下流から順に、大滝、出合滝、カニ滝、初景滝、蛇滝、エビ滝、釜滝となっている。滝は全部『たる』と読む。
最初の大滝を忘れて、歩き始めたのが出合滝からだった。
遊歩道から階段を降りていくと、二つの流れが合流する滝がある。だから出合滝だ。
いい角度で写真が撮れなかった。
相変わらずタカちんは、階段に強い。
でも、足元を見ると、サンダルなのだ。
確か旅行前、僕はみんなに「滝を見るのに山道を歩くので、歩きやすい靴を用意してきて下さい」と言ってあったのだが。
(おかしいな、あのサンダルはかなり高性能なサンダルなのか?)
僕はとても不思議だったが、我々4人の中で最も階段に強いのがタカちんなのだ。
(きっと高級サンダルなんだな)
僕はそう思うことにした。
滝周辺は蚊が多く、油断すると刺される。
後ろを振り返ると、キューピーさんが踊っていた。
(滝を見て浮かれているのかな?)
「何してんすか?」
「蚊がいるんで常に動いてないと…」
なるほど、蚊除けのダンスだったか。

遊歩道に戻って、上流へと歩いていくとカニ滝だ。
川の中に散在する岩が、カニの甲羅に見えるということだ。
滝というよりは、急流といった感じだが。

さらに上流へ歩くと、落差10m、幅7mの初景滝(しょけいだる)だ。
ちょうど小学生がたくさんいて、混んでいた。
小学生がいなくなった隙に、落ちていた枯れ木を拾って記念撮影。子供には見せられない姿だ。

滝の前に伊豆の踊り子の像がある。
この像があるので、みんなここで写真を撮っていく。
像にはカタツムリがくっついていた。
さて、次の滝に向かいたいが、この辺から一気に標高を上げていく。
上り階段が続き、けっこうキツイ。
僕はあえて、走って登っていった。
階段を過ぎるとまた平地になったので、息を切らしながらも僕は川原へ降りてみた。
その瞬間、岩の苔で靴が滑った!
柵を掴んでいたので転びはしなかったが、岩は一面苔に覆われているので、これでは川原に降りていけない。
足元のおぼつかない僕の横を、すたすた歩いていったのがタカちんだった。
苔むした岩の上でもバランスを崩していない。
(やっぱり高性能なサンダルなんだ!)
タカちんは岩の上に立ち、水の流れを挟んだ向こうの岩に飛び移ろうとしている。
簡単に飛び移れる距離だが、向こうの岩にも苔は生えているのだ。
踏み切る時に滑るか、着地で滑る危険性がある。
「危ないんじゃない?」
僕は引き止めたが、タカちんは軽々と飛び移った。
(どんだけ高性能なんだ!?)
僕も向こうの岩に飛び移りたいが、万が一滑って転んだら水に落ちる。
それだけならいいが、横は滝っぽくなっているのでそちらに落ちたら大怪我をしかねない。
タカちんは川の真ん中辺りまで行って、気分良さそうに自然を満喫している。
(くっそ〜、すぐそこなのにくやし〜)
僕が万が一を考えて動けない内に、タカちんがまたこちらの岩に飛び移って戻ってきた。
「すごいね、よく滑らないね」
「子供の時はよく川で遊んだんで懐かしかったです」
僕も子供の頃は川で遊んでたが、この差はなんだ?
サンダルの差か?
僕の靴は1500円の安物なのだ。

お次は蛇滝。
滝は大したことないが、滝の上流が曲がりくねっている。
さらに川底の石がウロコみたいなので、蛇滝という。

次はエビ滝だが、ここが分かれ道になっている。
右を見ると、エビ滝を見下ろしながらの遊歩道が続いている。吊り橋も見える。
左を見ると、木々の合い間に上り階段が続いている。
ここで僕の悪い癖が出た。
みんなが右の道を行くところ、僕だけ左の階段を登っていった。
階段はけっこう急で、どんどん上に登っていくが木々の隙間からみんなの姿は見えている。
僕は、このまま登って降りればみんなと合流できるはずと思って進んでいく。
ところが、みんなが後ろを振り返りながら歩いているのが見えた。
(しまった!みんなが心配してる!?また迷惑かけた…)
声を出して自分の位置を伝えようとしたが、滝があるので水音で声が通らない。
(やっべ〜)
僕は走って階段を昇り降りし、みんなの前方から現れた。
「ゴメ〜ン、こっちです〜」
「あれ、いつの間に?」
みんなが気付いた。

そして最も上流にある、落差22mの釜滝を見る。
横に大岩があるので、反響音が凄い。
ここで遊歩道は終わりだ。
吊り橋を戻ろう。
吊り橋は、前日までの雨で中央部分が水浸しになっていたので、端を渡っていく。
トモっち、キューピーさんと渡り終え、サンダルのタカちんも渡っていく。
その時、僕の3m前方でタカちんが足を滑らせた!
タカちんの足が吊り橋のロープの外側に出た!
(あっ、落ちた!?)
僕は一瞬、凍りついたが、タカちんはとっさに吊り橋のロープを掴んで尻もちだけで済んだ。
もし横にずれていたら、5m下に転落だった。
「だ、大丈夫〜?」
「大丈夫です〜。ああ、ビックリした〜」
ちょうど橋の端っこに尻もちをついたので、溜まった雨水で濡れることもなかった。
ただ、スネをぶつけたらしいが、大事なくて良かった良かった。
みんなで一安心。
(高性能なサンダルじゃなかったんだ…)
〜続く〜
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