しかし、一ヶ所だけ岩場が待ち受ける。
僕はその岩場に挑み始めた。
もちろん、自転車を降りてだ。
まずは自転車の前輪を持ち上げて、岩場の段差に乗せる。
次に後輪を持ち上げて、自転車を横向きにしながら段差に上げた。
すると、僕が登るスペースがない。
さらに前輪を上の岩の突起に引っ掛ける。
僕の頭より上に前輪がある。
前輪のブレーキを効かせてタイヤをグリップさせてから、僕自身を引き上げる。
もし前輪が滑ったら危険だ。
グリップを考えるのは、自分の2本の脚と自転車の前後のタイヤだ。
タイヤのグリップは、自分の手のブレーキの掛け具合なのだが、タイヤと手が連動してないと難しい。
手はブレーキを掛ける他に、自転車を持ち上げることにも使っているのだ。
自転車に乗ってる時は、前後ブレーキを無意識に掛けているが、下りて押している時は、左手が一番遠い後ブレーキをコントロールしている。
自転車の左側から持ち上げているので、右手でサドルを持って後輪を持ち上げたら、前ブレーキは掛かっていないのだ。
ここでは左手で後ブレーキを意識しても無意味である。
前輪を持ち上げている時は、後輪のブレーキを掛けていないと自転車が動いてしまう。
前後ブレーキ両方掛けていればいいかと思いきや、岩の表面にタイヤを這わせる時にはブレーキを解除しないと全く動かないので難しい。
自転車を持ち上げるのに意識を取られて、前後のブレーキを緩め間違えると、自転車が予期せぬ方に動いて危険である。
岩場の段差で、自転車と半身になった僕が並んだ状態になる。
今度は後輪を上げて、なんとか段差に乗せる。
僕の左足と右足の高低差が大きくなる。
なかなか苦しい体勢だ。
反動を付けて右足を上げて、僕自身も上の段差に移っていく。
もう息が上がり、自転車を持ち上げている腕もプルプルしている。
登ることも出来ず、かと言って下ることも出来ず、不安定な体勢で息を整える。
その時、自転車の横に飛行物体が見えた。
(クマンバチだ!)
僕は焦った。
この体勢でいる訳にはいかない。
クマンバチは自転車の向こう側にいるが、僕の方へ来たらかなり怖い。
(どうしよう、いざとなったら自転車を崖下に投げ落とすか?)
それで楽にはなるが、そんなことをしたら自転車を持ってきた意味がなくなる。
僕は、クマンバチが少し離れた隙に自転車を持ち上げた。
ハンドルに胸をくっつけるようにして持ち上げたら、ハンドルに取り付けてあるスピードメーターを圧迫して、メーターが外れてしまった。
カラン、カラン、カラン
外れたメーターが、岩場を転げ落ちていく。
(ああ〜、もう!)
しかし、自転車を降ろす訳にはいかないので、何とか安定したところまで上げる。
持ち上げてる間にも、自転車を岩場にゴツゴツぶつけている。
傷が付いてるかもしれないが、こんな場所なので仕方がない。
岩場の途中の安定したとこで自転車を横倒しにすると、僕は岩場を下りてメーターを拾いにいった。
自転車さえなければ、やはり簡単に下りられる。

下から見ると、こんな感じの岩場だ。
段差はいっぱいあるので登り方はいろいろあるが、自転車だけがネックだ。
僕は再び自転車のとこまで登ると、残りの岩場を自転車を持ち上げて登っていった。
(もし、帰りもここを通るとなると、かなりやっかいだな)
帰り道は山の裏手に抜けるつもりなので、たぶん大丈夫だろう。
僕に自転車のテクニックがあれば、自転車に乗ったままこういう岩場も乗り越えていけるのかもしれないが、まず無理だ。
自転車も安物だ。サスはただのスプリングだ。
押して登れただけでも満足としよう。
〜続く〜
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岩場を自転車かー。自転車は意外と重いのね。でもそういうの好きだな。
岩場を自転車で行くのは危険だが楽しいよ。
下りは危険だけど。
この後の展開で山道の下りの楽しさを書くよ。