いつもモテない話ばかりなので、たまには逆の話もしよう。
小学4年生の時の話だ。
放課後、僕は教室に残っていた。
周りにも数人残っているが、男は僕ひとりだった。
僕は席に着いて、何かをしていた。
周りでは女の子たちが話をしている。
「ちょっと〜」
声を掛けられて顔を上げると、僕の周りに女子生徒が集まってきていた。
「アンタ、誰が好きなの?」
「えっ?」
僕は思いもよらない質問にたじろいだ。
「この中に好きな人いるの?」
僕は女の子に囲まれている。
その数7、8人。
周りを囲んで逃げられなくしておいてから、この質問だ。
まったく、女の子は早熟だ。
さて、僕の好きなコと言えば、いるにはいた。
ただ、誰か特定のコが好きというのはなく、何人も好きなコがいた。
僕は運動が出来なかったので、活発なコには誰にでも憧れを抱いていたというところか。
「誰が好きなの!?」
「誰、誰?」
「いるんでしょ?」
女の子が詰め寄ってくる。
「え?いないよ〜」
僕はとりあえず、そう言った。
「うそ!ホントはいるんでしょ?」
女の子たちは一歩も引かない。
「え〜と…え〜と…」
僕はかなり困った。
今、自分を囲んでいる女子の中にも、僕が好意を持っているコは3人くらいいたが、言えるはずもない。
ちょうど、教室の後ろの壁に、クラス全員分の習字の半紙が貼り出してあった。
ひとりずつ、「勝利」とか「整理整頓」とか、好きな言葉を書いて貼ってあるのだ。
困り果てた僕は、立ち上がって半紙を数えだした。
「だ〜れ〜に〜し〜よ〜う〜か〜な〜、て〜ん〜の〜か〜み〜さ〜ま〜の〜」
出席番号順に貼られた半紙を、女子のとこだけ指さして数える。
(どうしよう、数え終わったらどうしよう……)
女の子たちは、僕の数える半紙を見ている。
(今だ!)
僕は女の子たちの隙を突いて、囲みを突破した。
走って教室から逃げ出す。
「あ!待ちなさいよ!!」
「待て〜!!」
女の子が僕を追ってくる。
廊下に出たが、走って逃げても僕は走るのが遅いので追い付かれてしまうだろう。
(どうしよ〜?)
僕は男子トイレに駆け込んだ。
ここなら追ってこれないはずだ。
ドンドン、ドンドン
「出てこ〜い!」
女の子がトイレの入り口のドアを叩く。
(早くあきらめて帰ってくれないかな〜?ランドセルも取りに戻らなくちゃならないし…)
持久戦を覚悟した僕の目の前で、信じられない事が起こった!
ギ〜〜〜
トイレの入り口の扉が開けられ、女の子たちが雪崩れ込んできたのだ!
「こら、逃げるな〜」
「放課後だから、トイレには誰も入ってないもんね」
僕の作戦は失敗に終わった。
僕は教室に連れ戻された。
「誰が好きなの?」
「言いなさいよ!」
女の子たちは本気らしい。
「分かった、分かった…言うよ、言えばいいんでしょ」
僕はランドセルを背負いながらそう言った。
女の子たちが僕に注目する。
次の瞬間、僕は踵を返して逃げ出した。
「あっ!待て〜っ!!」
女の子の一人が僕のランドセルを掴んだ。
掴まれながらも、廊下を逃げる。
女の子が強い力で引っ張る。
「ま〜て〜!!」
(ヒェ〜〜〜!)
僕は渾身の力を振り絞って、女の子の手を振り解いた。
そのまま階段を駆け降りる。
階段の踊り場でターンする時に階段の上が見えたが、女の子たちは階段の上で止まったまま、追いかけてはこなかった。
(助かった……)
僕は安堵して帰った。
かなりの恐怖体験だった…。
今思えば、追い掛けられているうちが花だったな。
7人以上の異性に囲まれて「誰が好きなの?」なんてのは、二度とないだろう。
子供だからこその思い出だ。
大人になってからそんなんなったら、修羅場確実だな。怖っ。
2008年01月16日
2007年09月28日
バスとバイクの衝突事故
昔、小学校高学年くらいの時だろうか、バスに乗っていて事故に遭った事がある。
夏休みだか冬休みだか忘れたが、田舎に泊まりに行っていた。
田舎は山奥で、街まで出る用事があったので、僕は一人でバスに乗っていた。
後部座席はコの字型になっており、車体真ん中から後ろ半分が、電車の座席のように向かい合わせになっている。
最後部座席のみが、前方を向いて座る形だ。
僕は、コの字の向かい合わせの席に座っていた。
進行方向に対して、横を向いている状態だ。
つづら折りのカーブが続く道だった。
カーブを曲がってバスが加速していくと、対抗車線に車が走ってくる。
その車を追い越そうと、突如バイクがこちらの車線に飛び出してきた!
バスが急ブレーキを掛ける!
ガシャ〜ン!!
ビッシャ〜〜!
衝突音がした!
僕は横倒しになりかけたが、その時、何かが僕の目の前を飛んでいった!
一瞬、何が起きたか分からなかった。
僕の座る席と平行に、何かがバスの床に飛び散っている。
(……ゲロだ!!)
最後部の席に小さな子が、口元にゲロを垂らして放心状態になっている。
バスが急ブレーキを掛けたため、車酔いして吐きそうになってたその子が、前のめりになって吐いてしまったのだろうか。
慣性の法則と吐く勢いで、吐き出されたゲロは前方に3m以上も飛び散ったのだ。
床に散らばったソレも気になるが、バイクはどうなったろう?
窓から外を見るも、よく見えない。
どうやらバイクは、バスの下に入ってしまったようだ。
その後の事は、あまり覚えていない。
対抗車線側にガードレールがあって、そこにライダーがしがみ付いている映像が記憶にある。
事故って吹っ飛んでガードレールの下に落ちたのか、バスの下に入ってしまって這い出てきたのか…。
確か、太股を折ったらしいが。
バスの下敷きになってしまったバイクを引きずり出すのに、時間が掛かった記憶もある。
その間、ゲロはそのままで、とても気まずかったはずだ。
バスが走りだしてからも、ヘアピンカーブごとに横Gで、ゲロが床を横に流れて、大変な状況だった。
これ以降、ゲロがあんなに飛んだのを見た事がない。
夏休みだか冬休みだか忘れたが、田舎に泊まりに行っていた。
田舎は山奥で、街まで出る用事があったので、僕は一人でバスに乗っていた。
後部座席はコの字型になっており、車体真ん中から後ろ半分が、電車の座席のように向かい合わせになっている。
最後部座席のみが、前方を向いて座る形だ。
僕は、コの字の向かい合わせの席に座っていた。
進行方向に対して、横を向いている状態だ。
つづら折りのカーブが続く道だった。
カーブを曲がってバスが加速していくと、対抗車線に車が走ってくる。
その車を追い越そうと、突如バイクがこちらの車線に飛び出してきた!
バスが急ブレーキを掛ける!
ガシャ〜ン!!
ビッシャ〜〜!
衝突音がした!
僕は横倒しになりかけたが、その時、何かが僕の目の前を飛んでいった!
一瞬、何が起きたか分からなかった。
僕の座る席と平行に、何かがバスの床に飛び散っている。
(……ゲロだ!!)
最後部の席に小さな子が、口元にゲロを垂らして放心状態になっている。
バスが急ブレーキを掛けたため、車酔いして吐きそうになってたその子が、前のめりになって吐いてしまったのだろうか。
慣性の法則と吐く勢いで、吐き出されたゲロは前方に3m以上も飛び散ったのだ。
床に散らばったソレも気になるが、バイクはどうなったろう?
窓から外を見るも、よく見えない。
どうやらバイクは、バスの下に入ってしまったようだ。
その後の事は、あまり覚えていない。
対抗車線側にガードレールがあって、そこにライダーがしがみ付いている映像が記憶にある。
事故って吹っ飛んでガードレールの下に落ちたのか、バスの下に入ってしまって這い出てきたのか…。
確か、太股を折ったらしいが。
バスの下敷きになってしまったバイクを引きずり出すのに、時間が掛かった記憶もある。
その間、ゲロはそのままで、とても気まずかったはずだ。
バスが走りだしてからも、ヘアピンカーブごとに横Gで、ゲロが床を横に流れて、大変な状況だった。
これ以降、ゲロがあんなに飛んだのを見た事がない。
2007年04月08日
カブトムシ
子供の頃はカブトムシが大好きだった。
夏休みに田舎の秩父の家に泊まりに行く度に、カブトムシを何匹も捕まえた。
クワガタも捕まえたが、カブトムシの方が好きだった。
Tの字に開いた角、太い脚、とてもカッコ良く感じた。
夏休みが終わる頃、千葉に戻ってくるのだが、もちろんカブトムシも一緒だ。
帰りの車の中でカブトムシで遊んでいたら、おしっこをされた。
スイカやキュウリの混ざったような匂いだった。
エサがスイカなどだったからだ。
とても匂いが強かったので、少しカブトムシが嫌いになった。
友人の浅野君にカブトムシをあげた事がある。
「大切に育てるよ」
彼はそう言って持って帰ったが、数日後…。
「朝起きたら死んでた。虫カゴが開いてて、窓に当たって脳震盪を起こして死んだっぽい」
夏が終わればカブトムシは死んでしまう。
僕の家のも、次々に死んでいく。
死んだら、庭に埋めてあげる。
もちろん、翌年も懲りずに捕まえるのだが、そんなカブトムシ生活にもいつか終焉がくる。
そろそろ夏休みも終わる頃、田舎の家の外に設置してあったカブトムシ小屋の中を覗くと、カブトムシが死んでいた。
最初は生きているかと思ったが、木に掴まったまま死んでいた。
僕は、カブトムシの頭の角を持って持ち上げようとした。
カブトムシの脚は木をガッチリ掴んでいて、死んでいるのになかなか離れない。
少し力を入れて引っ張ると、カブトムシの頭がもげた。
胴体を木の上に残したまま頭だけが取れてしまって驚いたのだが、それ以上にビックリする事があった。
(うわ〜ッ!!)
カブトムシの頭の中には、何匹もの蛆虫が詰まっていたのだ!
胴体にも蛆虫が詰まっている!
蛆虫が食べてしまったのか、中身はスカスカだ!
蛆虫が蠢いている!
僕はカブトムシの頭を投げ捨てた。
生き残っていたカブトムシは逃がした。
それ以来、カブトムシを捕まえるのは好きではなくなった。
今では、触るのも好きではない。
夏休みに田舎の秩父の家に泊まりに行く度に、カブトムシを何匹も捕まえた。
クワガタも捕まえたが、カブトムシの方が好きだった。
Tの字に開いた角、太い脚、とてもカッコ良く感じた。
夏休みが終わる頃、千葉に戻ってくるのだが、もちろんカブトムシも一緒だ。
帰りの車の中でカブトムシで遊んでいたら、おしっこをされた。
スイカやキュウリの混ざったような匂いだった。
エサがスイカなどだったからだ。
とても匂いが強かったので、少しカブトムシが嫌いになった。
友人の浅野君にカブトムシをあげた事がある。
「大切に育てるよ」
彼はそう言って持って帰ったが、数日後…。
「朝起きたら死んでた。虫カゴが開いてて、窓に当たって脳震盪を起こして死んだっぽい」
夏が終わればカブトムシは死んでしまう。
僕の家のも、次々に死んでいく。
死んだら、庭に埋めてあげる。
もちろん、翌年も懲りずに捕まえるのだが、そんなカブトムシ生活にもいつか終焉がくる。
そろそろ夏休みも終わる頃、田舎の家の外に設置してあったカブトムシ小屋の中を覗くと、カブトムシが死んでいた。
最初は生きているかと思ったが、木に掴まったまま死んでいた。
僕は、カブトムシの頭の角を持って持ち上げようとした。
カブトムシの脚は木をガッチリ掴んでいて、死んでいるのになかなか離れない。
少し力を入れて引っ張ると、カブトムシの頭がもげた。
胴体を木の上に残したまま頭だけが取れてしまって驚いたのだが、それ以上にビックリする事があった。
(うわ〜ッ!!)
カブトムシの頭の中には、何匹もの蛆虫が詰まっていたのだ!
胴体にも蛆虫が詰まっている!
蛆虫が食べてしまったのか、中身はスカスカだ!
蛆虫が蠢いている!
