2008年04月18日

カンボジア編4 〜アンコールトム〜

アンコールワットの北方1kmほどに、アンコールトムはある。
周りを四角く城壁に囲まれた城塞都市である。

トム南大門.jpg

100m以上の幅の堀を渡って南大門をくぐって、一辺が3kmの城壁の中に進入だ。
この大きな城塞都市の中にはいくつかの遺跡があり、それらを回って観光していく。

バイヨン.jpg

森の中をトゥクトゥクに乗って走っていくと、まずは城塞都市の中心に位置する『バイヨン』という遺跡が見えてくる。
高さは40m以上。けっこう大きい。

バイヨン2.jpg

この時代は大乗仏教を信仰していたので、観世音菩薩が彫られている。
その顔は世界を見つめるように、四面を向いている。
慈悲が世界に届くようにとのことだが、権力が届くようにとも受け止められる。

バイヨン3.jpg

顔だらけで迫力がある。

二段構えの回廊があり、階段を登り降りしたので、入り組んでいると思いきや、上から見るとほぼ正方形の遺跡だった。

階段を上って辿り着いた中央の本殿内は真っ暗で、みんな壁を手探りで歩いていた。
狭い上に床に段差があるので、みんなつまづいている。僕もつまづいた。


パプーオン.jpg

次は『バプーオン』という遺跡だが、修復中で入れず。
上に立ってみたかったが、残念…。
だが、その望みはすぐに、有り余るほど叶えられた。


ピミアナカス.jpg

次に訪れたのは、バプーオンと形が似ているが、王宮内の『ピミアナカス』という遺跡。
階段にいる人を見れば分かるが、けっこう高い。
もちろん、僕は登った。

トム階段.jpg

10cmくらいしか足を乗せる幅がないので、しがみつきながら階段を登る。

ピミアナカス階段.jpg

途中で小休止して上から見ると、この角度だ。
降りるのもままならない。ていうか、怖い…。
暑さと緊張で大汗をかいた。

ピミアナカス上.jpg

登りきって、見下ろしてみる。
やっぱり高いが、王様の気分。登って良かった。
安全のため、降りる時は手すり付きの階段で降りたが、その階段も急だった。


他にも遺跡はあるのだが、暑くて歩き回るのもつらくなってきた。
お昼になったし、妹や姪っ子もホテルで待ってるだろうから、そろそろアンコールトムを後にしよう。

   〜続く〜
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2008年03月27日

カンボジア編3 〜アンコールワット〜

夕日を観た後は、ディナーに直行。

アプサラ.jpg

アプサラという踊りを観ながらのバイキング。
他にも民族衣装での踊りをいくつか観る。
踊りは派手ではないが、衣装を見てれば面白いかな。

ふと気が付くと、足元に猫がいる。
姪っ子が落とした食べ物を漁りにきたようだ。
猫はやがて、他のテーブルの下へと歩いていった。

姪っ子がぐずり出したので、踊りの途中で席を外す。
途中退場にもかかわらず、僕は食べ過ぎていた。


ホテルに戻って、風呂に入る。
べトナムに来てからずっとシャワーだけだったので、本を読みながら2時間以上も湯船に浸かってしまった。
おかげで、午前2時就寝。


翌朝は6時半起床。
ホテルの朝食バイキングで、また食べ過ぎる。
カンボジアのパンは、あまり美味しくない。でも食べ過ぎた。

今日はいよいよアンコールワットの観光だ。
昨日と同じく、トゥクトゥクに乗り込んで出発。

ワット入り口.jpg

午前8時、アンコールワットに到着。
奥にそびえる塔が魅力的だ。

ワット中.jpg

観光客がいっぱいだが、地元の人々も普通に参拝に訪れている。

ワット修復.jpg

いろいろ修復中だ。

ワット塔.jpg

上の回廊に登りたいが、通行禁止になっている。
前は登れたが、転落事故があって禁止になったらしい。

姪っ子がぐずり出したので、僕以外の家族は先に帰った。
自由になった僕は、回廊を2周した。

ワット逆光.jpg

登りたい…。
5つの塔があるが、近寄ると真ん中の塔はほとんど見えない。

ワット窓.jpg

触ったら折れそう。

ワット池越.jpg

池越しに見ると、5つの塔が見える。
やっぱり高いな〜。
ぜひ登りたかった…。


こうして世界遺産のアンコールワットを観終えた。
2時間もここに居なかったが、かなり暑いので長時間の観光は厳しい。

アンコールワットを出ると、母が一人で待っていた。
妹夫婦は、姪っ子と一緒にホテルに戻ったようだ。

時刻は10時。
姪っ子をホテルに送り届けた義弟が、またトゥクトゥクに乗ってやってきた。
この後はアンコールトムに向かおう。

   〜続く〜
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2008年03月23日

カンボジア編2 〜バケン山から夕日を〜

シェムリアップ空港から、車でホテルに向かう。
ホテルに荷物を置いて、市場へ買い物に出掛ける。

シェムリアップ.jpg

ベトナムと比べると、車が多い。
シェムリアップの街は、世界遺産のアンコール遺跡群の南方に位置する。
シェムリアップを訪れる観光客は、必ず一泊以上する義務があるので、この街は潤っていると思われる。
街角には、交差点ごとに警官が立っている。
治安が悪いというより、観光客の多いこの街で何かあったらマズイので、防犯強化のためだろう。

