水峠、山中湖から御殿場市に抜ける篭坂峠、そして箱根峠の三つ。
地図帳でルートを決めただけで、標高差などの下調べもしないまま旅に出てしまったが、それだけに行く道々での思い掛けない出来事は、僕にとって新鮮なモノとなった。
大垂水峠(392m)。
人生で初めて自転車で越えた峠だ。
帰宅後に調べてみたが、自転車乗りなら難なく越えられる峠だった。
初心者の僕にはちょうど良かったのかもしれないが、この峠ですら、ろくに上れなかった。
思い返せば、この峠に至る前の、日野駅から日野自動車工場へ上っていく坂で、僕はすでにやられていたと言える。
峠を上ったのも初めてなら、下ったのも初めてだった。
自転車での山からのダウンヒルが、こんなに楽しいもんだとは思わなかった。
それも、上りの苦しみがあってこそ、達成感と爽快感の相乗効果でより素晴らしく思えるのだ。
車でなら幾つもの峠を越えてきたが、アクセルを踏んでれば上っていくし、下りも勝手にスピードが出てしまうな、くらいの感想しかなかった。
それと比べると、本当に自転車で峠を越えて良かったと思う。
篭坂峠(1104m)。
夜道を上った為、見晴らしは分からないが、御殿場へ向けての夜の下りは、霧がかって幻想的でとても美しく、そして面白かった。
山中湖から篭坂峠は100mほどの標高差しかないが、その山中湖に至るまでの、山梨の大月市から600m以上の標高差を30km近くかけて上り続ける行程で、僕はハンガーノックに陥るなど限界を迎えた。
僕は、ランニングなど持久系の運動をほとんどしてこなかった為、スタミナがないのはもちろん、エネルギー補給も下手だと自覚した。
そういう状況の後だっただけに、切望の下りという感じで楽しめたが、もし御殿場側から上っていたら、この1104mの峠はかなりの難敵となったろう。
この峠を下り終えた後のだらだら続く下り坂で、歩道の縁石に前輪を引っ掛けて転倒したのだ。
3週間経つ内に傷は癒えたが、傷跡は残りそうだ。
それもまた勲章か。
箱根峠(846m)。
ここを越える事が、この旅の一番の目的だった。
前日の、長い行程の後の峠と違って、峠の麓の三島市内からのスタートだったので、2時間で上り切るつもりでいたのだが、脚が攣るなど悪戦苦闘の末に4時間掛かってしまった。
それだけに達成感も大きかった。
峠を越えて眼下に見えた芦ノ湖は、決して忘れられないだろう。
僕は走るのが苦手だ。
自分の脚だけでは、1kmも走れない。
自転車と共に走る事で、進める距離は何十倍、何百倍にも膨れ上がる。
総走行距離、たかだか325km。
車で高速道路に乗れば3時間ちょいで移動できる距離だ。
だが、自分の脚をエンジンにして―性能はとても悪いのだけど―進んでいく事で、諦めずに一歩一歩進んで行けば、いつかは達成できるという事を学んだ。
自転車よ、ありがとう!
長らく書いてきましたが、これにて自転車奇行箱根編を終わります。
2006年11月10日
自転車奇行・箱根編25 〜箱根越えを終えて〜
ニックネーム SNJ at 22:23| Comment(4)
| 自転車奇行2006
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僕もホノルルマラソンをゴールしたときの感動は10年過ぎたけれど鮮明に覚えているよ。最後におじいちゃんに抜かれたことも悔しくて忘れられない。
途中は、身体が持たないと思ったが、無事に戻ってこれた。
それだけで十分だ。
おじいさん達は侮れないよ。特に持久系においては。
筋力が落ちても、逆に身軽さを得た走りをするしね。
幼少時の鍛え方も違うんだろうね。
実行まで、気持ちを高めるのに2週間かかりました。
あと1週間遅ければ紅葉も見れたと思いますが、そのタイミングで旅立たなければ機を逸したかもしれません。
旅立ってしまえば、あとは成るように成れです。
次にまた自転車で旅立つなら、旅先で美味しいものも食したいですね。