僕はカブトムシの頭を投げ捨てた。
生き残っていたカブトムシは逃がした。
それ以来、カブトムシを捕まえるのは好きではなくなった。
今では、触るのも好きではない。
2006年12月09日
高校見学3
中学3年の秋。
高校見学に行ったのに、その高校に辿り着けないという失敗をしでかしたので、もう一度見学を試みた。
見学先は、柏日体高校。
僕と小野君の二人で、前回の徒歩での失敗を踏まえて自転車で向かうことにした。
柏駅から高校までの距離が近いと思い込んでいたのが失敗に繋がった。
むしろ、柏駅を経由せずに自転車で向かうのが手っ取り早いと踏んだのだ。
国道16号線は、まずは南に向かわないといけない。
前回は東にのみ進んでいたので辿り着けなかったのだ。
16号は交通量が多いので、僕らは歩道を走っていた。
(今度こそ高校見学を成功させるぞ!)
そんな意気込みである。
その時だ。
パァン!
小野君の自転車が急にパンクした。
どうやら、道端に置いてあった植木鉢を避けようとしたらパンクしたらしい。
タイヤは、パンクというより、かなり弾けてバーストしている。
これでは走行は不可能なのはもちろん、修理も不可能である。
仕方なく自転車を押して歩いていく。
僕の自転車は何ともないのだが、先に行ってしまうわけにもいかない。
前方にトンネルがあった。
トンネルを自転車を押していくのは、排気ガスや巻き上げられた塵でキツい。
というか、僕らは南に行き過ぎていた。
トンネルまで南下してしまってはいけないのだ。
道には迷うわ、パンクはするわで、また高校に辿り着けないのではないかと不安になってくる。
自転車を押して、ようやく国道から柏日体高へと続く道に入った。
そのまま数百メートル行くと、学校が見えてきた。
「あれじゃない?」
「やっと着いたか!」
しかし、校門の表記が『柏日体高校』ではなく、『日本橋学館大』となっていた。
「これ、大学じゃん?」
「また道を間違えたのか?」
「もう一個学校あるよ。あっちじゃない?」
見ると、隣りにも学校がある。
しかし、表記は『柏学園』だった。
「柏日体ないじゃん。潰れたのか?」
「前回も辿り着けなかったし、幻の高校なのかもしれないな…」
…半ば柏日体高校の見学は諦めたのだが、もう何百メートルか先に進んでみると、そこに『柏日体高校』はあった。
「あった!ここだよ!」
「おお!ここだ、ここ!確かに柏日体だ」
「おお〜」
「やった〜」
僕ら二人は、柏日体高に辿り着けたことに満足したのか、中身を見学しないままに引き返した。
『高校を見学する』という目的が、迷走やらパンクやらの内に、いつの間にか『柏日体高を探し出す』という目的にすり替わってしまったのかもしれない。
そしてきっと、疲れきっていたのだろう。
せっかく見学に行ったのだが、結局は誰も柏日体高校を受験しなかった。
高校見学に行ったのに、その高校に辿り着けないという失敗をしでかしたので、もう一度見学を試みた。
見学先は、柏日体高校。
僕と小野君の二人で、前回の徒歩での失敗を踏まえて自転車で向かうことにした。
柏駅から高校までの距離が近いと思い込んでいたのが失敗に繋がった。
むしろ、柏駅を経由せずに自転車で向かうのが手っ取り早いと踏んだのだ。
国道16号線は、まずは南に向かわないといけない。
前回は東にのみ進んでいたので辿り着けなかったのだ。
16号は交通量が多いので、僕らは歩道を走っていた。
(今度こそ高校見学を成功させるぞ!)
そんな意気込みである。
その時だ。
パァン!
小野君の自転車が急にパンクした。
どうやら、道端に置いてあった植木鉢を避けようとしたらパンクしたらしい。
タイヤは、パンクというより、かなり弾けてバーストしている。
これでは走行は不可能なのはもちろん、修理も不可能である。
仕方なく自転車を押して歩いていく。
僕の自転車は何ともないのだが、先に行ってしまうわけにもいかない。
前方にトンネルがあった。
トンネルを自転車を押していくのは、排気ガスや巻き上げられた塵でキツい。
というか、僕らは南に行き過ぎていた。
トンネルまで南下してしまってはいけないのだ。
道には迷うわ、パンクはするわで、また高校に辿り着けないのではないかと不安になってくる。
自転車を押して、ようやく国道から柏日体高へと続く道に入った。
そのまま数百メートル行くと、学校が見えてきた。
「あれじゃない?」
「やっと着いたか!」
しかし、校門の表記が『柏日体高校』ではなく、『日本橋学館大』となっていた。
「これ、大学じゃん?」
「また道を間違えたのか?」
「もう一個学校あるよ。あっちじゃない?」
見ると、隣りにも学校がある。
しかし、表記は『柏学園』だった。
「柏日体ないじゃん。潰れたのか?」
「前回も辿り着けなかったし、幻の高校なのかもしれないな…」
…半ば柏日体高校の見学は諦めたのだが、もう何百メートルか先に進んでみると、そこに『柏日体高校』はあった。
「あった!ここだよ!」
「おお!ここだ、ここ!確かに柏日体だ」
「おお〜」
「やった〜」
僕ら二人は、柏日体高に辿り着けたことに満足したのか、中身を見学しないままに引き返した。
『高校を見学する』という目的が、迷走やらパンクやらの内に、いつの間にか『柏日体高を探し出す』という目的にすり替わってしまったのかもしれない。
そしてきっと、疲れきっていたのだろう。
せっかく見学に行ったのだが、結局は誰も柏日体高校を受験しなかった。
2006年12月08日
高校見学2
受験シーズンも近付いた中学3年の秋の頃。
僕と、同じクラスの小野君と金川君と3人で高校見学に行った。
向かった先は、柏日体という高校だった。
僕らは柏駅から歩いて向かうことにした。
地図で見れば、柏駅からすぐそばに思えたのだ。
柏駅で電車を降りて、東へ15分ほど歩く。
国道16号線を渡り、柏公園の横を抜けていく。
大して歩いていないが、僕らはずいぶん歩いた気がしていた。
「なかなか柏日体に着かないねェ」
「16号を渡ればすぐだと思ったんだけどね」
「まぁもう少し行ってみれば着くんじゃないの?」
本当は、少し南に向かわなければならなかった。
僕らアホ中学生の頭では、地図と実際の距離の差を考えることが出来なかったのだ。
この辺の土地は、手賀沼に向かって下り坂になっているのだが、僕らは見たこともないような急な下り坂に遭遇した。
この坂を下りていったら、万が一道が違っていた時に戻ってくるのが、上りでキツくなる。
「こっちかねェ?」
「行き過ぎってことはない?」
「でも高校らしき建物はなかったけどな〜」
僕らは、無い頭脳で考える。
どうも道を間違えている気がするが、誰もそれを認めたくない。
その時、下り坂の向こうに、大きめの建物が見えた。
「あそこに見えるの、高校じゃない?」
「ああ、そうだ。あれだよ」
「こっちで合ってたんだね」
僕らは、高校を見つけて喜び勇んで坂を下りていった。
そのまま手賀沼の周辺道路を歩いていく。
20分くらい歩いていくと、建物が見えてきた。
「あっ!」
「えっ!?」
「何ィ?」
…建物は駅だった。
柏駅の隣りの北柏駅の駅舎だったのだ。
それを遠目に見て校舎と勘違いし、坂を下ってしまったので建物は見えなくなり、間近に接近するまで駅だと気付かなかったのだ。
「どうするよ?」
「これから高校に向かっても日が暮れちゃうよね」
「とりあえず今日のところは帰るか?」
「そうするか…」
「全く、何しに来たんだよ〜」
僕らは、高校見学に行ったつもりが、ただ柏駅から北柏駅まで遠回りしながら1時間近く歩いていっただけになってしまった。
中学3年、前途多難。
そんな、秋の日の思い出。
僕と、同じクラスの小野君と金川君と3人で高校見学に行った。
向かった先は、柏日体という高校だった。
僕らは柏駅から歩いて向かうことにした。
地図で見れば、柏駅からすぐそばに思えたのだ。
柏駅で電車を降りて、東へ15分ほど歩く。
国道16号線を渡り、柏公園の横を抜けていく。
大して歩いていないが、僕らはずいぶん歩いた気がしていた。
「なかなか柏日体に着かないねェ」
「16号を渡ればすぐだと思ったんだけどね」
「まぁもう少し行ってみれば着くんじゃないの?」
本当は、少し南に向かわなければならなかった。
僕らアホ中学生の頭では、地図と実際の距離の差を考えることが出来なかったのだ。
この辺の土地は、手賀沼に向かって下り坂になっているのだが、僕らは見たこともないような急な下り坂に遭遇した。
この坂を下りていったら、万が一道が違っていた時に戻ってくるのが、上りでキツくなる。
「こっちかねェ?」
「行き過ぎってことはない?」
「でも高校らしき建物はなかったけどな〜」
僕らは、無い頭脳で考える。
どうも道を間違えている気がするが、誰もそれを認めたくない。
その時、下り坂の向こうに、大きめの建物が見えた。
「あそこに見えるの、高校じゃない?」
「ああ、そうだ。あれだよ」
「こっちで合ってたんだね」
僕らは、高校を見つけて喜び勇んで坂を下りていった。
そのまま手賀沼の周辺道路を歩いていく。
20分くらい歩いていくと、建物が見えてきた。
「あっ!」
「えっ!?」
「何ィ?」
…建物は駅だった。
柏駅の隣りの北柏駅の駅舎だったのだ。
それを遠目に見て校舎と勘違いし、坂を下ってしまったので建物は見えなくなり、間近に接近するまで駅だと気付かなかったのだ。
「どうするよ?」
「これから高校に向かっても日が暮れちゃうよね」
「とりあえず今日のところは帰るか?」
「そうするか…」
「全く、何しに来たんだよ〜」
僕らは、高校見学に行ったつもりが、ただ柏駅から北柏駅まで遠回りしながら1時間近く歩いていっただけになってしまった。
中学3年、前途多難。
そんな、秋の日の思い出。
2006年12月02日
高校見学
中学3年の夏休みのことだ。
僕と、クラスは違えど近所に住んでいた浅野君と西沢君で、高校見学に行った。
向かう先は、千葉県立柏中央高等学校。
中学校では来たるべき受験に備えて、夏休みは高校見学に行くのを推奨していた。
僕らは自転車で行くことにした。
僕らの住んでいる地域から柏中央高校まで、柏駅を挟んで1時間弱くらい。
大した距離ではないが、柏駅の向こう側なので遠く感じていた。
高校見学に行くに当たって、やはり学生服で行くのが良いのか、それとも私服で行って良いものか判断に迷ったが、夏休み中に学生服姿で自転車に乗るのが恥ずかしかったので、とりあえず制服を持って私服で行くことにした。
夏真っ盛りの空の下、僕らは縦に三人並んで自転車で走っていった。
柏中央高校には、思ったより早く着いた。
周りを畑に囲まれた、柏駅周辺とは思えない長閑な場所だ。
高校の隣りには、生活排水のどぶ川も流れている。
さて、校門を通ろうとしたが、夏休み中とは言え、私服で校内に入るのは躊躇われた。
今後、受験するかもしれない高校だ。失礼のないようにしなければならない。
僕らは真面目な生徒なのだ。いや、この場では真面目な生徒と思われなければならないのだ。
「よし、制服に着替えよう!」
着替えることにした。
問題は、「何処で?」ということだ。
僕らは制服を持ってきたものの、着替え場所を考えてなかった。
周りを見渡す。
高校の向こうに畑が広がる。
高校の向かいには民家がある。
高校の横には商店がある。
高校と商店の間にどぶ川がある。
高校の自転車置き場に沿って金網のフェンスがあり、フェンスに沿ってどぶ川が流れている。
どぶ川は、幅2mほど。
コンクリートで舗装され、溝の上部に数メートル置きにコンクリートの足場が渡されている。
「ここで…」
僕らはどぶ川の縁を歩いて、道路から見えない場所まで入っていった。
高校の校舎からも、木々と自転車置き場で死角になっている。
制服姿になってどぶ川から出てきた真面目な生徒の僕らは、そのまま校門を通っていった。
真面目な僕らは緊張の面持ちで受付を済ませ、校内を見学する。
誰か案内してくれるのかと思ったら、自由に見て良いとのこと。
僕らは自由行動だ。真面目だから。
(どこでも見ていくぞ)
そう思っていたが、教室に入ることもなく廊下を歩き、体育館に入ることなく体育館を覗く。
「中学より広いね…」
真面目な僕らは手持ち無沙汰でやることもなく、見学はあっと言う間に終わった。
