2007年03月29日

自転車奇行・鹿島鉄道編4 〜鹿島鉄道に乗る〜

キハ431.jpg

僕とキューピー・ハセガワの乗った鹿島鉄道(以下かしてつ)は、型の旧いキハ431の車両だった。
新型車両より、むしろ風情があって良い。
『83年間ありがとうございました』のヘッドマークが涙を誘う。

ュ島鉄道ヤ内.jpg

車内は座席が全部埋まるほどの乗車率。
僕らは自転車を入れた袋と共に、車内後方に位置した。
客のほとんどがカメラを持った鉄道好きだが、毎日これだけ乗っていれば廃線にはならなかったろう。
座席には敷居がなく、ズラ〜ッと一列に並んで座っているのが面白い。

キハ431料金箱.jpg

料金箱の型番『432−1』をマジックで消してあって、『431−2』と書き直されているのが面白い。
キハ432型から431型に、箱を移し変えたのだろう。

キハ431吊り革.jpg

吊り革を見ると、一個だけ妙に短い吊り革がある。
途中で切れてしまったものを、また繋いだのだろうか。
「一個だけ短くて気になりますねェ」
「たぶん、背の高さの違う人にも掴みやすいように短いんでしょう」

キハ431吊り革2.jpg

「あっちなんか、吊り革が一個抜けてますよ」
キューピーさんに言われて見ると、逆側の吊り革が一個分空いている。
「肩幅の違う人のために一個抜いてあるんですよ、きっと」
僕はそう思うことにした。

ディーゼルエンジン音を立てて、かしてつは出発する。
カメラを持った人々がシャッターを切る。
かしてつは、なかなか揺れが激しいので、タイミングよくシャッターを切らないと写真がブレてしまう。
僕のカメラではブレてしまっても、高性能なカメラの人々はキチンと撮っているのだろう。
鉄道に詳しい人は、カメラにも詳しい。

キハ431の後方視界.jpg

窓から後方を見ると、筑波山が見えた。
やがて、右手に見えてる木々が筑波山を遮ると、次の石岡南台駅に到着した。

新たな乗客を一人乗せ、かしてつはまた出発する。
沿線のビューポイントには、カメラを構えた人々が通り過ぎるかしてつを狙っている。
かしてつが走る姿を撮れるのは、あと一週間だけなのだ。

駅に停まると、駅の前後に5人ずつほどが、カメラをかしてつに向けて待っている。
各駅に平均10人ほどのカメラマンがいるという事だ。
その内の何人かは乗車するが、ほとんどは次のかしてつを撮るために乗ってこない。

カシャーカシャーカシャーカシャー

突然の音に何事かと見ると、座席に座った大きな望遠レンズのカメラを二つ持ったおじさんが、フィルムを巻き取ってる音だった。
「あのおじさん、大きいの二つも持ってますよ。何に使うんですかねェ?」
疑問に思うキュ−ピーさんだったが、外用と車内用でフィルムの感度が違うのを用意しているのかもしれない。

かしてつから霞ヶ浦.jpg

桃浦駅を過ぎると、沿線に霞ヶ浦が近付き、見晴らしの良い景観が続く。
霞ヶ浦越しに筑波山。
良い景色だ。

車内には、小さなスケッチブックに何かを描いている若い女性がいた。
何を描いてるのか気になったが、スケッチブックを抱え込んで描いているので、見れなかった。

それより気になったのが、その女性の格好が小汚いことだった。
上着が汚れているのだが、顔も汚れている。
風呂に入ってなくて汚いわけではなさそうだが、何で汚れているのか気になる。

(山の中でも歩いてきたのかな?)
あまりジロジロ見るのも悪いので見ないようにしていたが、携帯電話をいじっては絵を描き、写真を撮っては絵を描きしている。
鉄道好きなのか、何かの仕事なのか不明だ。

