2007年06月21日

自転車奇行・日光〜足尾編6 〜日足トンネル〜

いろは坂を自転車で下り終えた僕とキューピーさんは、そのまま国道120号を下っていく。
いろは坂ほどの勾配もない直線的な道だが、時速は40km以上でている。

いろは坂では車に追い付く勢いの我々だったが、ここではこちらが40km以上で走っていても、車には抜かれていく。

前方に路駐している車が見えた。
その車の横を通り過ぎる時、猿が見えた。

車の陰に猿がいたのだが、猿はこちらを見てビクッっとして飛び退いた。
バイクや車ならエンジン音もするが、突然、音もなく自転車でシャーッと横を通り過ぎたのでビックリしたのだろう。

このまま国道120号を東に下れば日光に辿り着くが、我々は交差点を南に曲がった。
向かう先は足尾町。
足尾銅山で有名な町だ。

日足トンネルへ.jpg

その足尾町に抜けるには、山を登らなければいけない。
山を登ると言っても、中腹のトンネルを通り抜ければいいので、登る標高は150m程度だ。

問題は、その先のトンネル。
『日足(にっそく)トンネル』といって、長さが2765mもある。
登坂して疲れた状態で空気の悪いトンネルに入れば、呼吸もかなり苦しいに違いない。

だが、山を登ってトンネルを抜けない限り、足尾町には行けない。
トンネルをやめて、その上の峠を越える方法もあるが、登る標高は400mに増える。
我々はトンネルに向かって、ゆっくりと坂を登り始めた。

勾配が段々とキツくなる。
僕は今まで何度か自転車で山を登っているので、このくらいなら大丈夫だが、キューピーさんは初めてのヒルクライムだ。

QP「先に行っちゃっていいですよ」
僕「まぁ、休み休み行きましょう」

日足トンネルへ2.jpg

勾配のキツイ橋の辺りを登ってくるキューピーさん。
かなりヘロヘロになっている。
僕も大汗をかいている。

日足トンネルへ3.jpg

山の新緑も鮮やかだ。
こういう景色を見ながら、気を紛らわせないと登ってられない。
もう少しでトンネルだ。

トンネル前に着く。
歩道はあるが、『トンネル内工事中 歩行者通行止』の看板がある。
もし、途中で引き返すことになったどうしよう?
だが、進まないことには始まらない。

息を整えると、僕は防塵のためにサングラスとマスクをした。
キューピーさんもマスクを装着。

ゴォォォン、ゴゴォォォン、ゴゴゴゴォォン

トンネルの中には轟音が響いている。
通行する車や、排気のための換気扇の音が反響しているのだろう。

僕「凄い音がしてますけど…、行きましょうか」
QP「行くしかないですねェ」

我々はトンネルに飲み込まれていった。
僕はサングラスをしているので、かなり暗く見える。
しかもマスクをしているので、呼吸でサングラスが曇る。
暗いし曇ってるしで、ほとんど何も見えなくなる。

日足トンネル.jpg

そして、自転車で走る歩道の幅はとても狭く、1mもない。
油断すると、ハンドルを壁にぶつけてしまう。
それでも、車道を走ることは出来ない。
大型トラックが、80kmくらいで走ってくるのだ。

トラックの巻き起こす風圧で、自転車はよろめく。
壁にぶつかるのはまだいいが、車道に落ちたら大変なことになる。

こんな状態が約3kmも続くと思うと、気が遠くなる。
実際、マスクのせいで酸素不足になって気が遠くなっている。

『←680m 2085m→』

トンネル内には、何百メートルかごとに出口までの距離が表示されている。
かなり走っても、戻った方が出口に近い状態だ。
どんどん気が遠くなってくる。

(ああ〜、もう、見えない!)
僕はやがて、サングラスを外した。

ときどき後ろを振り返ってみると、40mくらい後方でライトが点滅している。
キューピーさんの自転車のライトだ。
(よし、ちゃんと来てるな)

トンネルの中は、少しだけ上り坂になっている。勾配1%もないかもしれない。
これが下り勾配になったら、もう上り坂は完全に終わりだ。

『←1380m 1385m→』

勾配は上りのままだが、トンネルの真ん中を越えた。
(これで半分!もう戻る方が遠くなった)

さらに進むと、歩道を遮るゴミがあった。
ゴミをどけて進む。

広い場所があったので、キューピーさんを待ちつつ休憩。
先ほどのゴミに引っ掛かってなければという不安もあった。

日足トンネル2.jpg

しばらく待つと、キューピーさんのライトが近付いてきた。
僕「いや〜、空気悪いですね〜。大丈夫ですか〜?」
QP「ハァ〜、苦しい〜。苦しいですねェ」

立ち止まって休憩していたいが、ここは空気が悪いので長居するほど苦しくなる。
先を急がねばならない。

また自転車を漕ぎ出す。
狭い歩道を、地味にスピードも出せずに走っていく。
出口までの距離が減っていくのが、とても救いだ。

前方で勾配が変わっているのが見えた。
(あそこから下りになっているな)

マスクのせいで気を失いそうになりながらも、やっと下り勾配になった。
時速も5kmほど早くなる。
(少し楽になったな〜)

その時、背後から叫び声が聞こえた。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 01:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 自転車奇行2007
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