だいたい、僕らは見学慣れしていないのだ。引率もなしでは、どこをどう見学していいのか分からない。
真面目な僕らは逃げ出すように高校から出て、またどぶ川に消えていく。
真面目な生徒な僕らには、どぶ川がお似合いだ。
私服に着替えていると、雨が降ってきた。
一気にどしゃ降りになった。夕立である。
どぶ川で夕立に遭う。
全く、真面目な僕らに似合っている。
急いでどぶ川から抜け出すと、横の商店に入って夕立をやり過ごした。
夕立が止むと、僕らは自転車に乗って帰宅した。
見学は緊張したが、なかなか楽しいサイクリングだった…。
なお、せっかく見学に行ったのだが、誰も柏中央高校を受験しなかった。
僕と、クラスは違えど近所に住んでいた浅野君と西沢君で、高校見学に行った。
向かう先は、千葉県立柏中央高等学校。
中学校では来たるべき受験に備えて、夏休みは高校見学に行くのを推奨していた。
僕らは自転車で行くことにした。
僕らの住んでいる地域から柏中央高校まで、柏駅を挟んで1時間弱くらい。
大した距離ではないが、柏駅の向こう側なので遠く感じていた。
高校見学に行くに当たって、やはり学生服で行くのが良いのか、それとも私服で行って良いものか判断に迷ったが、夏休み中に学生服姿で自転車に乗るのが恥ずかしかったので、とりあえず制服を持って私服で行くことにした。
夏真っ盛りの空の下、僕らは縦に三人並んで自転車で走っていった。
柏中央高校には、思ったより早く着いた。
周りを畑に囲まれた、柏駅周辺とは思えない長閑な場所だ。
高校の隣りには、生活排水のどぶ川も流れている。
さて、校門を通ろうとしたが、夏休み中とは言え、私服で校内に入るのは躊躇われた。
今後、受験するかもしれない高校だ。失礼のないようにしなければならない。
僕らは真面目な生徒なのだ。いや、この場では真面目な生徒と思われなければならないのだ。
「よし、制服に着替えよう!」
着替えることにした。
問題は、「何処で?」ということだ。
僕らは制服を持ってきたものの、着替え場所を考えてなかった。
周りを見渡す。
高校の向こうに畑が広がる。
高校の向かいには民家がある。
高校の横には商店がある。
高校と商店の間にどぶ川がある。
高校の自転車置き場に沿って金網のフェンスがあり、フェンスに沿ってどぶ川が流れている。
どぶ川は、幅2mほど。
コンクリートで舗装され、溝の上部に数メートル置きにコンクリートの足場が渡されている。
「ここで…」
僕らはどぶ川の縁を歩いて、道路から見えない場所まで入っていった。
高校の校舎からも、木々と自転車置き場で死角になっている。
制服姿になってどぶ川から出てきた真面目な生徒の僕らは、そのまま校門を通っていった。
真面目な僕らは緊張の面持ちで受付を済ませ、校内を見学する。
誰か案内してくれるのかと思ったら、自由に見て良いとのこと。
僕らは自由行動だ。真面目だから。
(どこでも見ていくぞ)
そう思っていたが、教室に入ることもなく廊下を歩き、体育館に入ることなく体育館を覗く。
「中学より広いね…」
真面目な僕らは手持ち無沙汰でやることもなく、見学はあっと言う間に終わった。
だいたい、僕らは見学慣れしていないのだ。引率もなしでは、どこをどう見学していいのか分からない。
真面目な僕らは逃げ出すように高校から出て、またどぶ川に消えていく。
真面目な生徒な僕らには、どぶ川がお似合いだ。
私服に着替えていると、雨が降ってきた。
一気にどしゃ降りになった。夕立である。
どぶ川で夕立に遭う。
全く、真面目な僕らに似合っている。
急いでどぶ川から抜け出すと、横の商店に入って夕立をやり過ごした。
夕立が止むと、僕らは自転車に乗って帰宅した。
見学は緊張したが、なかなか楽しいサイクリングだった…。
なお、せっかく見学に行ったのだが、誰も柏中央高校を受験しなかった。
2006年10月07日
蛇口
子供の頃、僕は祖父からこう教えられた。
「水道の口からは蛇が出てくるぞ」
それはたわいのない冗談だったのだろうが、まだ水道管のことなど知らない僕は祖父のその言葉を信じてしまった。
(きっと、水道は川から繋がっているから蛇が出てくるんだ)
水を出して蛇口を見ていると、水の色合いが真ん中だけ濃く見える。
幼い僕は、その細く色濃くなった部分を蛇のしっぽだと思い込んだ。
(やっぱり蛇が出てきてる…。水をたくさん出すと全部出てくるかもしれない…)
なので僕は、水を大量に出したりはしなかった。
歯磨きをする時も水を止めた。なるべく水を出したくなかったのだ。
その点では祖父の教えは、水を節約させる意味があったのかもしれない。
田舎の家の外にある水場では、時たま蛇がいることもあった。
もちろん、水道を伝って出てきたと思った。
僕は水が怖かった。
水に顔をつけるのも嫌だった。水道から出てきた水には蛇が潜んでいるかもしれないのだ。
風呂が熱くても、一気に水で薄めようとすると蛇が出てくると思って、なかなかぬるく出来なかった。
いろいろ弊害はあった。
しかし僕はいつの間にか、水道から蛇が出てくることを忘れてしまった。
『蛇口』
それは正しく、蛇の口と書く。
でも蛇は出てこないのだ。
「水道の口からは蛇が出てくるぞ」
それはたわいのない冗談だったのだろうが、まだ水道管のことなど知らない僕は祖父のその言葉を信じてしまった。
(きっと、水道は川から繋がっているから蛇が出てくるんだ)
水を出して蛇口を見ていると、水の色合いが真ん中だけ濃く見える。
幼い僕は、その細く色濃くなった部分を蛇のしっぽだと思い込んだ。
(やっぱり蛇が出てきてる…。水をたくさん出すと全部出てくるかもしれない…)
なので僕は、水を大量に出したりはしなかった。
歯磨きをする時も水を止めた。なるべく水を出したくなかったのだ。
その点では祖父の教えは、水を節約させる意味があったのかもしれない。
田舎の家の外にある水場では、時たま蛇がいることもあった。
もちろん、水道を伝って出てきたと思った。
僕は水が怖かった。
水に顔をつけるのも嫌だった。水道から出てきた水には蛇が潜んでいるかもしれないのだ。
風呂が熱くても、一気に水で薄めようとすると蛇が出てくると思って、なかなかぬるく出来なかった。
いろいろ弊害はあった。
しかし僕はいつの間にか、水道から蛇が出てくることを忘れてしまった。
『蛇口』
それは正しく、蛇の口と書く。
でも蛇は出てこないのだ。
ニックネーム SNJ at 00:34| Comment(2)
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2006年08月02日
裏山の冒険
『この森の向こうはどうなってるんだろう?
あの山の向こうには何があるのだろう?』
そんな些細な興味から、子供は冒険へと旅立つ。
田舎の家の裏山の向こう…。
僕は、そこに何があるのか知りたかった。
中学1年生だかの夏休み、僕は冒険に出た。
冒険に出る仲間として、田舎の友達のイクちゃんがいた。
イクちゃんは、僕より六つか七つ年下で、まだまだ小さな子供だった。
でも、田舎で野山を駆け回って育っているので、運動神経はバツグンだ。
「シンちゃん、行こうか」
「うん、行こう!」
僕らは、畑の向こう側から始まる森の中に分け入っていった。
そこは猿の通り道なので、森の中には猿のフンが落ちている。
(猿に出会ったらイヤだな…)
僕は少し不安になった。
時たま猿のフンを見かけながら、僕らはどんどんと山を登っていった。
登るほどに道はなくなり、不安感は増してゆく。
後ろを振り返ると、田舎の家が遥か下の方に垣間見える。
そして、見えなくなった…。
足元は落ち葉が堆積して歩きにくく、上を見れば木々が繁って薄暗い。
僕は年長なこともあって、もう戻ろうとか弱気なことは言えなかった。
イクちゃんは、僕の不安を余所にどんどん登っていく。
小柄なイクちゃんは木の間を軽々と抜けていくが、僕には狭すぎてキツい。
我慢して登っていくと勾配が緩くなり、やがて下りになった。
もう戻れない。行くしかない。
この先には何があるのだろうか?
期待半分、不安半分だった。
下りは上りより辛かった。
足を滑らせば、落ちていってしまうし、加速してしまっては止まれない。
それでも、イクちゃんは器用に下りてゆく。
僕は足を滑らせて岩にぶつかり、ズボンが破けてしまった。
岩で打撲して痛かったが、それよりズボンが破れたのが悲しかった。
かなり下りると、草むらの向こうに金網があった。
何の金網か、その時の僕には分からなかったが、落石防止の金網だ。
突然の金網の登場に、気分も高揚する。
金網の下の方には、草むら越しに道が見えている。
(なんだかスゴいとこに来たかもしれないぞ!)
山肌と金網の間には人がギリギリ通れるほどの隙間があり、僕らはその隙間を下りていった。
少し下りると、山肌はコンクリートで固められている。
勾配は急になり、ほとんど垂直みたいなもんだ。
僕は落っこちそうになりながら狭い隙間を下りていった。
先に下り切ったイクちゃんが言った。
「シンちゃん、こっち通れないや!」
「ええっ!?」
金網は、下の道まで続いており、金網に遮られて道に出られないのだ。
僕も、金網を下り切ったが、やはり出るところはなく、そこで立ち往生してしまった。

イクちゃんはすぐにまた山肌を登っていって、金網の外側に回りこんだ。
「これなら出られるよ」
イクちゃんは軽く言うが、僕は運動神経が悪い。
登ることも出ることも出来ず、囚人のようになっていた。
「シンちゃん、頑張れ!」
イクちゃんに励まされ、年長者としては泣き言も言えない。
内心、大人を呼んできてもらって、金網を切ってもらおうかと思ったが、そうはいかないようだ。
僕は頑張って金網と山肌の間を登ることにした。
イクちゃんは、靴のサイズが小さいから金網の間に足を入れられるが、僕の靴はなかなか足場が定まらなかった。
やっと金網の一番上まで来たが、そこから金網の向こう側にいくのが難しかった。
向こうに渡るのに失敗すれば、下に落っこちて大怪我しかねない。
僕は手足を思いっきり伸ばして、なんとか金網の外側に回りこんだ。
どうにかこうにか、金網を下り切った。
イクちゃんと、「ここはどこだろう?」と考える。
「少し歩いていってみよう」
僕らは歩き出した。ずいぶん遠くまできたと思う。
そして、しばらく歩いてカーブを曲がると…。
「あれっ?」
「あっ!」
そこは、田舎の家の前だった。
Cの字型の道があるとして、Cの字の端に位置する家の裏山から、ショートカットして逆の端に行き着いただけだったのだ。
「なぁんだ…」
冒険は終わった。
なんだか、ひどく疲れた。
打撲も痛いし、ズボンも破れた。
でも、少し強くなった実感が少しだけあった。
なお、絵では金網が低いが、本当はもっと高かった。
さらに、なんか冬休みだったような気もしてきた。
まぁいいか。
あの山の向こうには何があるのだろう?』
そんな些細な興味から、子供は冒険へと旅立つ。
田舎の家の裏山の向こう…。
僕は、そこに何があるのか知りたかった。
中学1年生だかの夏休み、僕は冒険に出た。
冒険に出る仲間として、田舎の友達のイクちゃんがいた。
イクちゃんは、僕より六つか七つ年下で、まだまだ小さな子供だった。
でも、田舎で野山を駆け回って育っているので、運動神経はバツグンだ。
「シンちゃん、行こうか」
「うん、行こう!」
僕らは、畑の向こう側から始まる森の中に分け入っていった。
そこは猿の通り道なので、森の中には猿のフンが落ちている。
(猿に出会ったらイヤだな…)
僕は少し不安になった。
時たま猿のフンを見かけながら、僕らはどんどんと山を登っていった。
登るほどに道はなくなり、不安感は増してゆく。
後ろを振り返ると、田舎の家が遥か下の方に垣間見える。
そして、見えなくなった…。
足元は落ち葉が堆積して歩きにくく、上を見れば木々が繁って薄暗い。
僕は年長なこともあって、もう戻ろうとか弱気なことは言えなかった。
イクちゃんは、僕の不安を余所にどんどん登っていく。
小柄なイクちゃんは木の間を軽々と抜けていくが、僕には狭すぎてキツい。
我慢して登っていくと勾配が緩くなり、やがて下りになった。
もう戻れない。行くしかない。
この先には何があるのだろうか?
