自転車で箱根を越えてから3週間が過ぎた。
その自転車は仕事場に置き去りのままだ。
季節が寒くならない内に自宅まで乗って帰らねばなるまい。
池袋から自宅までは、35kmもないだろう。
普通に乗って帰れば2時間ちょっとだ。
しかし、ただ乗って帰っても面白くない。
僕は、自転車を電車で運んで、もう少し遠いところから帰る算段を立てた。
仕事が終わって翌朝。
2時間ちょいの仮眠で起床。
時間的には4時間は眠れたのだが、どこに行こうか地図を見たりして考えてる内に時間が経ってしまったのだ。
箱根に行った時も2時間の仮眠で出発した。
走り出してしまえば眠くもならない。
(まぁ行くか〜)
朝5時過ぎ、僕は仕事場から最寄の駅に向かい、そこで自転車を分解し始めた。電車に持ち込む為である。
タイヤを外して、持参した袋に詰め込もうとすると、袋が小さすぎて自転車が入らなかった。
これでは、電車に持ち込めない。
仕方なく僕は、たった今分解した自転車を組み直し始めた。
朝は早いが、何人かが僕の横を通り過ぎていく。
邪魔にならないようにしてるが、こんなところで自転車を組み立てているのが何だか気恥ずかしい。
前輪がなかなか上手く嵌まらない。
こういうのは大体、分解は簡単だが組み立てるのは難しいものだ。
駅から階段を下りて来た若者が僕の横に近付いてきて、僕の作業を見ている。
(何だよ、物珍しいのか?あっち行けよ〜)
そう思いながらチラッと若者を見ると、僕の知ってる人物だった。
一緒に日光旅行に行って、そこで将軍に即位したタカギ将軍だ。
「こんなとこで何してるんですか、田中さん!?」
「何って、自転車を組み立ててるんですよ。電車に持ち込もうと思ったら、袋に入りきらなくて。」
「マジっすか〜」
「ええ、電車で秩父の方にでも行って、そこから千葉県まで帰ろうかと思ってたんですよ」
「マジっすか〜?」
「この前は自転車で箱根にも行ったんで、まぁ大丈夫ですよ」
「マジっすか〜!?」
将軍はしきりに驚いている。
僕は話しながらも自転車を組み立てていく。
「タカギさんは、どうしてこんな朝早く?」
「僕はまぁ、仕事帰りですわ。田中さんは仕事終わったんですか?」
「ええ、昨夜終わって、2時間ちょっと寝てきたとこです」
「マジっすか〜、えらいガッツありますね。何か珍しいんで写真撮っていいすか?」
「どうぞどうぞ」
パシャッ!
自転車が組み直った。
とりあえず、駅からタカギ将軍の自宅方面まで自転車を押して歩いていく。
「そいじゃ、お疲れさ〜ん」
「田中さんも気ィ付けて帰って下さいよ〜」
将軍と別れると、僕は自転車に跨って走り出した。
走り出してすぐに気付いた。
さっき外したフロントタイヤから異音がする。
〜続く〜
2006年11月15日
自転車奇行・都内横断編1 〜自宅へ帰る〜
ニックネーム SNJ at 05:04| Comment(0)
| 自転車奇行2006
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