
遠く下の方に見える橋が国道140号だが、思ったほど下りそうもない。
(けっこう上ったと思ってたのに…)
きっと国道140号に入ったら下り坂一辺倒だと思って、気を取り直す。
国道140号に入っても、あまり下り坂という感じはしなかった。
下ったり上ったりで、少しずつ標高が下がっていく。

下を流れている荒川は標高が低いが、道路は高いところを通っているのだ。
秩父の市街地までは15kmほどだろうか。
今日はすでに45kmほど走っている。
最初の10kmで疲れていた割りには、けっこう走ってきた。

相変わらず歩道は狭い。
トラックが多いので車道を走るのは危険だ。
桜は咲いているが、あまり気分の良い道ではない。

あの武甲山が右手に過ぎれば、西武秩父駅だ。
秩父の市街地の手前で、かなり下ってるところがあった。
気分良く下りていったが、その後に長い上り坂が待っていた。
長い上り坂。
歩道はない。
トラックは多い。
息を整えて、一気に登るしかない。
(これが最後の坂だろう)
僕は車が途絶えた隙に、登り始めた。
ふと見ると、道の反対側を自転車に乗ったおじいさんが登っていた。
おじいさんはユラユラと揺らめきながらも、ゆっくりと確実に坂を登っている。
歩道がないので、おじいさんの後ろから来た車が対抗車線にはみ出しながら追い抜いていった。
おじいさんは、そんな事は気にも留めない。
例え、車道の真ん中にはみ出しても登り続ける。
おじいさんが自転車を降りないのだから、僕も自転車を降りることは出来ない。
途中の信号で、僕はおじいさんの側に道を渡った。
おじいさんの後ろに付く。
おじいさんの自転車は、荷台がしっかりしていて重そうだ。
重そうな荷物も積んでいる。
それでもおじいさんは、自転車を降りることなく坂を登り終わった。
僕も、おじいさんに追い付くように登り終わった。
おじいさんは後ろを気にすることなく、道を渡りだした。
道を、緩い角度で斜めに渡っている。
少しずつ対向車線に入っていく、時間のかかる渡り方だ。
対抗車が来たが、おじいさんは気にしない。
対抗車が減速した。
おじいさんは極めて自然体だ。
おじいさんは横の道に消えていった。
自然体だった。
秩父の市街地に入った。
そして午後5時半頃、西武秩父駅に到着。
ちょうど特急が発車した後だった。
もう10分早ければ、乗れた。
次の特急までの1時間、僕は土産を買ったり、夕食を食べたりして過ごした。
(今日は舗装路しか走ってないが、どの坂もキツかったなぁ)
(やはり6段変速だけでは、山道は無理だな)
去年末から、この秩父方面を4回ほど共に走ってきた折り畳み自転車だったが、だんだんと性能に物足りなさを感じてきた。
もう1台持っている、折り畳めない26インチの18段変速MTBを投入してもいいのだが、デカイし重いのが難点だ。
小さくて軽くて、ギアが18段くらいある自転車が、持ち運んでくるには理想だ。
新しい自転車を投入するのもいいのだが、この安物の20インチの折り畳みにも愛着が湧いている。
この日の走行距離は62km。
こんな自転車でも、それくらいの距離なら走る事は可能なのだ。
(もう少しだけコイツと出掛けるか…)
僕は特急の座席の足元に自転車を置き、特急が発車するとやがて眠りに就いたのだった。
〜春の秩父路編・完〜
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愛車は一緒に苦労したのだから手放せないよ。不便さも愛しくなったんじゃないの。
ロードタイプが、これから加わるかもしれないし。
G.W.は出掛けるけど、どこに行くかは内緒にしとこうかな。
明日の昼まで仕事だから、夜に出発予定だね。