期待半分、不安半分だった。
下りは上りより辛かった。
足を滑らせば、落ちていってしまうし、加速してしまっては止まれない。
それでも、イクちゃんは器用に下りてゆく。
僕は足を滑らせて岩にぶつかり、ズボンが破けてしまった。
岩で打撲して痛かったが、それよりズボンが破れたのが悲しかった。
かなり下りると、草むらの向こうに金網があった。
何の金網か、その時の僕には分からなかったが、落石防止の金網だ。
突然の金網の登場に、気分も高揚する。
金網の下の方には、草むら越しに道が見えている。
(なんだかスゴいとこに来たかもしれないぞ!)
山肌と金網の間には人がギリギリ通れるほどの隙間があり、僕らはその隙間を下りていった。
少し下りると、山肌はコンクリートで固められている。
勾配は急になり、ほとんど垂直みたいなもんだ。
僕は落っこちそうになりながら狭い隙間を下りていった。
先に下り切ったイクちゃんが言った。
「シンちゃん、こっち通れないや!」
「ええっ!?」
金網は、下の道まで続いており、金網に遮られて道に出られないのだ。
僕も、金網を下り切ったが、やはり出るところはなく、そこで立ち往生してしまった。

イクちゃんはすぐにまた山肌を登っていって、金網の外側に回りこんだ。
「これなら出られるよ」
イクちゃんは軽く言うが、僕は運動神経が悪い。
登ることも出ることも出来ず、囚人のようになっていた。
「シンちゃん、頑張れ!」
イクちゃんに励まされ、年長者としては泣き言も言えない。
内心、大人を呼んできてもらって、金網を切ってもらおうかと思ったが、そうはいかないようだ。
僕は頑張って金網と山肌の間を登ることにした。
イクちゃんは、靴のサイズが小さいから金網の間に足を入れられるが、僕の靴はなかなか足場が定まらなかった。
やっと金網の一番上まで来たが、そこから金網の向こう側にいくのが難しかった。
向こうに渡るのに失敗すれば、下に落っこちて大怪我しかねない。
僕は手足を思いっきり伸ばして、なんとか金網の外側に回りこんだ。
どうにかこうにか、金網を下り切った。
イクちゃんと、「ここはどこだろう?」と考える。
「少し歩いていってみよう」
僕らは歩き出した。ずいぶん遠くまできたと思う。
そして、しばらく歩いてカーブを曲がると…。
「あれっ?」
「あっ!」
そこは、田舎の家の前だった。
Cの字型の道があるとして、Cの字の端に位置する家の裏山から、ショートカットして逆の端に行き着いただけだったのだ。
「なぁんだ…」
冒険は終わった。
なんだか、ひどく疲れた。
打撲も痛いし、ズボンも破れた。
でも、少し強くなった実感が少しだけあった。
なお、絵では金網が低いが、本当はもっと高かった。
さらに、なんか冬休みだったような気もしてきた。
まぁいいか。
ニックネーム SNJ at 23:21| Comment(2)
| 思い出ボロボロ
2006年07月06日
Wash out the Cockroach
何だか好評のゴキブリ譚なので(みんな嫌いだからか?)、もう少しゴキブリの思い出を…。
僕は、お風呂に入っていました。
リラックスして湯舟に浸かりながら、ふと横を見ると、風呂の壁際にゴキブリさんがいらっしゃいました。
僕は瞬時にリラックスモードから緊張モードへ。
(まずい、こちらは素っ裸だ!)
かなり不利な状況で、ゴキブリと対峙することになってしまいました。
こちらがゴキブリの存在に気付いて動きが止まったのを察してか、ゴキブリも壁際で動きを止めました。
時間だけが、過ぎてゆきます。
僕はゴキブリを凝視し、ゴキブリもこちらを意識しているかもしれません。意識過剰ではありますまい。
僕の武器は、とりあえずは湯舟のお湯でしょうか。
ゴキブリが動かないので、試しに手をお湯で濡らして、ピッと指を弾いてお湯を飛ばしてみました。
先制攻撃です。宣戦布告です。
ゴキブリは、お湯にビックリして少し前に移動しました。
そこでまた止まっています。
大量のお湯を掛ける手もありましたが、40℃そこそこの温度では致命的なダメージは与えられないと思いました。
それに、大量のお湯でゴキブリが流されて排水溝に来たら、そこは僕のすぐ傍です。それは避けたいとこです。
ゴキブリがいるのはお風呂の入り口付近なので、無視して風呂場から逃げることも出来ません。
このまま持久戦になったら、のぼせてしまうかもしれないし、ヤツは壁を一周して僕のとこに来るかもしれません。
天井に這い上がって、もし上から落ちてきたらアウトです。
僕は急いで次の手を考えました。
(殺虫剤は無い。お湯もダメ。逃げられない。
では、他に飛び道具は…?)
…ありました。
お風呂に常備されてるアレが。
そう、シャンプーです。
僕は湯舟から手を伸ばしてシャンプーを取ると、容器を押して水鉄砲の様にゴキブリに向かって飛ばしてみました。シャンプーできれいにしてやろうという魂胆も少しあります。
シャンプーが当たると、ゴキブリはまた少し前に進みました。
シャンプーの比重が重いからか、動きが重そうです。
しかし次の瞬間、ゴキブリは暴れ始めました!
凄い速さで壁際を走っていきます!
(ヤバイ!効いてる!?)
僕は慌ててゴキブリの進行方向にシャンプーを飛ばして、ヤツの突進を食い止めました。
シャンプー溜まりに突っ込んだゴキブリは、その場でかなり暴れましたが、やがて動かなくなりました。
しばらく待っても動かないので恐る恐る近付くと、シャンプーでグッショリ濡れたゴキブリが、そこにありました。
完全に停止していました。
あの暴れっぷりを思い返し、とても可哀相なことをしたと思いました。
僕は風呂から出ましたが、ゴキブリはシャンプーにまみれたままです。
ティッシュをたくさん重ねてゴキブリを掴みましたが、シャンプーとお湯が滲みてきて、手がヌルヌルになりました。
ゴキブリを洗った名残りです。
僕はゴキブリを捨てた後、かなり手を洗いました。
シャンプー溜まりをシャワーで流しながら、退治は出来たけど、やっぱり可哀相なことをしたと思って暗澹たる気持ちになりました。
僕は、お風呂に入っていました。
リラックスして湯舟に浸かりながら、ふと横を見ると、風呂の壁際にゴキブリさんがいらっしゃいました。
僕は瞬時にリラックスモードから緊張モードへ。
(まずい、こちらは素っ裸だ!)
かなり不利な状況で、ゴキブリと対峙することになってしまいました。
こちらがゴキブリの存在に気付いて動きが止まったのを察してか、ゴキブリも壁際で動きを止めました。
時間だけが、過ぎてゆきます。
僕はゴキブリを凝視し、ゴキブリもこちらを意識しているかもしれません。意識過剰ではありますまい。
僕の武器は、とりあえずは湯舟のお湯でしょうか。
ゴキブリが動かないので、試しに手をお湯で濡らして、ピッと指を弾いてお湯を飛ばしてみました。
先制攻撃です。宣戦布告です。
ゴキブリは、お湯にビックリして少し前に移動しました。
そこでまた止まっています。
大量のお湯を掛ける手もありましたが、40℃そこそこの温度では致命的なダメージは与えられないと思いました。
それに、大量のお湯でゴキブリが流されて排水溝に来たら、そこは僕のすぐ傍です。それは避けたいとこです。
ゴキブリがいるのはお風呂の入り口付近なので、無視して風呂場から逃げることも出来ません。
このまま持久戦になったら、のぼせてしまうかもしれないし、ヤツは壁を一周して僕のとこに来るかもしれません。
天井に這い上がって、もし上から落ちてきたらアウトです。
僕は急いで次の手を考えました。
(殺虫剤は無い。お湯もダメ。逃げられない。
では、他に飛び道具は…?)
…ありました。
お風呂に常備されてるアレが。
そう、シャンプーです。
僕は湯舟から手を伸ばしてシャンプーを取ると、容器を押して水鉄砲の様にゴキブリに向かって飛ばしてみました。シャンプーできれいにしてやろうという魂胆も少しあります。
シャンプーが当たると、ゴキブリはまた少し前に進みました。
シャンプーの比重が重いからか、動きが重そうです。
しかし次の瞬間、ゴキブリは暴れ始めました!
凄い速さで壁際を走っていきます!
(ヤバイ!効いてる!?)
僕は慌ててゴキブリの進行方向にシャンプーを飛ばして、ヤツの突進を食い止めました。
シャンプー溜まりに突っ込んだゴキブリは、その場でかなり暴れましたが、やがて動かなくなりました。
しばらく待っても動かないので恐る恐る近付くと、シャンプーでグッショリ濡れたゴキブリが、そこにありました。
完全に停止していました。
あの暴れっぷりを思い返し、とても可哀相なことをしたと思いました。
僕は風呂から出ましたが、ゴキブリはシャンプーにまみれたままです。
ティッシュをたくさん重ねてゴキブリを掴みましたが、シャンプーとお湯が滲みてきて、手がヌルヌルになりました。
ゴキブリを洗った名残りです。
僕はゴキブリを捨てた後、かなり手を洗いました。
シャンプー溜まりをシャワーで流しながら、退治は出来たけど、やっぱり可哀相なことをしたと思って暗澹たる気持ちになりました。
ニックネーム SNJ at 23:53| Comment(3)
| 思い出ボロボロ
2006年07月02日
ごきぶりグラフィティ
昔、子供の頃はゴキブリに触れた。
とは言っても、カブトムシのように捕まえるのではなく、触角を掴むのだ。
ゴキブリが現れると、僕はそっと近付いてゴキブリの触角を掴んで外に捨てる。
これが、対ゴキブリの戦術であった。
素早いゴキブリの触角をいかに掴むか、という勝負であった。
ある日、友人の西沢君の家で遊んでいるとゴキブリが出た。
僕はいつも通りにゴキブリの触角を掴んだ。
ゴキブリは宙ぶらりんのまま、僕に運ばれていく。
そして、外に捨てようとした時だった。
飛んだ。
ゴキブリが羽ばたいて飛んだ。
でも触角は僕が掴んでいる。
そうなると、どうなるか?
ゴキブリは羽ばたきながら、なんと僕の親指にしがみ付いてきたのだ。
(あああ!?ああ〜っ!!)
僕は予期せぬ出来事にビックリして、ゴキブリを振り払おうと手を振った。
しかし、僕が手を振るほどに、ゴキブリは振り落とされまいとますます僕の指にしがみ付いてくる。
「ゴキブリが〜!」
僕は思いっきりゴキブリを振り払った。
プツン
僕はゴキブリを振り払おうとしているのに、焦りからか触角を放すのを忘れていた。
ゴキブリは僕の指の間に触角を残したまま床に落ちて、方向感覚を失ったのか、ウロウロと動き回っている。
パンッ!
西沢君が雑誌でゴキブリを叩いた。
雑誌を持ち上げると、床にゴキブリはいなかった…。
…そう、ゴキブリは潰れて雑誌の裏にへばり付いてしまったのだ。
「あまり見たくないね…」
西沢君は雑誌ごとゴミ箱に捨てた。
僕も触角を捨てた。
触角を失ったゴキブリの動きを見て、僕はとても可哀相な事をしたと思った。もう触角には触らない。
その日から僕はゴキブリに触れなくなっている。
とは言っても、カブトムシのように捕まえるのではなく、触角を掴むのだ。
ゴキブリが現れると、僕はそっと近付いてゴキブリの触角を掴んで外に捨てる。
これが、対ゴキブリの戦術であった。
素早いゴキブリの触角をいかに掴むか、という勝負であった。
ある日、友人の西沢君の家で遊んでいるとゴキブリが出た。
僕はいつも通りにゴキブリの触角を掴んだ。
ゴキブリは宙ぶらりんのまま、僕に運ばれていく。
そして、外に捨てようとした時だった。
飛んだ。
ゴキブリが羽ばたいて飛んだ。
でも触角は僕が掴んでいる。
そうなると、どうなるか?
ゴキブリは羽ばたきながら、なんと僕の親指にしがみ付いてきたのだ。
(あああ!?ああ〜っ!!)
僕は予期せぬ出来事にビックリして、ゴキブリを振り払おうと手を振った。
しかし、僕が手を振るほどに、ゴキブリは振り落とされまいとますます僕の指にしがみ付いてくる。
「ゴキブリが〜!」
僕は思いっきりゴキブリを振り払った。
プツン
僕はゴキブリを振り払おうとしているのに、焦りからか触角を放すのを忘れていた。
ゴキブリは僕の指の間に触角を残したまま床に落ちて、方向感覚を失ったのか、ウロウロと動き回っている。
パンッ!
