早朝で車内は空いていたが、浦和に近付くに連れて混んできた。
電車の最前列に折り畳んだ2台の自転車を置いていたが、このラッシュでは迷惑極まりない。
さらに僕は汗でシャツが湿っている。
誰かと触れたら、特に女性と触れたら気持ち悪がられるのは間違いない。
2台の自転車の間に挟まるように壁に張り付いていた。
そのラッシュも、武蔵浦和駅で解消された。
乗客の9割が降りていった。
埼京線に乗り換えて都内へ向かうのだろう。
あのままラッシュだったら、自転車にぶつかって痛がる乗客がいたかもしれない。
西国分寺駅で青梅線に乗り換える。
後は終点青梅まで乗りっぱなしだ。
拝島駅から先は初めて通るが、山が見えていて良い雰囲気だ。

7時20分頃、青梅駅に到着。
通勤通学客が、東京行きに乗り込んでいく。
周りの雰囲気は良いが、都内へ向かうのは大変そうだ。
ガシャーン!
ここでキューピさんの自転車を入れた袋の金具が折れ、肩から吊り下げてた自転車が地面に落ちた。
その際、キューピーさんも打撲を負った。
「自転車の出っ張りで恥骨を痛めました…」

青梅駅構内は、レトロな看板でいっぱい。
なかなか面白い駅である。
駅前で自転車を組み立てて、気付いた。
タイヤの空気が減っている!
でも大丈夫。
携帯空気入れを持ってるから。
…て、あれ!?
バルブが上手く合わない!
これじゃ空気が入れられない!
どうしようかと思ったら、駅前に交番がある。
「すみません、空気入れありませんか?あったら貸して頂きたいのですが」
「ああ、ありますよ」
「ありがとうございま〜す!助かります」
交番で空気入れを借りて、一件落着。
危ないところだった。
コンビニで飲み物や食料を補給。
僕はおにぎりを買ってその場で食べたが、キューピーさんはお弁当を買ったのでその場では食べにくい。
「どこかで止まってから食べますよ」
「そうですか、では心霊スポットで食べますか?」
8時過ぎ、ようやく青梅駅を出発。
青梅駅には南口しかなく、僕らが向かう先は駅の北側だ。
線路を渡って北に向かうも、細い道ばかりで行き止まり。
駅の北側は山になっているのだ。

やっと北に続く道を見付けたが、急な上り坂だった。
僕もキューピーさんも、登りきれずに自転車を降りて押し歩き。

トンネルを抜けると下りが始まり、快適に下っていく。
どんどん下っていく。
登った標高より下っている感じなので、あとで登る量が増えるという事だ。
雰囲気の良い道を走って、成木街道を西に向かうと吹上峠がある。
坂を登っていくと、新吹上トンネルが見えてきた。
後ろを振り返ると、キューピーさんはまだ来ていない。押し歩いているのだろう。

青梅駅を発ってから30分、新吹上トンネル到着。
このトンネルの右手から、心霊スポットの旧吹上トンネルに行ける。
旧々吹上トンネルは、さらに上だろうか。
旧吹上トンネルに向かうと車止めの柵があり、車は通れない。
キューピーさんはまだ来てないが、僕は柵の間を抜けてトンネルに向かう。
湧き水で濡れた路面を登っていくと、旧トンネルはすぐそこにあった。
真っ黒い口を開けて待ち構えている。
でも、旧々トンネルに向かう登り口がない
先に旧々トンネルに行ってから、こちらの旧トンネルを抜ける方が時間のロスが少ないので、目の前にある旧トンネルは後回しだ。
旧々トンネルへは、ここに来る手前にあった細い道から登っていくのかもしれない。
キューピーさんも来てないことだし、一旦戻ろう。
アハハハハ
その時、僕は笑い声を聞いた。女性の声だ。
聞こえる方向はトンネルの上の山。
見上げると、木々が生い茂っている。
誰か山の中を歩いているのだろうか?
(ハイキングでもしてんのかな?もしくは、僕らより先に旧々トンネルに行ってる人の笑い声かも)
そう考えて、僕は自転車の向きを変えて坂を下りだした。
車止めの柵を抜けようとしたその時!
僕は急ブレーキを掛けた!
目の前に、柵の横棒があったのだ。
柵の縦の棒は見えていたが、路面の色に溶け込んで横棒が見えてなかった。
危ないとこだった。
あのまま柵に突っ込んでいたら、6月の時と同じく後輪が浮き上がって前方に投げ出されていたかもしれない。
〜続く〜
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