市場で買い物をしてホテルに戻る。
時刻は午後4時半。
そろそろ向かおうか、アンコール遺跡へ。

トゥクトゥク.jpg

トゥクトゥクに乗り込み、街の北方5kmほどにあるアンコール遺跡群へ。
今日はアンコールワットには入らず、バケン山という山に登って、そこから夕日を見る予定だ。

アンコール入場.jpg

アンコール遺跡は、広大な範囲に広がっているのだが、そこへ通じる道には料金所が設置されており、入場券を買わなければならない。
1日入場券なら20$だ。
24時間有効なので、明日の午後5時までは入場しほうだいだ。
義弟はカンボジア人なので、入場無料。その娘である僕の姪っ子も無料だ。


バケン山に着いた。
標高80mもない低山だ。
象に乗って頂上まで行くことも出来るが、お一人様15$なのでやめた。
徒歩で登ろう。

登山道を行くのだが、多くの観光客が夕日を観るために登っているので、渋滞気味だ。
日本語も聞こえてくる。
周りを見れば、日本人グループも多いようだ。

バケン山頂上.jpg

20分ほどで頂上へ。
頂上には遺跡が広がっている。

バケン山森.jpg

急な階段を登って、遺跡の上に立つ。
森が広がっている他は、何もない。

バケン山夕日.jpg

それにしても、人が多い。
白人も多いが、東洋人が多いかな。

「登山だったね」
日本語の会話が聞こえてくる。

「オプソヨ〜」
韓国人の若い女性グループもいる。

気球に乗って夕日を観ている人もいるが、気球は遺跡の上空には侵入できない。
飛行機も遺跡上空は飛べない。

バケン山夕日2.jpg

まあまあの夕日だ。
曇ってなくて良かった。

夕日を観た後は下山。
もちろん、下山渋滞だ。

   〜続く〜
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2008年03月17日

カンボジア編1 〜シェムリアップへ〜

ベトナムに来て4回目の朝。
今日は8時半に出発だ。

向かう先は、ホーチミン市内の北部に位置するタンソンニャット空港。
11時半のべトナム航空便で、シェムリアップ空港に飛ぶ予定だ。

タクシーで空港に向かうと、大渋滞。
今までに何度も書いてきたが、バイク渋滞で車が全然進まないのだ。

8時半に出発したのに、10時半近くになってようやく空港に到着。
倍以上の時間が掛かってしまった。
すぐに搭乗手続きを済ませる。

出国審査でのことだ。
僕も妹夫婦もすんなり通れたが、母が呼び止められた。
義弟が係員に話を聞くと、出入国カードが他人のものになっていると言う。

このままでは、母は出国できない。
空港へのチェックイン時に、カウンターの係員が取り違えたのだろうか?
もしくは、目の前にいる係員が小銭欲しさにカードをすり替えて、いちゃもんを付けているのか…。

その場で義弟が書類を書き直して事なきを得たが、なかなかびっくりする出来事だった。


紙飛行機で遊ぶ.jpg

シェムリアップ行きのゲートに向かうと、待合室で紙飛行機を飛ばして遊んでいる子供がいた。
さらにその子は、パソコンの前に座ってマウスをいじくりだした。
そのパソコンは空港のコンピューターだろう。大丈夫なのか?
子供は係員の女性と話していたが、係員の子供なのだろうか?


11時40分離陸。
機体はみるみる内に高度を上げ、眼下には雲海。
機内食に出されたサンドイッチは、見た目は侘しいがけっこう美味しかった。


食事が終わると、もう機体は高度を下げ始める。
雲海に潜ると、下に広大な大地が見えた。
それが、カンボジアだ。
僕らはカンボジアにやってきたのだ。

シェムリアップ空港.jpg

離陸から1時間ほどでシェムリアップ国際空港に到着。
こじんまりとした空港だ。
気温は31℃。

まずは入国審査だが、先ほどのベトナムの出国審査の事があるのでちょっと心配だ。
パスポートを出入国カードを係員に渡す。
係員がチェックする。

その時、係員が僕に話し掛けてきた。
英語だ!
何て言ってるかよく分からないが、「イエス」と答えた。

でも一応、もう一回言ってもらおうかと思って、「ホワット?」と聞き返した。
すると係員はこう言った。

「ナニ?」

日本語だ。
僕が「ホワット?」と言ったので、訳されたのか?
よく分からないが、もう一度聞いてみよう。

「ホワット?」
「ナニ?」

これではコントだ。
意思の疎通が出来ていない…。

係員は、僕に「通ってよし」と言うように、指で示した。
無事に入国できたが、すっきりしなかった…。

   〜続く〜
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2008年03月14日

ベトナム編13 〜田舎を後にして〜

コッケコッコ〜ッ!

朝、ニワトリの鳴き声で目覚めた。
時刻はまだ午前4時。
窓の外はまだ暗い。

しばらくゴロゴロしてたが、眠くないので蚊帳から出て、外に出てみる。
空には月が輝いているので、また読書だ。

コッケコッコ〜ッ!

ニワトリのいる、家の裏手の方を伺ってみる。
やつらは、空がまだ暗いのに夜明けを感じているんだな。

ガーガー!

まずい、アヒルに気付かれた。
ということは…、

ワンワン、ワンワン!

犬が家の裏手から僕の方へ向かって走ってきた。

ワンワン!ワンワン!