西沢君が雑誌でゴキブリを叩いた。
雑誌を持ち上げると、床にゴキブリはいなかった…。
…そう、ゴキブリは潰れて雑誌の裏にへばり付いてしまったのだ。
「あまり見たくないね…」
西沢君は雑誌ごとゴミ箱に捨てた。
僕も触角を捨てた。
触角を失ったゴキブリの動きを見て、僕はとても可哀相な事をしたと思った。もう触角には触らない。
その日から僕はゴキブリに触れなくなっている。
ニックネーム SNJ at 23:58| Comment(4)
| 思い出ボロボロ
2006年01月28日
何故そこに?
小学2年の時の事だ。
僕はA君と仲良しで、よく彼の家に行って遊んでいた。
僕は自分のおもちゃを持っていった。
大きいロボットと小さいロボットが、セットになったやつだった。
A君の家で遊んでいて、僕がトイレから戻ってくると、小さいロボットの方がなくなっていた。
さんざん探してみたが、どこにもないし、A君は持ってなかった。
あきらめて帰ろうとした時だった。
一階の屋根の上に、僕の小さいロボットが落ちているのが見えた。
僕は、それを見付けたのを、A君にバレない様にした。
「もし、A君が僕のおもちゃに嫉妬し、投げ捨てたとしたら?」
「もしかしたら、たまたま僕のを借りて遊んでたら、屋根に落としてしまったのかもしれない…」
僕は後者だと思うようにした。
A君とは、その後も仲良しだった。
ある雨の日、A君と一緒に登校した。
A君は道路脇を歩いていた。
ズルッ!
A君が、道路脇のぬかるんだ泥で滑って転んだ。
A君の靴にはベットリと泥が付いていた。
A君が泥を手で拭った。
A君がその手の匂いを嗅いだ。
「あ〜あ、こんなに泥が付いちゃった」
僕は気付いた。
(泥ではない!)
僕は、その滑った「モノ」に近付いて見てみたが、やはり泥には見えない。
匂いもした…。
A君が言った。
「泥でよごれちゃったけど、このまま学校行こうか」
そう言われると、僕もこう言うしかない。
「この泥、ホント滑りそうだね〜」
(でも、泥じゃない…)
A君は、手でそれを触ってしまっているし、その手で傘をつかんでいる。
靴は、横の面が真っ茶色に汚れている。
しかし僕は、A君のプライドのために、信じた振りをするしかなかった。
僕は学校までの距離が急に遠く感じたのだった。
僕はA君と仲良しで、よく彼の家に行って遊んでいた。
僕は自分のおもちゃを持っていった。
大きいロボットと小さいロボットが、セットになったやつだった。
A君の家で遊んでいて、僕がトイレから戻ってくると、小さいロボットの方がなくなっていた。
さんざん探してみたが、どこにもないし、A君は持ってなかった。
あきらめて帰ろうとした時だった。
一階の屋根の上に、僕の小さいロボットが落ちているのが見えた。
僕は、それを見付けたのを、A君にバレない様にした。
「もし、A君が僕のおもちゃに嫉妬し、投げ捨てたとしたら?」
「もしかしたら、たまたま僕のを借りて遊んでたら、屋根に落としてしまったのかもしれない…」
僕は後者だと思うようにした。
A君とは、その後も仲良しだった。
ある雨の日、A君と一緒に登校した。
A君は道路脇を歩いていた。
ズルッ!
A君が、道路脇のぬかるんだ泥で滑って転んだ。
A君の靴にはベットリと泥が付いていた。
A君が泥を手で拭った。
A君がその手の匂いを嗅いだ。
「あ〜あ、こんなに泥が付いちゃった」
僕は気付いた。
(泥ではない!)
僕は、その滑った「モノ」に近付いて見てみたが、やはり泥には見えない。
匂いもした…。
A君が言った。
「泥でよごれちゃったけど、このまま学校行こうか」
そう言われると、僕もこう言うしかない。
「この泥、ホント滑りそうだね〜」
(でも、泥じゃない…)
A君は、手でそれを触ってしまっているし、その手で傘をつかんでいる。
靴は、横の面が真っ茶色に汚れている。
しかし僕は、A君のプライドのために、信じた振りをするしかなかった。
僕は学校までの距離が急に遠く感じたのだった。
ニックネーム SNJ at 23:57| Comment(0)
| 思い出ボロボロ
2006年01月28日
僕の下敷き
僕のお気に入りの下敷きがあった。
雑誌の付録に付いていた、戦隊モノの下敷きだ。
小学2年の時の事だ。
僕はその下敷きを、自分の机の上に置いておいた。
同じ班のGさんが、いつの間にか僕の下敷きを持って遊んでいた。
ベコベコ、ベコベコ
Gさんは両側から押してクニャクニャさせながら遊んでいる。
「これ、誰の下敷き〜?」
Gさんが周りに訊いた。
もちろん、僕の下敷きだったのだが、僕はその頃、自分の一人称を「僕」にするか、「俺」にするか悩んでいた。
(僕のって言おうかな?…いや、待てよ。俺って言った方がいいのかな?でもな〜、俺ってキャラじゃないかな〜?)
ベコベコ、ベコベコ
その間も僕の下敷きは曲げられたり、伸ばされたりしている。
「これ、誰のでもないの〜?」
Gさんは、尚も訊く。
僕はGさんに近付き、自分のだと言おうとしたが、一人称が出てこない。
(自分のって言おうかな?…自分のって変かな?みんな、自分の事は俺って言ってるよな〜)
言いあぐねていた時だった。
ベコベコ、ベリッ!
ついにGさんが、僕の下敷きを真っ二つに折った。
(ええっ!?そんなんなっちゃうの!?)
僕はビックリした。
そしてそのまま、下敷きは窓のサッシのところに置き去りにされた。
僕は後で、自分の下敷きを拾い上げた。
戦隊の写真が真ん中で折れていた。
折り目が付き、ところどころ、紙と表面のビニールのコーティングが剥がれている。
これでは、もう使えない。
(へ〜、紙だったんだ、この下敷き。下敷きって、こうやって作られてんだな…)
僕は一つ、お利口になった…。
雑誌の付録に付いていた、戦隊モノの下敷きだ。
小学2年の時の事だ。
僕はその下敷きを、自分の机の上に置いておいた。
同じ班のGさんが、いつの間にか僕の下敷きを持って遊んでいた。
ベコベコ、ベコベコ
Gさんは両側から押してクニャクニャさせながら遊んでいる。
「これ、誰の下敷き〜?」
Gさんが周りに訊いた。
もちろん、僕の下敷きだったのだが、僕はその頃、自分の一人称を「僕」にするか、「俺」にするか悩んでいた。
(僕のって言おうかな?…いや、待てよ。俺って言った方がいいのかな?でもな〜、俺ってキャラじゃないかな〜?)
ベコベコ、ベコベコ
その間も僕の下敷きは曲げられたり、伸ばされたりしている。
「これ、誰のでもないの〜?」
Gさんは、尚も訊く。
僕はGさんに近付き、自分のだと言おうとしたが、一人称が出てこない。
(自分のって言おうかな?…自分のって変かな?みんな、自分の事は俺って言ってるよな〜)
言いあぐねていた時だった。
ベコベコ、ベリッ!
ついにGさんが、僕の下敷きを真っ二つに折った。
(ええっ!?そんなんなっちゃうの!?)
僕はビックリした。
そしてそのまま、下敷きは窓のサッシのところに置き去りにされた。
僕は後で、自分の下敷きを拾い上げた。
戦隊の写真が真ん中で折れていた。
折り目が付き、ところどころ、紙と表面のビニールのコーティングが剥がれている。
これでは、もう使えない。
(へ〜、紙だったんだ、この下敷き。下敷きって、こうやって作られてんだな…)
僕は一つ、お利口になった…。
ニックネーム SNJ at 05:07| Comment(2)
| 思い出ボロボロ
2006年01月28日
先に拾われた鉛筆
小学4年生の時、僕の隣の席のFさんが怖かった。
性格がキツイのだ。
よく引っ叩いてくるし、無理難題を吹っ掛けてくる。出来なければ、また引っ叩かれる。
僕のお気に入りの書き方鉛筆があった。プリントされた絵柄も良い。
気に入っていたので、たまにしか使ってなかったのだが、ある授業中、それを床に落としてしまった。
すると、隣の席のFさんが僕より先に拾ってくれた。
「ありが…」
僕はお礼を言って、その鉛筆を受け取ろうとしたが、Fさんは鉛筆を自分の筆箱に仕舞ってしまった。
「……?」
僕は何が何だか分からず、Fさんに聞いてみた。
「その鉛筆、僕のだよ?」
Fさんは言った。
「これはアタシが拾ったのよ」
Fさんは奇妙な事を言い出した。
「え?僕が今、落としたんだよ」
「アタシは落ちてる物を拾っただけ。だからアタシの!」
「だから僕が落としたんだよ。それを拾ったんでしょ?」
「誰が落としたかなんて知らないわよ。だから拾った人のもんなの!」
「僕が使ってたの見てたじゃんか」
「知らな〜い」
お気に入りの書き方鉛筆は、Fさんの物になった…。
僕は、ますますFさんが怖くなった。
さて、物語だと、ここでFさんは僕に気があり、僕の持ち物が欲しかったというストーリーもあり得る。
しかし、現実はどうだろう。
Fさんも鉛筆の絵柄を気に入って欲しくなってしまったのか、人に意地悪するのが楽しかったのか…?
ともあれ、Fさんが怖かったので、僕は毎日ビクビクして過ごしていたのは事実だ。
性格がキツイのだ。
よく引っ叩いてくるし、無理難題を吹っ掛けてくる。出来なければ、また引っ叩かれる。
僕のお気に入りの書き方鉛筆があった。プリントされた絵柄も良い。
気に入っていたので、たまにしか使ってなかったのだが、ある授業中、それを床に落としてしまった。
すると、隣の席のFさんが僕より先に拾ってくれた。
「ありが…」
僕はお礼を言って、その鉛筆を受け取ろうとしたが、Fさんは鉛筆を自分の筆箱に仕舞ってしまった。
「……?」
僕は何が何だか分からず、Fさんに聞いてみた。
「その鉛筆、僕のだよ?」
Fさんは言った。
「これはアタシが拾ったのよ」
Fさんは奇妙な事を言い出した。
「え?僕が今、落としたんだよ」
「アタシは落ちてる物を拾っただけ。だからアタシの!」
「だから僕が落としたんだよ。それを拾ったんでしょ?」
「誰が落としたかなんて知らないわよ。だから拾った人のもんなの!」
「僕が使ってたの見てたじゃんか」
「知らな〜い」
お気に入りの書き方鉛筆は、Fさんの物になった…。
僕は、ますますFさんが怖くなった。
さて、物語だと、ここでFさんは僕に気があり、僕の持ち物が欲しかったというストーリーもあり得る。
しかし、現実はどうだろう。
Fさんも鉛筆の絵柄を気に入って欲しくなってしまったのか、人に意地悪するのが楽しかったのか…?
