2007年01月05日

自転車奇行・秩父編 第八陣〜風の音〜

下りを期待しながら大野峠から40mほど登り、そこが今回の陣の最高点で890mほどだろうか。
その先は下っているようだ。

左手に見えた県民の森の駐車場に、ショートカットのつもりで入り込んでしまった。
しかし、駐車場内は、車止めの段差ばかりでまともに走れない。
ガッタンがッタン走りながら駐車場を抜けて左に90度曲がると、午後4時5分、本日37kmの距離を走ってきて、やっとクライマックスのダウンヒルが始まった。

見る見る内にスピードが出ていく。
(ひゃっほ〜!!)
心の中で叫びながら下っていくと突然、正面からの風圧で減速させられてしまった。

ビュォォォォォ〜ッ!

目も開けてられないほどの物凄い強風が襲ってくる。
何とか目を開けると、目の前は木が枯れて開けており、そこから風がなだれ込んできているのだった。
と、同時に夕日も正面に見える。
美しい。
しかし、
(寒〜ッ!!)

とっとと林の中の道へと下っていった。
いくらか風は和らいだものの、それでもまだ強い。
そして冷たい。

(ダ、ダメだ…。凍える…)
ダウンヒルは気分良いのだが、あまりの寒さに僕は自転車を止めた。
そして、汗で濡れて冷たくなった服を着替えることにした。

服を脱いで、上半身裸のまま夕日に照らされる。
風は木々に遮られて、自転車に乗っていなければそんなに寒くはない。
(どうだ、コラ!風よ吹いてみろ!)

しばらく裸のまま夕日を見ていたが、車が走ってくる音がしたので慌てて服を着る。
だが車は来ない。
またしても風が木々を通り抜ける音だった。

(ビックリさせやがって…)
今度は重ね着をし、長ズボンも履いて下山フォームにチェンジ。
また下りに突入した。

時速40kmを超えながら、一気に下っていく。
そこまでスピードが出ると、やっぱり寒い。
「寒い寒い寒い寒い…寒いよォ〜」
呪文のように唱えながら下っていく。

路面には暴走禁止の凹凸が付いており、油断すると転倒する。
路肩を走っていれば大丈夫だが、コーナリングラインは限定される。

ヒュ〜ルルルルル、ヒュゥ〜ルルルルルゥ〜

風が森を通り抜ける音がする。
コーナーで減速すると聞こえなくなるが、スピードが出るとまた聞こえてくる。

ヒュ〜ルルルルル〜、ヒュ〜ルルルルル〜

まるで猫バスが走っているようだ。
もしくは打ち上げ花火の音。
そんな体験はないが、焼夷弾が落ちてくる音にも思える。

ヒュ〜ルルルル、ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルルルル
ガタガタン!ガタガタン!

風の音と、路面の段差の音しか聞こえてこない。
時速40kmで景色が流れていくのと相まって、何が何だか分からなくなるが、決して45kmは超えないようにした。

ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル
ガタガタン!ガタガタン!

(持つのか?この折り畳み自転車…)
少し心配になるが、段差さえ気を付ければ大丈夫だろう。

横瀬への下りで夕日.jpg

眺望が開けて夕日が見えるが、開けた分だけ風も強まる。

ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル
ガタガタン!ガタガタン!

風の音は、弓矢の音。
なかなか激しい敵方の攻撃だ。
路面の凹凸と、道路を横切る排水溝は馬防柵と受け止めよう。
騎馬は馬防柵を乗り越え、牙を剥く。止まってはならない。

横瀬へ下り.jpg

いくつものつづら折れを下りてきた。

横瀬町.jpg

やがて民家が現れ始めるが、下りは続く。
下り始めて20分以上経ち、10kmは走っている。
ここは秩父の隣り、横瀬町。敵本陣は目の前である。

横瀬町河原.jpg

そして河原まで下りてくると、下りはなくなった。
(敵本陣はどこだ?)
ここで僕は迷子になった。

横瀬町河原2.jpg

地元の中学生の後をついて、河原沿いのよく分からない道を行く。
(おのれ、こんなとこに抜け道が)
迷うこと15分、ついに敵本陣を発見。

武甲温泉.jpg

『武甲温泉』

ここが目指す場所だ。
僕は愛馬(自転車)から飛び降りると、脚を休める間もなく敵本陣に突入した。
「いざ、参る!」

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 01:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 自転車奇行2006
この記事へのコメント
一歩間違えれば危険な道だらけだ。強風もあって、のんびり一人旅とはいかないようね。
「武甲温泉」
すごい名前だけど、地名なのかな?大文字草という植物に「武甲の輝」という品種があります。
敵陣はいかに?
Posted by しゅう at 2007年01月06日 17:00
秩父には『武甲山』という山があるので、そこから取ったんだろうね。
武甲山は、セメント採取のために日々削られていく山です。
高さ1300mほどで削れた山肌なので、遠くからでもすぐ分かる。秩父のシンボルみたいなもんだ。
Posted by SNJ at 2007年01月09日 02:35
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