昨晩、いっしょに遊んでいたのを忘れてか、吠えまくる。

ワンワン!ワ…

僕のことを思い出したらしい。
犬を撫でて、本を読んで、なんてゆったりとした夜明けなのだろう。

家の明かりが灯った。
家人が起きたっぽいが、僕はまだ外にいよう。


1時間ほど外にいると、東の空が明るんできた。
いや、どっちが東か分からないが、明るくなってきたので向こうが東だ。

ベトナム田舎夜明け.jpg

午前6時、見事な夜明け。
いい色合いだ。
ベトナムに来て3回目の朝を迎えた。
この後、一気に明るくなっていった。

6時半、娘さんが学校へ行った。
確かに、あの自転車に乗って走っていった。
僕には乗れなかったあの自転車で。

田舎の市場.jpg

義弟たちも起きたので、一緒に市場の方へ朝食を食べに行く。
7時前だと言うのに、市場には人がいっぱい。

フーテュー.jpg

市場の隣りの店で、フーテューという麺を食べる。
フォーと似てるが、フーテューの麺の方が細くて硬い。
フォーより美味しかったな。

足元には、子犬が3匹ほど走り回っている。
ベトナムでは、食べかすなどは床に捨てるので、子犬たちはそれを狙っているのだろう。


朝食を終え、家に戻る。
今日でホーチミンに戻ってしまうので、ここにいるのもあと4時間ほどだ。

田舎の池.jpg

家の前の溜池には蓮の花が咲き、アヒルも泳いでいる。

ブタ.jpg

豚もいる。

休耕田.jpg

広大な牧草地には、牛が草を食む。
義弟の家の敷地だが、男手がなく休耕田になっている土地だ。


そうこうしている内に、出発の時間が近付いてくる。
出発前に昼ごはんを頂く。
美味しそうなゴイクンだ。
ゴイクンとは、日本でも有名な生春巻きのことである。

僕はエビが苦手なので、エビ抜きで作ってもらったのだが、これがまたウマい!
タレが辛いけど、ウマい!
大きなゴイクンを4、5本食べてしまった。
ベトナムに来てから食べてばっかりだ。


出発の時が来た。
お世話になった礼を言って、11時半出発。
ホーチミンまで5、6時間だ。

車は加速し、義弟のバイクの後ろに乗って走り回ったこの村が、どんどん後ろに流れていく。
ここに来てようやく僕は思い至ったのだった。

(いいとこだな…)

ここに来ることはもうないかもしれないが、とても記憶に残る場所だった。
ベトナムが嫌いだと言って日本から出なかったら、こんな体験は出来なかったろう。
言葉は通じなかったけど、優しい人々の心は僕なりに受け止めたつもりだ。


村を後にし、来た時と同じく、変わらぬ風景が続く。
だが、変わらぬ風景の中に、もう田舎は感じられない。

(またあそこに行きたいな…)

再び行けるかどうか分からないが、そう思った。
あの子供たちは、どのように育っていくのだろう?
都会に出るのか、田舎を守っていくのか。
日本以上に都市部の暮らしと格差があるが、田舎は良かった。


夕方、ホーチミンに到着。
また喧騒の中に戻ってきた。

(田舎、良かったなぁ…)

僕はマンションのベランダから田舎の方角を見て、たそがれた。

   〜続く〜
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2008年03月10日

ベトナム編12 〜ドラ息子〜

話は前後するが、僕が義弟のバイクの後ろに乗せてもらって、義弟の叔父さんを訪ねた時のことだ。

サトウキビのジュースを飲むかと聞かれたので、僕は飲みたいと答えた。
サトウキビジュースを待っている間、叔父さん達と話していると、バイクの音が聞こえてきた。

ブロロロロロ〜、ブロ〜ン

バイクは叔父さんの家の庭に入ってきて停まった。
叔父さんの子だろうか、17、8歳くらいの若者がバイクから降りた。
ベトナムの若者だが、他のバイクと比べて高そうなバイクを乗り回してる様は日本の若者と変わらない。
きっとバイク好きの若者なのだろう。

叔父さんと若者が話をする。
なんと言ってるかは僕には分からないが、次のように推測した。

「おお息子、帰ってきたか。日本からお客さん来てるぞ。挨拶してけ」
「え〜?いいよ〜、めんどくせーなぁ」

義弟も若者と話をして、義弟が若者にお金を渡した。
若者はいらないよと手を振りながらも、義弟からお金を貰った。
僕はこう推測した。

「久しぶり。お小遣いあげようか?」
「え〜?いーよいーよ」
「いいからいいから。取っとけって」
「ん〜、じゃあ貰っとくわ」

若者はまたバイクで出掛けていった。
(な〜んだ。金を貰ったらさっさと行っちゃうなんて、けっこうドラ息子じゃないの?)
僕は彼をドラ息子と認識した。


ドラ息子が出てってしばらく経つと、またバイクが庭に入ってきた。
ドラ息子が戻ってきたようだ。
ドラ息子は叔父さんと話すと、またバイクで出掛けていってしまった。
さっきは左に走っていったが、今度は右に向かって走っていった。
僕はこう推測した。

「ただいま〜。あれ、まだ日本人いんの?」
「いいから挨拶していきなさい!」
「いいって〜の!めんどくせー。アバヨ〜」

(あっち行ったりこっち行ったり、遊び回ってんな。やっぱりドラ息子だな)
どこの国も変わらないもんだ。


その後、サトウキビジュースが出てくる前に、僕らは叔父さんの家を後にしてしまった。
僕は、叔父さんや義弟が、サトウキビジュースのことをすっかり忘れてしまったんだと思った。