逆に見れば、自転車を袋に入れて乗り込んで、キョロキョロしながら写真を撮ったり笑ったりしている僕ら二人も、怪しい人物に思われていたかもしれない。

浜駅を過ぎると、かしてつは霞ヶ浦をそれて緑豊かな丘陵地帯に入ってゆく。
カーブが多くなり、かしてつの揺れも大きくなる。
揺れに合わせて吊り革も揺れる。
左右に30度ずつ、振り子のように揺れている。
短い吊り革ほど触れる角度が大きい。
長い吊り革はゆっくりと揺れるが、長短すべて同じ周期で揺れているのが面白くて思わず笑ってしまう。

横揺れもすごいが、縦揺れもすごい。
上下に跳ねてるようだ。
車両のサスペンションがフワフワなのと、レールの継ぎ目もガタガタなのだろう。

見ると、座席に座った人々が揺れに合わせてピョンコピョンコ跳ねている。
シートもクッション性が高いのかもしれない。
座席にズラ〜ッと並んだ人々が、座ったままの姿勢で不規則に10cmほど跳ねてる光景に、また笑みがこぼれてしまう。

「ホント、旧型車両で良かったですね。新型車両だったらここまで揺れなかったかもしれませんもんね」
「ええ、まったくですねェ。跳ねすぎですねェ」
キューピーさんも笑みが絶えない。

走行中、キューピーさんがすごい光景を見た。
「今、陸橋の橋げた付近の横穴に潜り込んで写真撮ってる人がいましたよ」
「ええっ!?僕も見たかったなぁ」
つまり、かしてつを上方から撮ってるのだが、陸橋の上ではなく陸橋の下に潜り込んで撮ることで、より近くから迫力のあるかしてつが撮れるのだろう。
僕はカメラの設定を変えていたので見ていなかった。残念。

沿線の田園風景の中に、犬の散歩の途中らしい老人が足を止めてかしてつを見ていた。
面白いのは、犬もお座りをしてかしてつを見ていた事だ。

丘陵地帯を抜けると、終点の鉾田駅が待っている。
かしてつはスピードを落とし、ホームに入ってゆく。

停車し、ドアが開くと、乗客みんなが降りていった。
最後に僕らも自転車を持って降りた。
こうして、53分のかしてつの旅は終わった。

♪いろんな〜人がいて〜 いろんな〜人生を〜
 いろんな〜夢をみィ〜て〜 いろんな〜道を〜歩く〜♪

鹿島鉄道のイメージソング『鉾田線』の歌詞の一部だ。
降り立った人々は、それぞれがどこへ行くのか分からない。
家に帰る人、そのままUターンして石岡駅に戻る人、新たに乗り込んでくる人、様々だ。

カメラマンたちは、どんな想いで写真を撮っていたのだろう?
僕から見て彼らは風景の一部であり、彼らからすれば僕も風景の一部であり。
だが、お互いにかしてつの事を考えていた。
全ての人に、いろんな想いがあったはずだ。

僕らはここから自転車の旅を始める。

♪旅の〜始まり〜はプラットホーム〜 見送る〜人 出会う人〜
 未来へ〜走れ〜 かし〜まてつ〜どう 春色の〜風〜受け〜て〜
 菜の花〜咲く〜 季節を〜越えて〜 春色の〜風〜に乗って〜♪

同じくイメージソング『未来へ走れ 鹿島鉄道』の歌詞の一部。
鹿島鉄道は3月31日で廃線になる。
今が最期の春だ。
最終営業日の土曜日は鉄道好きで溢れかえることだろう。
イベントもあるだろうし、1両編成では乗り切れない。

最終電車は、全部のかしてつ車両を連結させて走ったら、とても素敵だ。
でも、4両以上はホームに収まらないのかな。

(さよなら、鹿島鉄道…)

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 14:17| Comment(2) | TrackBack(0) | 自転車奇行2007
この記事へのコメント
なぜキューピーさんに訂正?

Posted by しゅう at 2007年03月29日 15:29
それは聞かないで下さい。
アルファベットで『QP』さんだとかっこいいでしょ?

あとは、Question Personとか当てはめてしまえばいいですね。
Posted by SNJ at 2007年03月29日 18:20
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