ともあれ、Fさんが怖かったので、僕は毎日ビクビクして過ごしていたのは事実だ。
ニックネーム SNJ at 04:37| Comment(2)
| 思い出ボロボロ
2006年01月28日
スグレモノ色鉛筆
昔、ロケット鉛筆というのがあった。
芯を5mmくらいずつ区切ってプラスチックの型に嵌め込み、それがプラスチックの筒に10個くらい入れてある。
芯が丸くなったら先から引き抜いて、それを鉛筆の後ろから押し入れると、押し出された新しい芯が先っぽに来る。
その様が、ロケットの様に見えるので、ロケット鉛筆というのだろう。
それとは別に、色鉛筆のバージョンもあった。
5mmほどの長さの、たくさんの色の芯が、横向きにプラスチックの筒に刺さる様に収まっている。
使いたい色を引き抜き、先っぽに刺して使えば、1本で何本分もの色鉛筆の役を果たしてくれる優れものだ。
僕はそれが気に入っていて、学校にも持っていってた。
小学2年の時の事だ。
教室の後ろの棚のランドセルに入れてあった、僕のその色鉛筆が無くなった。
机も床も探したがどこにもない。
ふと、教室の後ろの棚に入ってるランドセル郡を眺めていると、その色鉛筆が入ったランドセルがあった。隙間からランドセルの中が見えたのだ。
そのランドセルはE籐君のものだった。
「その色鉛筆、どうしたの?」
僕は、彼のランドセルの中の色鉛筆の事を訊いてみた。
「え、これは…」
E籐君は口ごもる。
僕は色鉛筆を手に取ってみたが、僕が使ってた色の減りと一緒だった。
「これ僕のじゃない?E籐、持ってなかったよね?いつ買ったの?」
僕はさらに突っ込んだ。
「こ、これは弟のだよ。借りて持ってきたんだ」
E籐君は嘘をついた。
彼の嘘はあからさまだったが、その当時の僕には彼を封じ込める手立てがなかった…。
全く子供の頃は、盗んだモン勝ち、言い張ったモン勝ちで困った。
芯を5mmくらいずつ区切ってプラスチックの型に嵌め込み、それがプラスチックの筒に10個くらい入れてある。
芯が丸くなったら先から引き抜いて、それを鉛筆の後ろから押し入れると、押し出された新しい芯が先っぽに来る。
その様が、ロケットの様に見えるので、ロケット鉛筆というのだろう。
それとは別に、色鉛筆のバージョンもあった。
5mmほどの長さの、たくさんの色の芯が、横向きにプラスチックの筒に刺さる様に収まっている。
使いたい色を引き抜き、先っぽに刺して使えば、1本で何本分もの色鉛筆の役を果たしてくれる優れものだ。
僕はそれが気に入っていて、学校にも持っていってた。
小学2年の時の事だ。
教室の後ろの棚のランドセルに入れてあった、僕のその色鉛筆が無くなった。
机も床も探したがどこにもない。
ふと、教室の後ろの棚に入ってるランドセル郡を眺めていると、その色鉛筆が入ったランドセルがあった。隙間からランドセルの中が見えたのだ。
そのランドセルはE籐君のものだった。
「その色鉛筆、どうしたの?」
僕は、彼のランドセルの中の色鉛筆の事を訊いてみた。
「え、これは…」
E籐君は口ごもる。
僕は色鉛筆を手に取ってみたが、僕が使ってた色の減りと一緒だった。
「これ僕のじゃない?E籐、持ってなかったよね?いつ買ったの?」
僕はさらに突っ込んだ。
「こ、これは弟のだよ。借りて持ってきたんだ」
E籐君は嘘をついた。
彼の嘘はあからさまだったが、その当時の僕には彼を封じ込める手立てがなかった…。
全く子供の頃は、盗んだモン勝ち、言い張ったモン勝ちで困った。
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2006年01月27日
消えた消しゴム
小学4年生の時、僕とS君は大の仲良しだった。
毎日のように一緒に遊んでいた。
ヤバイ遊びがあった。
空きビンを空に向かって投げるのだ。
すると、落ちてきてパリーン!と割れる。
道には粉々の残骸が残る、大変危険な遊びだった。
それ以上に、住民への大迷惑だ。近所の人に殴られてもおかしくない。
学校でもS君と一緒に遊んでいた。
ふと、僕の消しゴムがなくなった事があった。
僕が探してる間、S君も一緒に探してくれた。ありがたいことだ。
だがしかし、机の中やら筆箱の中、床も遠くまで探してみたが、どこにもなかった。
変わった形の、お気に入りの消しゴムだっただけに、とても残念だった。
その後、ある事に気付いた。
S君が机に両手をついて前傾姿勢になって誰かと話していたのだが、ジャージの後ろのポケットがおかしい…。
不自然に膨らんでいるのだ。
まさか…と思って、僕はこっそり上から覗いてみた。
「あっ!」
僕の消しゴムが、S君のポケットに入っていてた。
「何でS君のポケットに消しゴムが入ってるの?」
僕は訊いてみた。
「あ、あれ?何で入ってるのかな?勝手に飛び込んできたんじゃないかな」
S君は僕に消しゴムを返しながら、そう言って誤魔化した。
大の仲良しだったS君が遠くなった…。
それ以来、小学4年の時は話してたが、クラスが替わるとS君とは話さなくなった。
中学になっても話さなかった。
高校を卒業する頃、自動車教習所の教室で、教官がみんなの名前を点呼している時だった。
「田中君」
「はい」
僕が返事をした後だった。
「S君」
「はい」
!!………
僕の真後ろにS君が座っていた。
一瞬、振り向いて話し掛けようと思ったが、仲良しだったのは8年も前だ。もはや話す気にはなれなかった。
僕は後ろを意識しながら、講習が終わっても目も合わさずに帰路についた…。
毎日のように一緒に遊んでいた。
ヤバイ遊びがあった。
空きビンを空に向かって投げるのだ。
すると、落ちてきてパリーン!と割れる。
道には粉々の残骸が残る、大変危険な遊びだった。
それ以上に、住民への大迷惑だ。近所の人に殴られてもおかしくない。
学校でもS君と一緒に遊んでいた。
ふと、僕の消しゴムがなくなった事があった。
僕が探してる間、S君も一緒に探してくれた。ありがたいことだ。
だがしかし、机の中やら筆箱の中、床も遠くまで探してみたが、どこにもなかった。
変わった形の、お気に入りの消しゴムだっただけに、とても残念だった。
その後、ある事に気付いた。
S君が机に両手をついて前傾姿勢になって誰かと話していたのだが、ジャージの後ろのポケットがおかしい…。
不自然に膨らんでいるのだ。
まさか…と思って、僕はこっそり上から覗いてみた。
「あっ!」
僕の消しゴムが、S君のポケットに入っていてた。
「何でS君のポケットに消しゴムが入ってるの?」
僕は訊いてみた。
「あ、あれ?何で入ってるのかな?勝手に飛び込んできたんじゃないかな」
S君は僕に消しゴムを返しながら、そう言って誤魔化した。
大の仲良しだったS君が遠くなった…。
それ以来、小学4年の時は話してたが、クラスが替わるとS君とは話さなくなった。
中学になっても話さなかった。
高校を卒業する頃、自動車教習所の教室で、教官がみんなの名前を点呼している時だった。
「田中君」
「はい」
僕が返事をした後だった。
「S君」
「はい」
!!………
僕の真後ろにS君が座っていた。
一瞬、振り向いて話し掛けようと思ったが、仲良しだったのは8年も前だ。もはや話す気にはなれなかった。
僕は後ろを意識しながら、講習が終わっても目も合わさずに帰路についた…。
ニックネーム SNJ at 02:02| Comment(2)
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2006年01月26日
遠ざかるメンコ
小学校2年生の時の友達に、N蔵君という子がいた。
僕は、その子が嫌いだった。
嫌いになった一番大きな理由がこれだ。
ある日の道端で、僕はN蔵君とメンコの勝負をしていた。
自分のメンコを叩きつけ、その風圧で相手のメンコをひっくり返したら、そのメンコを貰えるというルールだった。
僕はメンコが苦手だったが、友達がみんな持っていたので、僕も集めていた。
僕が集めていたのは、ガンダムの絵柄のメンコで、1枚10円か20円だったかな。
僕は、200枚ほど持っていた。
それを70枚くらいずつ、3つの束にして自分の脇に置き、勝負に臨んだのだった。
しかし、僕の負けが続き、どんどんメンコを取られていく。
僕は負ける度に、メンコの束から少しずつ抜き取っていった。
あっと言う間に1束がなくなりそうだ。
ついに1束がなくなった。早すぎる。
残り2束…と思ったら、残りは1束になっていた。
(そんなに負けたのか?)
そう思いながら、取られた分を取り返そうと、まだ勝負を続けていた。
パチン!
「あ〜また負けた〜」
残りの束も減っていく。
(…何か変だ?…)
僕は違和感を感じた。
僕のすぐ脇に置いてあったメンコの束が、少し遠い位置にあるのだ。
(気のせいかな?)
少し経ってからみると、さらに遠い位置に移動していた。
(おかしいな…?)
よくよく見ると、メンコの束がN蔵君の方へ近付いていってるのだ。
まさか…と思って注意していると、僕がメンコを叩きつけている間に、彼が僕のメンコを少しずつ自分の方へ引き寄せていってるのが見えた。
「何だよ、人のメンコ盗らないでよ!」
僕は文句を言ったが、彼は「最初からここにあったよ」とトボケる。
「そんなはずないよ。さっきも僕の束ごと盗ったでしょ?」
「とってねぇよ!」
彼は認めない。
「ちょっと貸して」
僕は、彼のメンコを取り上げて調べた。
「ほら、このホワイトベースの、僕のだよ。ここに傷があるもん。このシャアゲルググだってそうじゃん」
勝負に使ってないメンコが、丸ごと彼の持ち物になっていた。
「こっからここまで僕のでしょ。負けて取られたのはあげるから、それ以外のは返してよ」
「知らねぇよ〜。オレんだよ〜」
彼は、しらばっくれるばかりだ。
彼の盗っ人っぷりと嘘つきっぷりに呆れた僕は、盗られたメンコはあきらめて帰った。
その後、彼とは小3の時も同じクラスだった。
なぜか彼は、休み時間ごとに僕にプロレス技を掛けてきた。
「お前、泣かないからさ〜。泣いた顔が見てぇよ〜」
そういう理由だった。
当時は、みんな学校内でも泣いていたが、僕は泣いた顔を見せた事はなかったからだろう。
「泣くまで関節技かけてやるよ〜」
そう言って彼は休み時間の間中、僕に関節技を掛け続けた。
もちろん僕は泣かなかったが、思い返せば、それは「いじめ」というものだろう。
僕が泣かなかったから飽きたのか、彼はやがてプロレスごっこをやめてくれた。
プロレス技の実験台は遊びみたいなもんだが、それより何よりメンコを盗って、バレバレなのにそれを認めなかった事が許せなかった。
僕は、その子が嫌いだった。
嫌いになった一番大きな理由がこれだ。
ある日の道端で、僕はN蔵君とメンコの勝負をしていた。
自分のメンコを叩きつけ、その風圧で相手のメンコをひっくり返したら、そのメンコを貰えるというルールだった。
僕はメンコが苦手だったが、友達がみんな持っていたので、僕も集めていた。
僕が集めていたのは、ガンダムの絵柄のメンコで、1枚10円か20円だったかな。
僕は、200枚ほど持っていた。
それを70枚くらいずつ、3つの束にして自分の脇に置き、勝負に臨んだのだった。
しかし、僕の負けが続き、どんどんメンコを取られていく。
僕は負ける度に、メンコの束から少しずつ抜き取っていった。
あっと言う間に1束がなくなりそうだ。
ついに1束がなくなった。早すぎる。
残り2束…と思ったら、残りは1束になっていた。
(そんなに負けたのか?)
そう思いながら、取られた分を取り返そうと、まだ勝負を続けていた。
パチン!
「あ〜また負けた〜」
残りの束も減っていく。
(…何か変だ?…)
僕は違和感を感じた。
僕のすぐ脇に置いてあったメンコの束が、少し遠い位置にあるのだ。
(気のせいかな?)
少し経ってからみると、さらに遠い位置に移動していた。
(おかしいな…?)
よくよく見ると、メンコの束がN蔵君の方へ近付いていってるのだ。
まさか…と思って注意していると、僕がメンコを叩きつけている間に、彼が僕のメンコを少しずつ自分の方へ引き寄せていってるのが見えた。
「何だよ、人のメンコ盗らないでよ!」
僕は文句を言ったが、彼は「最初からここにあったよ」とトボケる。
「そんなはずないよ。さっきも僕の束ごと盗ったでしょ?」
「とってねぇよ!」
彼は認めない。
「ちょっと貸して」
僕は、彼のメンコを取り上げて調べた。
「ほら、このホワイトベースの、僕のだよ。ここに傷があるもん。このシャアゲルググだってそうじゃん」
勝負に使ってないメンコが、丸ごと彼の持ち物になっていた。
「こっからここまで僕のでしょ。負けて取られたのはあげるから、それ以外のは返してよ」
「知らねぇよ〜。オレんだよ〜」
彼は、しらばっくれるばかりだ。
彼の盗っ人っぷりと嘘つきっぷりに呆れた僕は、盗られたメンコはあきらめて帰った。
その後、彼とは小3の時も同じクラスだった。
なぜか彼は、休み時間ごとに僕にプロレス技を掛けてきた。
「お前、泣かないからさ〜。泣いた顔が見てぇよ〜」
そういう理由だった。
当時は、みんな学校内でも泣いていたが、僕は泣いた顔を見せた事はなかったからだろう。
「泣くまで関節技かけてやるよ〜」
そう言って彼は休み時間の間中、僕に関節技を掛け続けた。
もちろん僕は泣かなかったが、思い返せば、それは「いじめ」というものだろう。
僕が泣かなかったから飽きたのか、彼はやがてプロレスごっこをやめてくれた。
プロレス技の実験台は遊びみたいなもんだが、それより何よりメンコを盗って、バレバレなのにそれを認めなかった事が許せなかった。
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2006年01月19日
5ヶ月後の同窓会
高校1年の夏、中学3年の時の同窓会があった。
半年も経ってないが、開かれたのだ。
高1なので飲んだりはせず、ただ公園に集まって花火をするだけの同窓会だ。
僕は、中3の時に同じクラスだった三上君と同窓会に行く事にした。
他にも、小野、マナブ、クニといった面々が同じクラスだったが、僕と三上君だけが行った。
公園に行く前に、僕と三上君は花火を買いに行った。
花火を持って公園に行くと、だんだんとみんなが集まってきた。
約5ヶ月振りの再会だ。懐かしい。
誰ともなく話していたが、その内に僕の方を見ていた女子のOさんが、隣の可山さんにこう言うのが聞こえた。
「あれ誰?」
卒業して半年も経っていない。
Oさんは僕の顔を知らないのか?
