〜4〜
夜になった。
街の方が賑やかになった。
大量のライトが燈され、霧の中に浮かび上がった。
僕は街の様子を窺いにいった。
街は目覚めていた。
工場が稼働を始め、煙突からも煙を吐いている。
煙と霧が相まって幻想的な雰囲気だが、今は不気味でしかない。
稼働を始めた工場では、数人の男たちが働いていた。
みんな目は虚ろで、ただ黙って作業をしている。
その中に友人たちはいなかった。
街のメインストリートに出ると、女たちが溢れていた。
どの女も美しく着飾り、輝いている。
その中に僕の友人はいた。
たくさんの女に囲まれて抱きつかれて、高笑いをしながら目が虚ろになっている。
口元は笑って、目は笑っていない。
もう友人の顔ではなかった。
他にも街のそこかしこで、僕の友人が女の虜になっていた。
時に女を抱きながら酒を飲み、時に裸で踊る。
高笑いする口を女の口付けで塞がれて、唇が離れればまた笑う。
目には意思が感じられない。
霧深く眩しい街の中。
僕は狂気を見ていた。
友人と口付けを交わす女は、どんどん美しく若返っていった。
もう僕には分かっている。
どうやらこの街は『女の街』のようだ。
そして、時折迷い込んでくる男たちを虜にして生気を吸い取っているのだ。
(もうダメだ…。もうあいつらは戻って来ないんだ…)
僕は救出を諦めてしまった。
(いや、この場は諦めるが、僕の街に戻ってこの得体のしれない街の事を世界に伝えるんだ)
(そして、必ず助けてやるからな!)
〜5〜
僕は、夜の内にこの街を脱出することにした。
この街に来てしまったボートのところに戻るが、ボートはもうなかった。
つまり、僕の脱出は拒まれているとみていい。
森の中を少し歩いてみたが、真っ暗な上に霧が立ち込めていて、森に踏み込むのは無謀だった。
それどころか、何人かの女が手にライトを持ち、森の中を徘徊していた。
つまり、唯一逃げ延びた僕の逃亡を警戒しているのだろう。
主要道路を見ると、やはり女たちが見張り番のように立っていた。
ここから逃げるのも難しい。
朝を待てば明るくなって逃げやすいが、僕自身が見付かってしまう可能性も上がる。
逃げるなら今夜しかない。
逃亡ルートは決まった。
来る時に遡ってきたあの川だ。
ボートはなくなってしまったが、それだけにそこに相手の油断があるかもしれない。
(船を取り上げていい気になるなよ!)
僕は森の中から2本の丸太持ち出して、紐で結んで簡易に筏を作った。
そしてそれに跨って川を下っていった。
これなら音もなく下っていける。
川を下っていくと、来る時に通ってきたトンネルが見えてきた。
あそこをくぐってしまえば逃げられるはずだ。
そこで突然、サーチライトが川面を照らした。
(しまった!)
僕は丸太の横から川に沈みこみ、ライトに照らされないようにした。
ライトは僕の掴まった丸太を照らした。
「おい、そこの丸太!誰かいるのか?」
女の声がそう言った。
僕は丸太の陰で息を潜める。
(このまま流れていってしまえれば、抜けられる…)
「おい、待て!誰もいないのか!?」
筏はなおも流れていく。
(よし、いける!)
しかし、川の対岸からもライトが照射され、僕は見付かってしまった。
「いたぞ!その筏にしがみついてるぞ!」
女が応援を呼ぶ。
そして、女の手には銃が握られていた。
銃口は僕に向けられた。
(ここまでか…)
僕が観念した瞬間、女を後ろから殴りつけた影があった。
「今の内に逃げるんだ!」
それは、二人の友人だった。
女を押さえ込み、僕に逃げるように言った。
「この街はヤバすぎる!俺たちはもう正気を保っていられないんだ!お前だけでも逃げてくれ!」
ほんの少しでも正気を取り戻したのだろう。彼らの目には意思が宿っていた。
「分かった!絶対に助けに来るからな!それまで待っててくれ!」
「頼んだぞ〜!……あぁうぅぅ……」
友人の声は聞こえなくなり、僕は真っ暗なトンネルに入っていった。
(絶対、戻ってくるからな…)
==========
ここで目が覚めたが、それ以降はこの夢の続きを見ていないので助けにも行けない状態だ。
僕だけが逃げ出すという、どうにも後味の悪い夢であった。
いや、僕だけ逃げ出したというより、逆に考えれば僕だけ省かれてしまったのかもしれない。
2007年01月31日
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活躍する時は違う登場人物になる。
自分が出る夢はだいたい残念な結末になるよ。
きっと寝ている自分の中で勝手に演出されてんだね。
そんで、ピンチを作り出した挙句に、続きのストーリーが思い浮かばなかったのかもしれないね。