そして、義弟の友人宅を回ってまた叔父さんの家に立ち寄った。

ブロロロロ〜

義弟と叔父さんが話していると、またドラ息子が戻ってきた。
叔父さん達と一言二言話すと、またすぐにバイクで出掛けていった。

(最後までドラ息子だな〜)
僕の中で、彼は完璧にドラ息子になった。



そして、夜。
僕が手品をやったりしてる時間帯だ。

ブロロロロロ〜

バイクの音が聞こえてきた。
僕は外に出ていたので、畑の向こうからライトが近付いてくるのが見えた。

(あっ!あいつだ!)
畑の向こうからバイクで近付いてきたのは、昼間のドラ息子だった。
(まったく、夜にまでバイクを乗り回して遊んでやがる)

ドラ息子はバイクを降り、義弟にビニール袋を渡した。
何か荷物でも持ってきたのだろう。

次の瞬間、義弟の言葉に僕は耳を疑った。

「お兄ちゃん、サトウキビジュース来たよ〜」

(えっ!?……………あっ!ああっ!!)
僕は真実を理解した!

ドラ息子が今持って来たのは、サトウキビジュースだった!
何でこんな夜に持って来たのか?

僕に飲ませるためだ!
昼間、彼がバイクで右に左に走り回っていたのは、サトウキビジュースを求めて村中を走り回っていたのだ!
義弟が彼に渡したお金は、ジュース代だったのだ!

そんでサトウキビジュースが品切れかなんかで、夜まで見付からなかったのだろう。
(……僕のために……こんな時間まで………)

彼はドラ息子なんかではなかった…。
僕にサトウキビジュースを飲ませてあげたくて、村の市場を駆け回ってくれた心優しい若者だったのだ…。

ありがとう…。
ありがとう……。


「カ〜ムオン!」
僕は彼にベトナム語でありがとうを言い、
「タンビェ〜ット!」
暗がりの畑の中を帰っていく彼の背中に別れを告げたのだった…。


そうして飲んだ初めてのサトウキビジュースは、とても美味しかった。

   〜続く〜
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2008年03月07日

ベトナム編11 〜手品〜

夜になった。
夕食を終えて、やることもない。
近所に住む親類が集まってきて話して込んでいるが、僕は会話に参加できない。

子供たちと.jpg

子供たちも6、7人遊びに来ているが、兄弟姉妹で顔が似てるので何人の子が遊びに来てるのか不明だ。
写真を撮ってあげると、子供たちは大喜びだ。
普段は写真を撮ることも少ないのだろう。
子供たちはデジカメのモニターに自分たちが写っているのを見て、大爆笑している。
そんで、もう一枚撮ってくれというように並んで待っている。

もう一枚撮ると、またモニターを見て大爆笑。
さらにもう一枚を要求して並んでいる。
15枚以上撮ったが、なんか面白かったからOK。


僕は子供たちに手品でも披露しようかと思い立った。
だが、トランプなどはない。
あるのはお金だけだ。
(苦手なコインマジックか…)

「見て見て〜」
僕は子供たちを並ばせて、指の背でコインを転がすコインロールを見せた。
子供たちは大喜びだ。
とりあえずウケて良かった…。

次はコイン消失マジックを見せた。
これまた子供たちはビックリしていた。
手品もほとんど見たことがないのだろう。

(やれやれ、何とか成功したか…)
と思っていると、子供たちがもう一回やってくれとせがんでくる。
もう一回やると、またビックリしている。

すると、畑の向こうから子供が3人走ってきた。
どうやら仲間を呼びにいったらしい。
もう一回みせてくれとせがまれる。

もう一回披露すると、また大ウケ。
さらに畑の向こうからもう一人が集まってきた。
子供たちはいったい何人いるんだ?

何度もやりすぎて最後はタネがバレた…。


こうして、やることもなかった夜だったが、子供たちとふれあいも出来た。
多少なりとも手品を覚えといて良かったと思える一幕だった。


やがて子供たちは帰っていき、大人たちだけが残って義弟や妹と話し込んでいる。
言葉が分からない僕と母は手持ち無沙汰だ。
時刻はまだ21時前だが、朝も早かったので母は先に寝た。

僕は外に出て本を読んでいた。
空には月明かり。
月明かりで本が読めるなんて初めてだ。

2匹の飼い犬が何度か僕の近くに遊びに来た他は、何もない。
向こうでは笑い声が聞こえているが、とても静かな夜を感じた。
長い夜だ。

22時前、僕も寝ることにした。
蚊帳の中で寝るのも初めてだった。
隣りの部屋の話し声が聞こえてくるが、ホーチミンの夜のクラクションなどの騒音に比べれば静かに眠れそうだ。
暑いけど、ベトナムに来てようやく熟睡できるかな。


ワンワンワンワン!

静かだと思っていたら、親類が帰るたびに犬が吠える。
吠えて追いかけてってから知ってる人だと気付いたらしく、犬は大人しくなる。

ワンワンワンワン!

しばらく経つと、また誰かが帰ったらしく犬が吠えて走り回っている。

ワンワンワンワン!