僕はOさんの顔は分かるし、話した事もある。
僕は、その会話が聞こえないふりをしていたが、内心ショックだった。
僕の影がいかに薄かったかを物語るエピソードだ。
可山さんは僕の事を覚えてくれていたようで、
「あれはシンジだよ」
と言ってくれたのが救いか…。
やがて花火を始めた。
手持ち花火、線香花火、小さな打ち上げ花火、ロケット花火などがあった。
周りが団地に囲まれた公園なので、ロケット花火なんかは、高々と打ち上げる事はできない。
だから、地面を這わせるように打ち出すしかない。
何発かのロケット花火が地面に並べられた。
公園の端に、長内さんという子の自転車が止めてあった。
その場所は、ロケット花火の軌道上であった。
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
ロケット花火が自転車目掛けて飛んでいく。
パァン!パァン!パァン!
ロケット花火は、自転車のタイヤやボディに当たって弾けた。
長内さんが叫んだ。
「アタシの自転車が〜!」
自転車は無事だった。
みんな笑っていた。
「また集まろうね!」
そう言って、みんなは解散した。
それから15年以上経つが、中学3年の同窓会は開かれていない。
ちなみに、卒業時に決めた幹事役は、三上君である。
半年も経ってないが、開かれたのだ。
高1なので飲んだりはせず、ただ公園に集まって花火をするだけの同窓会だ。
僕は、中3の時に同じクラスだった三上君と同窓会に行く事にした。
他にも、小野、マナブ、クニといった面々が同じクラスだったが、僕と三上君だけが行った。
公園に行く前に、僕と三上君は花火を買いに行った。
花火を持って公園に行くと、だんだんとみんなが集まってきた。
約5ヶ月振りの再会だ。懐かしい。
誰ともなく話していたが、その内に僕の方を見ていた女子のOさんが、隣の可山さんにこう言うのが聞こえた。
「あれ誰?」
卒業して半年も経っていない。
Oさんは僕の顔を知らないのか?
僕はOさんの顔は分かるし、話した事もある。
僕は、その会話が聞こえないふりをしていたが、内心ショックだった。
僕の影がいかに薄かったかを物語るエピソードだ。
可山さんは僕の事を覚えてくれていたようで、
「あれはシンジだよ」
と言ってくれたのが救いか…。
やがて花火を始めた。
手持ち花火、線香花火、小さな打ち上げ花火、ロケット花火などがあった。
周りが団地に囲まれた公園なので、ロケット花火なんかは、高々と打ち上げる事はできない。
だから、地面を這わせるように打ち出すしかない。
何発かのロケット花火が地面に並べられた。
公園の端に、長内さんという子の自転車が止めてあった。
その場所は、ロケット花火の軌道上であった。
シュンッ!シュンッ!シュンッ!
ロケット花火が自転車目掛けて飛んでいく。
パァン!パァン!パァン!
ロケット花火は、自転車のタイヤやボディに当たって弾けた。
長内さんが叫んだ。
「アタシの自転車が〜!」
自転車は無事だった。
みんな笑っていた。
「また集まろうね!」
そう言って、みんなは解散した。
それから15年以上経つが、中学3年の同窓会は開かれていない。
ちなみに、卒業時に決めた幹事役は、三上君である。
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2006年01月17日
龍勢、飛ぶ。
埼玉県秩父郡の吉田町には、「龍勢」という伝統がある。
直径十数cm、長さ1m近くの木の筒に火薬を詰めたものを、20m近い長さの竹棒に縛り付け、点火して上空高く打ち上げる。
つまりは、巨大ロケット花火である。
江戸時代以前から受け継がれている、とてもエンターテインメント性に優れた伝統で、龍勢祭りというのもあり、なかなかに有名だ。
詳しくはこちら。(ちなみに吉田町のマスコットキャラ「りゅうごん」は、石ノ森章太郎デザインです)
「Web Guide 秩父」
http://www.chichibu.co.jp/topic/199810/ryusei/
他にも、「つきなみCOMICS」というホームページで、龍勢祭りの事を楽しく書かれていました。勝手にリンクしときます。
http://www2r.biglobe.ne.jp/~TSUKI/ryusei.html
僕の田舎の秩父の祖父は、ロケット花火の事を「龍勢」と呼んでいた。
吉田町は秩父郡なので、秩父の人のロケット花火のイメージは龍勢なのだろう。
だから子供の頃は、僕の中でもロケット花火は龍勢という名称だった。
確か、店で売ってるロケット花火にも「龍勢」とプリントされていた。
僕は秩父に行くと、その龍勢(普通のロケット花火)で遊んでいた。
庭の柵にコーラの空きビンを斜めに立て掛け、中に龍勢を入れて火を点けて飛ばす。
シュンッ!
ヒュ〜〜〜ルルル…
パーン!
勢い良く飛び出した龍勢は、夜空に光の弧を描きながら、ヒュ〜という音を立てて飛んでいき、パーンと弾ける。
そしてその音が山にこだまする。
それはそれは楽しい遊びだったが、飛んでったゴミは片付けなかった…。
火薬の入れ物に少しプラスチック素材も使ってあった気がするな…。
田舎の家は、道路から階段を上ったところにあり、庭の柵の下は石垣になっていて、その前が道路になっている。道路の向こうは10mの崖だ。
なので、庭から崖の方向に龍勢を飛ばすと、けっこう飛んでくれて楽しかった。
ある日、昼間ではあったが、妹と一緒に、大量に買ってきた龍勢を飛ばそうとしていた。
一箱丸ごと買ってきたので、30本…いや、40本近くはあったかもしれない。
僕が柵にコーラの空きビンを立て掛け、1発打ち上げた。
ヒュ〜ルルル…
パーン!
昼なので光は見えないが、音は聞こえるし、龍勢の軌道も目視できる。
妹も喜んでいた。
たまに下の道に車が通るので、そういう時は車が通り過ぎるのを待ってから龍勢を打ち上げる。
何発か打って、僕がまたコーラのビンに龍勢を仕込んでいる時だった。
「お兄ちゃ〜ん!」
妹が大きな声で僕を呼んだ。
見ると、妹が火の点いたマッチか線香を落としたのか、龍勢の入った箱が燃えていた。
中には大量の龍勢が入っている!
僕は慌てて火を消そうとしたが、龍勢のいくつかは、導火線に火が点いてしまった。
(マズイ!)
シュボッ!シュボッ!ヒュ〜ルルル…
箱から龍勢が何本か飛んでいった。
斜めのコーラビンからではなく、地面に置いた箱から飛んだので、軌道は低い。
水の入ったバケツは用意してあったと思うが、大量の龍勢が水浸しになるのがもったいなくて、水がかけられなかったと思う。
それに、そんな間はない咄嗟の出来事だ。
また何本かが飛んだ。
シュボッ!シュボッ!
カンッ!
龍勢が柵に当たって跳ね返り、僕の足元をすり抜け、地面を這っていく。
シュボッ!カンッ!ヒュ〜ルルル…
シュボッ!パーン!パパーン!
妹の方にも、飛んでいく。
柵に当たって跳ね返り、家に当たって跳ね返る。
僕は龍勢の軸を押さえていたが、火薬の勢いで手からすり抜けていく。
シュボッ!シュボッ!
下の道にも龍勢が落ちていく。
もうすでに、箱は炎を上げて燃えていた。
次々に点火される龍勢。
シュボッ!シュボッ!シュボッ!
次々に飛び出す龍勢。
その時、下の道の向こうから車が来るのが見えた。
(ヤバイヤバイ!車が来た〜!)
僕は懸命に手で押さえたが、無情にも龍勢は飛んでいく。
(アチチ、アチ!)
箱は燃え、導火線も煙を上げ、龍勢が火を噴き飛んでいく。
シュボッ!
ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル、シュボッ!カンッ!
パーン!ヒュ〜ルルル、パーン!
(もうダメだ、後でスゴイ怒られるな…)
僕は諦めた…。
だが、車に当たるかと思われた龍勢は、無事に(?)車の上を飛び越えていった。
車に乗ってた人は焦ったろう。
ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル、パーン!パーン!パーン!
………静寂が訪れた…。
辺りには、白煙と共に、飛び損なった龍勢の残骸が大量に残っていた。
せっかく楽しみに買ってきた大量のロケット花火が、一瞬にしてなくなった。
もう妹を怒る気にもなれず、僕らは祖父母に気付かれない内に、後片付けをしたのだった…。
直径十数cm、長さ1m近くの木の筒に火薬を詰めたものを、20m近い長さの竹棒に縛り付け、点火して上空高く打ち上げる。
つまりは、巨大ロケット花火である。
江戸時代以前から受け継がれている、とてもエンターテインメント性に優れた伝統で、龍勢祭りというのもあり、なかなかに有名だ。
詳しくはこちら。(ちなみに吉田町のマスコットキャラ「りゅうごん」は、石ノ森章太郎デザインです)
「Web Guide 秩父」
http://www.chichibu.co.jp/topic/199810/ryusei/
他にも、「つきなみCOMICS」というホームページで、龍勢祭りの事を楽しく書かれていました。勝手にリンクしときます。
http://www2r.biglobe.ne.jp/~TSUKI/ryusei.html
僕の田舎の秩父の祖父は、ロケット花火の事を「龍勢」と呼んでいた。
吉田町は秩父郡なので、秩父の人のロケット花火のイメージは龍勢なのだろう。
だから子供の頃は、僕の中でもロケット花火は龍勢という名称だった。
確か、店で売ってるロケット花火にも「龍勢」とプリントされていた。
僕は秩父に行くと、その龍勢(普通のロケット花火)で遊んでいた。
庭の柵にコーラの空きビンを斜めに立て掛け、中に龍勢を入れて火を点けて飛ばす。
シュンッ!
ヒュ〜〜〜ルルル…
パーン!
勢い良く飛び出した龍勢は、夜空に光の弧を描きながら、ヒュ〜という音を立てて飛んでいき、パーンと弾ける。
そしてその音が山にこだまする。
それはそれは楽しい遊びだったが、飛んでったゴミは片付けなかった…。
火薬の入れ物に少しプラスチック素材も使ってあった気がするな…。
田舎の家は、道路から階段を上ったところにあり、庭の柵の下は石垣になっていて、その前が道路になっている。道路の向こうは10mの崖だ。
なので、庭から崖の方向に龍勢を飛ばすと、けっこう飛んでくれて楽しかった。
ある日、昼間ではあったが、妹と一緒に、大量に買ってきた龍勢を飛ばそうとしていた。
一箱丸ごと買ってきたので、30本…いや、40本近くはあったかもしれない。
僕が柵にコーラの空きビンを立て掛け、1発打ち上げた。
ヒュ〜ルルル…
パーン!
昼なので光は見えないが、音は聞こえるし、龍勢の軌道も目視できる。
妹も喜んでいた。
たまに下の道に車が通るので、そういう時は車が通り過ぎるのを待ってから龍勢を打ち上げる。
何発か打って、僕がまたコーラのビンに龍勢を仕込んでいる時だった。
「お兄ちゃ〜ん!」
妹が大きな声で僕を呼んだ。
見ると、妹が火の点いたマッチか線香を落としたのか、龍勢の入った箱が燃えていた。
中には大量の龍勢が入っている!
僕は慌てて火を消そうとしたが、龍勢のいくつかは、導火線に火が点いてしまった。
(マズイ!)
シュボッ!シュボッ!ヒュ〜ルルル…
箱から龍勢が何本か飛んでいった。
斜めのコーラビンからではなく、地面に置いた箱から飛んだので、軌道は低い。
水の入ったバケツは用意してあったと思うが、大量の龍勢が水浸しになるのがもったいなくて、水がかけられなかったと思う。
それに、そんな間はない咄嗟の出来事だ。
また何本かが飛んだ。
シュボッ!シュボッ!
カンッ!
龍勢が柵に当たって跳ね返り、僕の足元をすり抜け、地面を這っていく。
シュボッ!カンッ!ヒュ〜ルルル…
シュボッ!パーン!パパーン!
妹の方にも、飛んでいく。
柵に当たって跳ね返り、家に当たって跳ね返る。
僕は龍勢の軸を押さえていたが、火薬の勢いで手からすり抜けていく。
シュボッ!シュボッ!
