
サイクル&トレインらしく、鹿島鉄道と自転車を入れて記念撮影。
車内が混んでて自転車を袋から取り出せなかったので、下車してすぐにホームの隅で組み立てた。
これで鹿島鉄道ともお別れ。
廃線なので本当にお別れである。
ここ、鉾田駅からは海の方まで自転車で走る予定だが、まずは昼を食べようと思う。
ふと横で、おばちゃんたちが駅員さんに尋ねているのが聞こえた。
「この駅の回り、食べるとこないの?」
「ないです」
駅の構内のお店で美味しそうなたい焼きを売ってたので注文したが、「今ちょうど焼いている途中なので時間が掛かる」とのこと。
僕らが自転車を組み立ててる間に売り切れてしまったようだ。
「仕方ない、行きましょうか。途中でコンビニでもあったら何か食べましょう」
鉾田駅を出発する。
僕の自転車は20インチ、キューピー・ハセガワさんの自転車は26インチのマウンテンバイクだ。
色はどちらもオレンジ&ホワイトのツートンカラー。
たまたまだったが、並んで走ると仲良しみたいだ。
鉾田駅を出たが、道が分からない。
とりあえずは北東に走っていけば良いはずなので、適当に北東に向かう。
ガチャガチャ、ガチャガチャ
キューピーさんの自転車のギアが、上手く噛みあっていないようだ。
「ちょっと乗せてもらっていいですか?」
僕とキューピーさんの自転車を交換して乗ってみたが、やはりギアが入らない。
「ちょっと調整しましょう」
自転車を停めて、後輪を持ち上げてギアのアジャスターで調整する。
キューピーさんが手でペダルを回している間に、僕がギアチェンジをして調整したのだが、調整が終わった頃には手でペダルを回し続けていたキューピーさんは疲れていた。
疲れているキューピーさんに、またも難関が待ち受ける。
鉾田川から鉾田市役所まで500mくらい続く、標高差30m近く登る坂道が現れた。
勾配は5、6%ほどだが、とにかく長い。
僕は、久しぶりの長い坂道に喜び勇んで登っていった。
登り切って振り返ると、キューピーさんはまだ坂の半ばにいた。
「すみません、初っ端から坂道で…」
僕は、坂を登ってきたキューピーさんに謝った。
確かこの旅に来る前に、「坂はほとんどないと思います」という発言をした記憶がある。
「ハァハァ、ハァハァ…」
キューピーさんは、ここで疲れ果てた。
そこから5km以上走った。
途中で、軽自動車が横転していた。
女性が横転した車の横で電話をしている。横転して間がないのかもしれない。
助けてあげようとも思ったが、僕ら二人では車を動かすことなど出来そうもない。
素通り。
国道51号に合流する頃、キューピーさんがお尻の痛みを訴えた。
僕も箱根越えをした時に、サドルが硬くてお尻が痛くなり、自転車に乗れなくて困ったことがある。
「とりあえず、タオルをサドルに乗せときます」
キューピーさんは何とか打開策を試みたが、快方には向かわない。

向かう先は大洗(おおあらい)町というところだ。
まだ10km以上も先である。
「もし、どうしても痛かったら電車に乗ってしまいましょう」
なるべくなら乗りたくないが、そうなっても仕方ない。
坂道、お尻の痛みの他に、また一つの難関が待ち構えていた。
道々に漂ってくる肥料、というか牛フンの匂い。
その匂いが、数百メートル置きに漂ってくるのである。
「うわっ!また来た!」
「これはキツイですねェ」
僕が箱根を登っている時にも、何度か出くわした匂いだ。
それがここでも襲い掛かってくる。
呼吸回数を減らして走り抜けるしかない。
「この辺の人は、よく耐えれますねェ」
「ここには住めませんね」
匂いと戦いながらも、国道51号をどんどん進んでいく。
どこまで行っても鉾田市内が続く。
やがて、キューピーさんのお尻が限界を向かえた。
可愛い着ぐるみが手招きしていたコンビニで休憩。
座り込んでうな垂れるキューピーさん。
その横では可愛いぬいぐるみが、お客に愛想を振りまいている。
(大丈夫かな…)
僕も不安になる。
ここまで15km以上走っている。
「もし、ダメそうなら海に行くのはやめましょうか?」
「いや、せっかくだから、海は見たいですねェ」
その時、車から降りたおじさんが、キューピーさんに話し掛けてきた。
「あっれ〜、自転車で来たの?どっから走って来たんだい?」
「鉾田駅から走って来ました」
「あんれ〜、ずいぶん走って来たんだな。その自転車だと疲れないのかい?」
「いや〜、もう疲れ果てましたねェ。でも何とか海まで行こうと思います」
その1分後、僕らは海へ向かって走っていた。
海が見たいと言ってくれたキューピーさんのためにも、僕が海へ導かなければならない。
とりあえず、キューピーさんのリュックから、僕のリュックへ荷物を移して軽くする。
それ以外には、励ますしか出来ない…。
頑張れ、キューピーさん。
〜続く〜
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