うるさい夜だな…。

   〜続く〜
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2008年03月05日

ベトナム編10 〜何人?〜

義弟のバイクの後ろに跨り、村の中を行く。
さっきまで僕はメガネをしていたが、あまりにも村の中で浮くのでコンタクトにした。

バイクで走っていると、埃が目に入った。
目をこすったらソフトコンタクトが破れた…。


まずは義弟の母の弟である叔父さんの家に寄る。
縁側で、叔父さんや家族が6、7人談笑している。
その横で大人しそうな黒い犬が歩き回っている。

義弟が挨拶すると、「よく来たな〜、まぁ座れ」みたいな感じで話している。
僕はベトナム語が分からないので、「チャ〜オ」と挨拶しただけだ。

叔父さんは僕にも縁側に座るように言い、僕も縁側に座った。
義弟と叔父さんの家族で話が弾んでいるが、僕にはさっぱり分からない。
「ベトナム語分かるか?」と聞かれたが、「話せない」と言うしか出来なかった。

しばらく話していると、叔父さんの家の奥からまた人が出てきた。
義弟がお土産のタバコを渡す。
僕も挨拶だけする。

また話していると、家の奥からさらに人が出てきた。
いったい、この家の奥に何人いるのだろうかと気になる。
きっと、義弟が帰ってきたのを知って、畑仕事から戻ってきたのだろう。

義弟は家の人に連れられ、家の奥に入っていってしまった。
僕は叔父さん達と縁側に取り残されて気まずい…。

叔父さん達は、時折り僕の方を見ながらも家族で談笑している。
僕も何か話したいが、言葉が分からない。

やがて義弟も縁側に戻ってきて、また談笑する。
「結婚してるのか?」
叔父さんは僕に聞いてきた。義弟の通訳だ。
「いいえ」

「なら、ベトナムの女を嫁に貰えばいい」
叔父さんは笑いながらそう言ってきた。
「ベトナム語が分からないから難しいですね」
僕も笑いながらそう返す。


叔父さんの家を後にして、次は義弟の友人の家を訪れた。
大人しい黒い犬がいた。
さっきの叔父さんの家にいた犬と似ている。

家の中に通され、義弟と友人とそのお母さんで話している横で、僕はまた手持ち無沙汰だ。
「若いね。結婚してるの?」
母親から聞かれる。
そういうのは、ベトナムでの会話の常套句なのだろう。

友人の腕に大きな傷があったので聞くと、飼い犬にやられたらしい。
大人しそうな犬なのに、やる時はやるんだな。

友人らと.jpg

一緒に写真を撮って、お暇する。
「タンビェ〜ット!」
ベトナム語でさようならを言った。


次はまた別の友人の家に向かった。
義弟と一緒に村から大学に行った仲だそうで、卒業後、義弟はホーチミンに残り、友人は村に戻ったという。
友人は畑仕事の手を止めて迎えてくれた。

「ベトナム語は話せる?」
「コンノ〜イ」
僕はベトナム語で、「話せない」と言った。
なので、ここから先は義弟の通訳だ。

「結婚はしてる?」
「してません」
「若いですね」
「カ〜ムオン(ありがとう)」

「日本と比べて、ベトナムはどうですか?」
「日本の田舎に似てますね」
生えてる木々などは全く違うが、ここの田舎は昔の日本の田舎みたいな雰囲気だ。

しばらく話して、友人宅を出る。
後で聞くと、その友人は英語が話せたらしいので、英語を混ぜて話せばもう少し話せたかもしれない…。


義弟の母の妹である叔母さんの家にも寄って、お土産を渡す。
ここにも大人しそうな黒い犬。
ここまで100%の確立で、どの家にも犬がいる。
しかもみんな同じ風体。犬も一族なのだろうか?


また叔父さんの家に戻ると、また別の義弟の友人が来ていた。
「若いですね〜」
また若いと言われたが、肌が白いので若く見えるのだろうか。
またしばらく話して、叔父さんの家を後にする。


帰り際、義弟が雑貨店の前でバイクを止めて、店先のおじいさんと話しをしている。
買い物でもするのかと思ったら、
「お母さんのお兄さんです」との事。
いったい何人の叔父さん叔母さんがいるのか?

   〜続く〜
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2008年02月28日

ベトナム編9 〜自転車を借りて〜

義弟の実家には、義弟のお姉さんとその娘さんが一人、そして母親が暮らしていた。
家の隣りは、義弟の別のお姉さんの家。
逆隣りに母の妹の家、さらに隣りに母のお姉さんの家。
書くとよく分からないだろうが、親族が近くに住んでいるわけだ。

僕らの到着を知って、親族の方々が家にやってきた。
「お母さんのお姉さんです」
義弟に紹介される。
「お母さんの妹です」
義弟に紹介される。

さらに孫や子も次々にやってくる。
自転車で乗り付ける子、畑の向こうから走ってくる子、義弟も名前を覚えられないほどの人数だ。

犬と牛と.jpg

子供たちは僕を無視して、初めて会う1歳児の姪っ子に近寄っていった。
そして、犬や牛と遊んでいる。
まぁいい、どうせ言葉も分からないし。
僕はココナッツジュースを飲みながら、手持ち無沙汰だ。

犬と牛はなつっこいが、大人のアヒルは攻撃的だった。
ガーガー言いながら、闖入者である僕を威嚇してくる。
背中を見せると一気に間合いを詰めてくるので、面と向かったまま後ずさりした。
その周りをアヒルの子供たちが何匹も走り回っている。