下の道にも龍勢が落ちていく。
もうすでに、箱は炎を上げて燃えていた。
次々に点火される龍勢。
シュボッ!シュボッ!シュボッ!
次々に飛び出す龍勢。
その時、下の道の向こうから車が来るのが見えた。
(ヤバイヤバイ!車が来た〜!)
僕は懸命に手で押さえたが、無情にも龍勢は飛んでいく。
(アチチ、アチ!)
箱は燃え、導火線も煙を上げ、龍勢が火を噴き飛んでいく。
シュボッ!
ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル、シュボッ!カンッ!
パーン!ヒュ〜ルルル、パーン!
(もうダメだ、後でスゴイ怒られるな…)
僕は諦めた…。
だが、車に当たるかと思われた龍勢は、無事に(?)車の上を飛び越えていった。
車に乗ってた人は焦ったろう。
ヒュ〜ルルル、ヒュ〜ルルル、パーン!パーン!パーン!
………静寂が訪れた…。
辺りには、白煙と共に、飛び損なった龍勢の残骸が大量に残っていた。
せっかく楽しみに買ってきた大量のロケット花火が、一瞬にしてなくなった。
もう妹を怒る気にもなれず、僕らは祖父母に気付かれない内に、後片付けをしたのだった…。
ニックネーム SNJ at 05:38| Comment(0)
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2006年01月16日
妹の爆撃
僕は小学生の頃、夏休みと冬休みは妹と一緒に、田舎の祖父母のところに泊まっていた。
夏の夜は、誘蛾灯に集まった虫を捕るか、花火で遊ぶかだ。
その二つが重なると、残酷な事になる。
今思えばホントに残酷なんだが、花火で蛾を焼き殺したりした。
誘蛾灯の周りには蛾がたくさん集まるが、時々カブトムシやクワガタも寄ってくる。
それを捕まえるために、蛾の群れに突入していく。
そして、邪魔な蛾は焼き殺す。残酷すぎて言葉もない。もうやめよう。
花火は昼間に火を点けても見えないので、代わりに遊ぶのが爆竹だ。
パパパン!
火を点けては投げる。
パパパン!パパパン!
ただ音が出るだけなのに、何度もやる。
僕の真似をしてか、妹も爆竹を投げる。
パパパン! パパパン…
田舎なので周りに民家はないが、遠くの山に爆竹音が反射して、やまびこになって返ってくる。
きっとそれが楽しかったんだろう。
祖父母に言われた。
「上の畑でやってくりゃ、猿も逃げるよ」
そう言われた僕は、家の裏の階段を上って畑に行き、山に向かって爆竹を投げた。
猿を見掛けた事はないが、猿のフンなどは見掛けた。
子供心に、
(ここの畑はオレが守るぜ!)
そんな気分でいたのかもしれない。
しかし、誰もいない畑で山に向かって爆竹を投げ続けても、何も面白くない。
しかも畑の周辺は薄暗いので、怖くなって逃げた。猿より先に僕が去る。
この畑の片側は山だが、反対側は石垣になっていて、家の屋根の上ほどの高さにある。
運動神経さえ良ければ、石垣の上から跳んで屋根に着地する事も出来たろう。
石垣と家の間は近い。1.2mほどの幅しかなかったと思う。
つまり、石垣と家の壁が平行にあり、その間は狭い通路になっているのだ。
ここを通ると、石垣の隙間から、顔のすぐ横に蛇が出てきたりする。
赤いヤマカカシだ。毒蛇である。
小さい蛇だったが、色が毒々しいので、子供心に毒蛇だと勘付いてすぐ逃げた。
この石垣と家の間の通路、夜に蛇でも出たら気付かないだろう。
危険な通路である。
ある日、妹とケンカした。
理由は覚えていない。子供のケンカだろう。たぶん僕が言い勝ったはずだ。
妹とケンカした後だったので、その日は僕は一人で遊んでいた。
妹はどこかに行ったのか、どこにもいない。
僕が、その狭い通路を通っている時だった。
僕の上から何かが落ちてきた。
(蛇!?)
パパパン!パパパパン!
激しい音が僕の鼓膜を震わす。
落ちてきたのは爆竹だった。
上を見上げると、石垣の上に妹が立っていた。
手には爆竹を持っている!
妹がニヤリと笑みを浮かべた…。
僕は狭い通路で逃げ場もない…。
「積み」である。
僕は下から妹に謝るしかなかった。
「ごめんなさい」
やはり危険な通路だった。
まさか妹が、僕が身動き取れない状態の時に攻撃してくるとは思いもよらなかった。
伸びきった隊列を叩くのにも、ちょうどいい策略だ。妹ながら天晴れか。
夏の夜は、誘蛾灯に集まった虫を捕るか、花火で遊ぶかだ。
その二つが重なると、残酷な事になる。
今思えばホントに残酷なんだが、花火で蛾を焼き殺したりした。
誘蛾灯の周りには蛾がたくさん集まるが、時々カブトムシやクワガタも寄ってくる。
それを捕まえるために、蛾の群れに突入していく。
そして、邪魔な蛾は焼き殺す。残酷すぎて言葉もない。もうやめよう。
花火は昼間に火を点けても見えないので、代わりに遊ぶのが爆竹だ。
パパパン!
火を点けては投げる。
パパパン!パパパン!
ただ音が出るだけなのに、何度もやる。
僕の真似をしてか、妹も爆竹を投げる。
パパパン! パパパン…
田舎なので周りに民家はないが、遠くの山に爆竹音が反射して、やまびこになって返ってくる。
きっとそれが楽しかったんだろう。
祖父母に言われた。
「上の畑でやってくりゃ、猿も逃げるよ」
そう言われた僕は、家の裏の階段を上って畑に行き、山に向かって爆竹を投げた。
猿を見掛けた事はないが、猿のフンなどは見掛けた。
子供心に、
(ここの畑はオレが守るぜ!)
そんな気分でいたのかもしれない。
しかし、誰もいない畑で山に向かって爆竹を投げ続けても、何も面白くない。
しかも畑の周辺は薄暗いので、怖くなって逃げた。猿より先に僕が去る。
この畑の片側は山だが、反対側は石垣になっていて、家の屋根の上ほどの高さにある。
運動神経さえ良ければ、石垣の上から跳んで屋根に着地する事も出来たろう。
石垣と家の間は近い。1.2mほどの幅しかなかったと思う。
つまり、石垣と家の壁が平行にあり、その間は狭い通路になっているのだ。
ここを通ると、石垣の隙間から、顔のすぐ横に蛇が出てきたりする。
赤いヤマカカシだ。毒蛇である。
小さい蛇だったが、色が毒々しいので、子供心に毒蛇だと勘付いてすぐ逃げた。
この石垣と家の間の通路、夜に蛇でも出たら気付かないだろう。
危険な通路である。
ある日、妹とケンカした。
理由は覚えていない。子供のケンカだろう。たぶん僕が言い勝ったはずだ。
妹とケンカした後だったので、その日は僕は一人で遊んでいた。
妹はどこかに行ったのか、どこにもいない。
僕が、その狭い通路を通っている時だった。
僕の上から何かが落ちてきた。
(蛇!?)
パパパン!パパパパン!
激しい音が僕の鼓膜を震わす。
落ちてきたのは爆竹だった。
上を見上げると、石垣の上に妹が立っていた。
手には爆竹を持っている!
妹がニヤリと笑みを浮かべた…。
僕は狭い通路で逃げ場もない…。
「積み」である。
僕は下から妹に謝るしかなかった。
「ごめんなさい」
やはり危険な通路だった。
まさか妹が、僕が身動き取れない状態の時に攻撃してくるとは思いもよらなかった。
伸びきった隊列を叩くのにも、ちょうどいい策略だ。妹ながら天晴れか。
ニックネーム SNJ at 04:07| Comment(2)
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2006年01月14日
文化祭・0mでの観戦
高校2年の文化祭の時の事だ。
僕が階段を上がって行くと、階段の上では、おそらく他校から来たであろう私服の男二人がケンカを始めたとこだった。
お互い胸ぐらを掴みあっている。
それを止めようとしている男もいた。
「おい、こんなとこでやめろよ」
止めに入った男と、ケンカをしている二人は、どうやら知り合いのようだった。
3人で僕の高校の文化祭に遊びに来たが、その内の二人が仲違いをして掴み合いのケンカを始めたのだろう。
ちょうどそこに僕が通りがかった形だ。
僕が階段を上りきると、掴み合った二人が、押し合いながら僕の方へ流れてきた。
片方の男Aが勢い良く押す。
押された男Bは、僕にぶつかってきた!
ドンッ!
僕がクッションになって、押されたBは壁に激突せずにすんだ。
優勢な方のAはさらに押す。
押されたBは、僕に体重を預けてくる。
僕は、押されたBと壁の間に挟まれて動けない。
(何で〜!?何でこの人達ケンカしてんの?)
「テメェッ!」
その時、優勢なAが、Bの顔を殴った!
ドカッ!
殴られたBの後頭部が、僕の顔に当たる。
僕は顔を背けつつ、早く壁との間から逃げたかったが、押されてるBの足が僕の足を踏んでいて逃げられない!
「なんだコラァッ!」
やられたBもやり返す。
押し返すBの体重が僕の足に乗る。
(イテテ…早くどいて〜)
僕は踏まれたまま動けない。
「もうやめろよ!みんな見てるぞ!」
止めようとしていたCが、無理やり二人の間に割って入って、二人をどこかに連れていった。
(見てるも何も、僕はどうなの?)
僕は一人取り残されたが、何が何だか分からないので、その場を立ち去った。
後の集会で、教頭先生が、
「文化祭の時に、2年生の階で殴り合いのケンカがあったそうですね。うちの生徒ですか?誰か目撃者はいませんか?」
と聞いてきた。
僕は、一番近くでケンカを見ていた事になるが、ケンカしていたヤツらも知り合い同士だったみたいだし、すぐに終わったケンカだったので、何も言わなかった。
変に報告して、
「ケンカ見てましたけど、僕の足を踏みながらケンカしてましたね。僕がクッションになって壁への激突は防げました」
などと言ったら、なんとなく笑われそうである…。
…というより、間が悪すぎだろう、僕は。
何で文化祭の日に、壁に挟まれ、足を踏まれてんのか?
僕が階段を上がって行くと、階段の上では、おそらく他校から来たであろう私服の男二人がケンカを始めたとこだった。
お互い胸ぐらを掴みあっている。
それを止めようとしている男もいた。
「おい、こんなとこでやめろよ」
止めに入った男と、ケンカをしている二人は、どうやら知り合いのようだった。
3人で僕の高校の文化祭に遊びに来たが、その内の二人が仲違いをして掴み合いのケンカを始めたのだろう。
ちょうどそこに僕が通りがかった形だ。
僕が階段を上りきると、掴み合った二人が、押し合いながら僕の方へ流れてきた。
片方の男Aが勢い良く押す。
押された男Bは、僕にぶつかってきた!
ドンッ!
僕がクッションになって、押されたBは壁に激突せずにすんだ。
優勢な方のAはさらに押す。
押されたBは、僕に体重を預けてくる。
僕は、押されたBと壁の間に挟まれて動けない。
(何で〜!?何でこの人達ケンカしてんの?)
「テメェッ!」
その時、優勢なAが、Bの顔を殴った!
ドカッ!
殴られたBの後頭部が、僕の顔に当たる。
僕は顔を背けつつ、早く壁との間から逃げたかったが、押されてるBの足が僕の足を踏んでいて逃げられない!
「なんだコラァッ!」
やられたBもやり返す。
押し返すBの体重が僕の足に乗る。
(イテテ…早くどいて〜)
僕は踏まれたまま動けない。
「もうやめろよ!みんな見てるぞ!」
止めようとしていたCが、無理やり二人の間に割って入って、二人をどこかに連れていった。
(見てるも何も、僕はどうなの?)
僕は一人取り残されたが、何が何だか分からないので、その場を立ち去った。
後の集会で、教頭先生が、
「文化祭の時に、2年生の階で殴り合いのケンカがあったそうですね。うちの生徒ですか?誰か目撃者はいませんか?」
と聞いてきた。
僕は、一番近くでケンカを見ていた事になるが、ケンカしていたヤツらも知り合い同士だったみたいだし、すぐに終わったケンカだったので、何も言わなかった。
変に報告して、
「ケンカ見てましたけど、僕の足を踏みながらケンカしてましたね。僕がクッションになって壁への激突は防げました」
などと言ったら、なんとなく笑われそうである…。
…というより、間が悪すぎだろう、僕は。
何で文化祭の日に、壁に挟まれ、足を踏まれてんのか?
ニックネーム SNJ at 02:21| Comment(2)
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