セルフタイマーをセットして、峠の石碑の前に立つ。
カシャッ

車が通りやがった!
自転車しか写ってねェ!
写真を撮った後は、軽井沢へ向けて坂を下る。
(寒〜〜〜〜っ!!)
峠から軽井沢駅までは2kmもない。
坂の勢いで、ほとんど漕がずに軽井沢駅到着。
軽井沢に来たら気温が低くなった気がするが、汗がひいたからかな。

軽井沢に来るのは、十年以上振りだ。
懐かしいというより、記憶にない。
駅周辺を走り回りたかったが、時間がない。
時刻は2時40分だが、クリスマスイブに会えなかった後輩と夜に会う約束があったので早く帰ろう。
だいたい、高崎までは40km以上あるのだから、途中で日が暮れるかもしれない。
さっき下ったばかりの坂を登って再び峠へ。
ここで着替えをして、下りモードに。
(行っくぞ〜〜!)
ゴォォォォ!ガタガタガタガタ
風の音が耳を裂く。
路面が悪いので、振動がすごい。寒くて震えているのではない。
振動で腕が痛くなるので、なるべく路面の悪くないところを通っていこう。
カーブの数を示すC184の看板が、180、170と減っていく。
せっかく苦労して登った道をすぐに引き返すのはもったいないが、自分で稼いだ標高を位置エネルギーに変えて楽をしているのは、とても気分が良い。
路面が凍結しているところは登る時にチェックしていたので、減速して踏まないように下りていく。
ちなみに、今日はちゃんとヘルメットを被っている。
ロードレーサーの乗車姿勢は前傾姿勢なので目線も低くなり、速いと思ってもそんなにスピードは出ていない。
50km以上出てると思ってメーターを見ると、42kmくらいだ。
折り畳み自転車の方がスピード出てたな…。
でも、さすがロード。
高速走行時のハンドリングは抜群だ。
折り畳みでは28km以上出すと思い描いたラインより膨らんだが、ロードなら30km以上でも大丈夫だ。
C140…130…120…
(こんなに登ってたんだ…)
下っても下っても、まだ下りは続く。
C100を切っても、まだ半分以上残ってるのだ。
(楽しいな〜〜〜)
寒いけど、車体を傾けて次々にコーナーを抜けていくのは面白い。
箱根の時の何倍もコーナーがあるのだ。
登った甲斐があるというものだ。
しかも、休憩はしたものの、自転車の押し歩きはしていない。
(箱根の時より成長したかな?)
ロードの性能だろう。箱根はMTBだったし。
下りが終わって横川駅まで戻ってきた。
ここから電車に乗って帰れば楽なのだが、高崎駅のロッカーに荷物のほとんどを置いてきてしまった。
自転車を仕舞う袋もロッカーの中だ。
だから電車には乗れない。
高崎まで残り20km以上を自走するしかない。
来る時に通った国道18号は、最短距離だがアップダウンが多いので少し迂回しよう。
松井田の街中を通ったが、平坦で楽だった。
後は再び国道18号に合流して、高崎まで真っ直ぐだ。

振り返ると、妙義山の向こうに夕日が沈んでいく。
(高崎に着く前に日が暮れたらイヤだな〜)
ひたすら漕ぐ。
時速30km以上でも楽に漕げるのは、追い風というよりは、高崎に向かって微妙に下り坂なのだろう。
午後5時、薄闇の中、高崎駅到着。
駅のロッカーを開け、自転車を分解して袋に入れる。
(ロッカーに荷物入れてなければ、横川から電車乗れたのにな〜)
今日は、いろいろ裏目に出ている。
そして、上野行きの高崎線に乗る。
座席に座ったら、途端に眠くなってきた。
寝てないので仕方ない。
途中の駅で目を覚ますと、車内がけっこう混んできた。
このまま上野駅まで乗ってると帰宅ラッシュに巻き込まれるので、都内を通らないように熊谷駅で秩父鉄道に乗り換えだ。
羽生駅で東武鉄道に乗り換え、JR武蔵野線と乗り継いで新松戸駅で降りる。
自転車を組み立てて、午後9時、近くのびっくりドンキーで後輩と合流。
「お〜す!」
「え〜、ホントに軽井沢から帰って来たんすか〜?」
久しぶりに会ったので、長々と食べてしまった。
駐輪場に行くと、後輩の自転車がシャッターの向こうに。
閉店時間が来て、シャッターが下ろされたようだ。
僕の自転車は別の駐輪場に停めたので無事だった。
「今日は歩いて帰って、明日取りに来ます…」
「そう、呼び出しといてすまんね…」
後輩と別れて、午後11時過ぎ、帰宅。
この日の走行距離は108km。
久しぶりに100kmを超えたな。
徹夜で飲んだ後に寝ないで走った割りには、走れた方だろう。
寝て起きた次の日、記憶が薄い。
昨日軽井沢に行ったはずなのに、行った記憶があまりない。
たぶん寝ないで走っていたから、記憶がおかしくなってたんだろう。
写真には軽井沢駅や碓氷峠が写っていて、確かに僕は峠を越えたと確信した。
〜碓氷峠編・完〜
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