フルーツを食べた後、僕は少し散歩でもしてこようと思いたち、カメラを持って出掛けた。
道に出て歩いていくと、すぐに汗が噴出してくる。
帽子を被ってくれば良かったかな。

自転車で走ってきたおじさんが、僕をじろじろ見てくので「ハ〜イ」と挨拶したら、すごいはにかんでた。
僕は色白でメガネにカメラ姿。典型的な日本人だ。
ホーチミンと違って、ここでは外国人が珍しいのだろう。

トラクターが.jpg

トラクターが往く。
道にはアヒルだか鶏が走り回っている。
こんな風景の中を歩くのは初めてだ。

あまり遠くに行くと戻れなくなるので、引き返した。
自転車さえあれば、もっと遠くに行けたのに…。

家に戻ると、庭先に自転車が置いてあった。
(これなら遠くに…)

妹に聞くと、義弟の姪っ子の自転車らしい。
僕はそれを借りることにした。

自転車を借りて.jpg

菅笠も被って、準備万端。
いっちょ行ってくっか。
僕は自転車に跨った。

乗った瞬間に気付いた。
ハンドルが右に曲がっている!
しかもネジが緩いのか、グラグラだ。

僕は畑に突っ込みそうになった。
気を取り直して、改めて走り出す。

また畑に突っ込みそうになった。
なんとペダルも傾いている!
これでは漕ぐとバランスを崩してしまう。
しかもハンドルは緩々なので、手ではバランスを取れないのだ。

(まぁ、舗装路に出ればなんとか…)
ここ一年ほど僕は自転車を乗り回して、軽めの岩場も登ったし、木の段差も下ってきた。
それなりに自信はある。

畑の間の道をフラフラになりながら漕いでいき、ようやく舗装路に出た。
舗装路に出て気付いた。

ブレーキが効かない!
僕は草むらに突っ込んだ。
ハンドルも効かないので、進行方向の微調整も出来ない。
少し走っただけで、僕は引き返した。

なお、夕方にこの自転車の持ち主である娘さんが、普通にこの自転車に乗っているのを目撃した。
しかも大きな籠を抱えながら、片手運転で畑の中のガタガタ道を走っていた。
その子は中学生で、遠くの学校にもこの自転車で40分かけて通ってるという。
僕は自信をなくした…。


お昼ご飯の時間になった。
もてなし料理として、エビや豚の耳が出された。
モロに僕の苦手な食材だが、御もてなし料理を食べないわけにはいかない。
なんとか食べたが、やはり苦手だった…。


「お兄ちゃん、一緒に出掛ける?」
昼食後、義弟が村の友人たちに会いに行くと言うので、僕も付いていく事にした。

   〜続く〜
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2008年02月25日

ベトナム編8 〜田舎へ〜

旅行3日目の朝は、5時起きだ。
昨夜もあまり眠れなかったが、姪っ子に頭を叩かれて起こされた。

今日は、義弟の実家に行くことになっている。
場所はどこだか分からないが、ホーチミンから5〜6時間かかるらしい。

車を頼んであったので、6時半に迎えがきた。
ベトナムではレンタカーを頼むと、ドライバー付きで迎えに来てくれる。
車は大きなワンボックスカーだった。

田舎に持って帰るお土産など、大量の荷物を車に積んで出発。
南西に向かって、大きな道を延々と走る。
通り掛かるバイクを見ていると、大量の荷物を積んでいる。
みんな、田舎からホーチミンに働きに出てきてて、正月で田舎に帰るのだろう。
それで、お土産がどっさりなわけだ。

5人乗りで走っているバイクもある。
父母、子供3人、一家揃っての帰省だろうか。
一番小さな子がハンドルと父親の足の間に立って、母親はバイクの後ろからはみ出すように乗り、父と母の間に子供が2人挟まれている。
この状態で、数時間も走るのはつらいだろうなぁ。

他にも2人乗りで、後ろの人が自転車を逆さまにして肩に担いで走っているのを見掛けたが、ベトナム人は体は細いのに逞しいもんだ。

僕が今乗っているレンタカーは、10人以上乗れるほど大きい。
そこに、ドライバーと僕らの家族5人だけ。
本当は義弟の妹と末弟が一緒に来るはずだったが、仕事が忙しくて来れなくなった。
車内にはスペースが空いていて、僕も自転車を持ってくれば良かったと後悔する。


途中で、フランスパンのサンドイッチであるバイン・ミーを購入。
僕のバイン・ミーには、ハサミムシみたいな虫が生きたまま入っていた。
もちろん、具ではない。いつの間にかに食材に紛れていたのだろう。

バスが走ってきたが、バスのドアは開きっぱなしで走っている。
停留所で停まると渋滞になってしまうため、バスに乗りたい人はバス停前を低速で走り抜けるバスに飛び乗らなければならない。
アクション映画みたいだ。


出発から2時間ほど経って、ドライブインで休憩。
半分近く来たかな。
ずっと大通りを来たが、横断歩道などないので歩行者が道を渡る時は危険だ。
ホーチミンよりバイクが減った分、車が増えてスピードも出ている。
中央分離帯のコンクリート壁があるので、歩行者は1mほどの壁を乗り越えていかねば渡れない。
壁の上に立って交通が途切れるのを待つ人を、けっこう見掛けた。

メコン川の橋.jpg

ドライブインを過ぎてまた大通りを行くと、大きな橋があった。
近年完成したばかりのベトナム最大の橋だ。
下を流れるのはメコン川で、船が行き来するので橋が大きいのだ。

