NK君の提案だった。
旅行と絡めて実現するためにいろいろと調べたが、施設の良いとこはレンタルの値段が高い。
初心者で高級な自転車を借りて、レンタルに5千円以上かけるのはもったいない気もする。
と言って、みんなでママチャリで平坦路を走っても面白味がない。
なので、レンタル料の安かったキャンプ場にした。
キャンプ場の中に、初心者用から上級者用まで6つのマウンテンバイクのコースがある。
なかなか楽しめそうだ。
とりあえず2時間のレンタルでいいだろう。
レンタルを頼んでから1時間ちょい待つ。
その間、食べたりうろついたりして過ごす。
「サトウ様〜、自転車をご予約のサトウ様〜?」
『サトウ様』は僕らの前に予約を入れてた人たちだが、受付け近辺にはいないようだ。
という事は、一つ飛ばして僕らの番が来る。
「自転車をお待ちのタナカ…」
「はい!」
僕とNK君は受付けのすぐ横で返事をした。
これでようやく僕らに自転車が回ってきた。
4人それぞれに自転車を借りる。
自転車が大きくて、僕は脚が届かなかった。
脚が短いので、自転車を変えてもらう。
これでスタート出来ると思いきや、4人ともヘルメットが被れない。
自転車用のメットなど被ったこともないのだ。
あーでもない、こーでもない、後ろ前が逆だのと苦戦しながらも、何とか4人ともメットを装着し、スタート。
とりあえず車道の坂を登って、上のコースへ向かう。
ここで早速、浅野君の自転車のチェーンが外れ、オノ君はギアの変え方が分からないという問題が発生。
普通の舗装路の坂も登れない有り様だ。
僕以外の3人は、自転車に乗るのも久しぶりである。
ギアくらい簡単だろうと思ったら、僕以外の3人の自転車はギアチェンジの仕方がシフトレバー方式だった。
二つのレバーで、ギアのアップダウンを行う方式である。
しかも3人とも、制動力のあるディスクブレーキだ。
これは良いMTBだ。
僕のは普通の自転車と同じグリップシフト、Vブレーキだった。
脚が短いばかりに、面白味のないMTBになってしまった。
浅野君のチェーンを直して、ギアの説明をしながら、4人で並んで坂を登っていく。
浅野君は立ち漕ぎ、オノ君は重いギアで登っている。
「ギアは軽くした方がいいよ」
僕が説明するも、
「坂がキツくて、どっちが重いかもよく分からない」
そう言いながら、ギアをガチャガチャ変えている。
結局、重いギアで登っていた。
坂を登りきり、最初のMTBコースに入る。
オノ君が先頭、僕が2番手で林道を進んで行くも、しかし後が来ない。
心配になって戻ると、浅野君が坂を登るのに疲れて吐きそうになって水を飲んでいたらしい。
立ち漕ぎで坂を登っていたので、一気に疲れたのだろう。

僕が最後尾になって進んでいく。
写真を撮りながらアップダウンを繰り返して走っていくと、浅野君に追い付いた。
「先に行っていいよ〜」
浅野君はバテバテになってる。
「うん、まぁゆっくり行こうよ」
僕が後ろから励ましながら、コースの出口に着いた。
ここで浅野君は倒れこんでしまった。
「フットサルで1試合やるより疲れるね…」
チームの中でも体力のある浅野君だったが、かなり疲れている。
先頭を走っていたオノ君も、余裕そうに見えたが座り込んでいる。
「もう脚が動かない…」
約2kmのコースだったが、慣れない未舗装路の上り下りで疲労したのだろう。
「もうダメだ〜…。気持ち悪くなっちゃった。走れない、戻ります…」
「俺もダメだ、吐きそう、戻るよ。膝が笑ってる」
浅野君とオノ君が離脱宣言。
「僕も太股がパンパンになってるよ」
チームでいちばん体力のあるNK君も、脚が疲労してしまったようだ。
フットサルをやっていても、自転車は使う筋肉が違うのだろう。
「なんか苦しいんだけどさ、ここって標高が高いから空気薄いんじゃないの?」
「そうだよ、妙に疲れると思ったら、標高のせいもあるよ〜」
ここは標高1600m。
確かに酸素濃度も薄いのかもしれない。
「じゃあ、戻りがてらもう一つのコースも行ってみようよ。ここまで登りだったから、ほとんど下りだと思うよ」
僕はみんなを励ましながら、次のコースへ向かった。
次のコースは下りメインだったが、最初のコースより狭くてテクニカルだった。
後輪は滑り、前輪はハンドルを取られる。
下の方から、先に走っていった浅野君の叫び声が聞こえる。
僕は最後尾でビデオ撮影をしながら走り始めたが、とても片手ハンドルで走れるような道ではなかった。
草木に突っ込みながら停車して、ビデオカメラを仕舞う。
カメラには草や地面、空が映っていた。
みんなは大丈夫だろうか?
〜続く〜
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この文章以上の悲壮感、というか疲労感が漂ってたね。
試合でも皆あんなにはならないもんね。
僕は毎日めまいしてるけど。