橋の上からはどこまでも続く森が見える。
山はなく、どこまでも平野だ。
あの森の向こうへ行ってみたくなる。

田舎への道.jpg

橋を渡ると、風景が田舎っぽくなってきた。
いくつもの小さな橋を渡り、湿地帯を走り抜ける。
水辺には民家が広がる。
道沿いに街があり、道とクロスする川沿いに民家が続く。
あの川の向こうへ行ってみたくなる。

大通りを外れて、村々の間を抜けていく。
長閑だが人は多く、活気に溢れている。
こんな田舎にもインターネットカフェの看板があってびっくりする。

この辺が義弟の実家かと思ったが、さらに奥へ。
村を抜けると森の中の道になり、また村が現れる。
ますます田舎になっていくが、狭い道を80km以上のスピードで走っていくので怖かった。
道にはアヒルが走り回っている。

田舎へ.jpg

そして出発から5時間。
11時半に田舎に到着。
車の中はクーラーが効いてたが、降りた途端に汗が噴出す。

   〜続く〜
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2008年02月16日

ベトナム編7 〜自転車投入〜

お昼にフォーを食べた後は、買ってきた地図を見る。
ホーチミン市内は意外に入り組んでいるようだ。

午前中に連れてかれた市の中心部は、今いるマンションからけっこう遠い。
10km以上あり、歩いて行ける距離ではない。

(自転車なら行けるかな〜?)
実は、僕はこのベトナムに自転車を持参していた。
17kgの折りたたみ自転車を、成田空港から重い思いをして運んできてたのだ。

「ベトナムを自転車で走ってやる!」
そう意気込んでいたのだが、先ほどベトナムの交通事情をこの目で見て意気消沈した。
(あんな場所を走れるはずがない!)

僕は地図を見ながら、ホーチミン市内を想像上で走ってみた。
バイクの河。
途切れない流れ。
交差点という交錯点。
(うん、絶対事故るな…)


夕方、妹夫婦がスーパーに買い物に行くと言うので、僕も付いていく事にした。
スーパーまでは、大きな道路で一本道。
これなら自転車でも大丈夫かもしれない。
僕はついに、自転車をベトナムの大地に立てた。


スーパーに行くには、いったん逆方向に走って交差点でUターンしてこないとならない。
中央分離帯があって、道を渡れないのだ。
僕はスーパーと逆方向に走りだした。

1kmほど走って、交差点に到達。
「頑張って〜。先に行ってるよ〜」
妹夫婦の乗ったタクシーが、僕を追い抜いていく。

僕も続いて交差点でUターン。
バイクの行き交うドキドキの交差点を無事にクリアして、スーパーへ向かう。

出発点のマンション前を通過。
すでにヘロヘロだ。
中央分離帯がなければ、2kmも無駄に走らなくてよかったのに…。

バイクに追い抜かれながら、時速24kmほどで走り続ける。
バイクの人々は、珍しい自転車に乗っている僕をじろじろ見ていく。

交差点が見えてきた。
ここの交差点は交通量が多い。
赤信号になったので停止。
停止した横が、露天の自転車修理屋で、なんだか少し気まずい。

青信号になる。
バイクが一斉に走りだす。
初速だけは、自転車の方が速いので、逃げるように交差点を渡って道の端に寄る。
僕の横をバイクが次々に抜いていく。もちろん、僕をじろじろ見ながら。

道の端を走っていれば安全かと思いきや、バイクが道の端を逆走してくる。
この国の道を走るにおいて、安全地帯はどこにもない。

橋を渡って、交差点をクリアして、ようやくスーパーに到着。
僕を心配した義弟が、通りに出て待っててくれた。
僕は、ものすごい汗だくだ。
スーパーまでは12kmあった。
気温30℃以上の中、12kmの全力疾走だった。

スーパーは品揃えも多く、みんな大量に買い物をしている。
時期は1月末だが、ベトナムでは旧正月で、最も盛り上がる時期なのだ。

買い物をして、帰宅。
帰りはのんびりと走った。
交差点は怖いけど、だんだんとベトナムの道にも慣れてきた。
日本に帰る前には、ホーチミン市内を走れるようになっていたいもんだ。
この日は、22.5kmを走った。


夜、義弟の弟夫婦が遊びに来た。
弟夫婦にも、もうすぐ2歳になる子がいて、僕の姪っ子と初対面だ。
愛称がキティちゃんという。

キティちゃんが、僕の姪っ子の前に歩み寄り向かいあった。
キティちゃんと姪っ子の年齢差は5、6ヶ月か。キティちゃんの方が大きい。

キティちゃんが姪っ子の服を掴んだ。
両者が見つめ合う。
お互いに笑った。

次の瞬間、キティちゃんが姪っ子が手に持っていた玩具を奪い取った。
姪っ子が取り返そうとする。
キティちゃんが逃げる。
そのまま玄関を開けて逃亡し、親に部屋の中央に連れ戻された。

従姉妹同士で段ボール.jpg

キティちゃんが段ボールに座ると、姪っ子もマネして段ボールに乗って遊ぶ。
だが、両者の目線は玩具に釘付けだ。
従姉妹同士である両者は、このことを覚えているだろうか?


夕飯は、アヒルの丸焼きをぶつ切りにしたもの。
僕の苦手な丸ごとタイプだが、弟夫婦が買ってきて奥さんが調理してくれたので、食べないわけにはいかない。
かなりのご馳走なのだ。

香草といっしょに辛いタレに付けて食べるのだが、味は良いが骨が刺さりそうで困った…。
夕食後、キティちゃん達は帰っていった。


こうして、旅行2日目の夜は更けていった。
明日は朝5時起きで出掛ける予定だが、やっぱり暑くて眠れない。
そんで、窓の外にはクラクションの音。

   〜続く〜
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2008年02月11日

ベトナム編6 〜ホーチミン市内〜

ベトナムの信号機には、カウントが付いている。
赤、青の表示の下に、信号が変わるまでの秒数が表示されているのだ。

青信号なら、カウントが0になれば赤になる。
赤信号なら、カウントが0になれば青になる。

なお、自分の進んでいる方向の信号が赤になって、それとクロスする信号が青になるまでの間がない。
日本なら2秒近く、両方が赤信号になっている間がある。

基本的に信号は少ないが、市街中心部には信号が増えてきているようだ。
信号がなければ、無法地帯だ。

一方通行.jpg

バイクの流れをスムーズにするために一方通行も多く、大きい交差点を左折するには一旦右折し、小さい交差点を左折し、さらに左折し、迂回してきて右折する。
するとようやく、最初に行きたかった方向に進める。
こうして交通ルールが保たれている。

道を往くバイクや車には、接触の傷などは少ない。
意外にもベトナム人は、みんな運転が上手なようだ。


その中を、僕は義弟の運転するバイクの後ろに跨って進んでいく。
赤信号で止まった。
僕の周りは、停止するバイクで囲まれる。
赤信号がカウントダウンしていく。

10、9、8、7、6、5、4…ブォン、ブォン!

残り3秒くらいから、周りのバイクがエンジンを吹かし始める。
クラクションが鳴り響き、残り1秒で最前列が見切り発車する。
後ろのバイクも次々にスタートを切る。

だが交差点には、まだ横切っているバイクが通り抜けきってない。
それどころか、次の信号を待たずに横切ってしまおうと突っ込んでくるバイクも多い。

バイクの列と列が、クラクションをかき鳴らして交錯する。
横切るバイクはスピードに緩急を付けて、なんとか切り抜けていく。
それが交差点ごとに繰り返される。

右折したいのに、道の右端に寄れなかった場合も怖い。
右後方に注意しながら、無理やり寄っていく。
そうしないと、交差点内に取り残されて危険だ。

「怖いね〜」
「すごいね〜」
僕と義弟の会話はそれだけだ。

右折車が多い時は、とにかくコーナーのインを突いて、道から外れて店の軒先を走り抜ける。
香港映画のようだ。

ホーチミン裏路地.jpg

そんなこんなで、義弟の兄貴のお母さんの家に挨拶に来た。
大通りを外れた裏路地で、雰囲気が良い。
フルーツをご馳走になって、また大通りへ出る。

統一会堂.jpg

統一会堂に到着。
旧南ベトナムの大統領官邸だ。
中も入りたかったが、素通り。

中央郵便局.jpg

中央郵便局。
フランス統治下時代の建築物だ。

聖母マリア教会.jpg

聖母マリア教会。
市内には、このようなヨーロッパ風の建築物が多い。

本屋横の像.jpg

その後は、ベトナム通貨へ換金し、本屋で地図を購入。
この像は、本屋の横の店先にあったもの。僕の友人に似ている…。

フォーを作る店員と.jpg

お昼ご飯用に、フォーをお持ち帰りで買う。
手際良くフォーを作る店員と写真を撮ってもらう。

フォー.jpg

12時半過ぎに帰宅して昼食タイム。
苦い思い出のあるフォーだったが、けっこう美味しかった。
食べてばかりいるな…。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 15:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅は靴擦れ

2008年02月11日

ベトナム編5 〜放置民〜

美味しく朝食を頂いた後、義弟の兄が家にやってきた。
僕にとっては義兄だ。
義兄の子供用に買ってきたお土産の剣玉を渡す。

義兄が帰る時に義弟も一緒にバイクで出掛けるというので、僕も後ろに乗せてってもらった。
向かう先はホーチミン市内の中心部。
前述した通り、道路はバイクの洪水状態だ。
その中を流れに沿って泳いでいかねばならない。

しばらくは義兄と話しながら2台のバイクで併走してたが、その内に義兄は先に行ってしまって見えなくなった。
てっきり、一緒に行くと思ってたのに向かう先が違ったのかな?

洪水は、市の中心部に向かうにつれて激しさを増す。
義弟の運転するバイクの後ろに跨っている僕の横も後ろも、バイクが陣取っている。
僕はビデオカメラを構えていたが、追い抜かれざまに引ったくられないように要注意だ。


道路には、車も走っている。
急いでいる車は、クラクションを鳴らしながらバイクを蹴散らしていく。
と言っても、どかないバイクもいるので、車はこのベトナムでは運転しづらいだろう。
バイクがどかない場合は、対向車線にはみ出して抜いていく。

向こうからバスが走ってきた。
対向車であるバスは、僕の前でこちらの車線に入ってきた。
バイクを追い抜くためである。

バスはこちらの車線に入ったまま、どんどん近付いてくる。
僕の横にはバイクがいて、逃げ道はない。

ブッブ〜!ブッブ〜!

バスはクラクションを鳴らしながら、寸前で向こうの車線に戻っていった。
対向車線に隙があれば、即進入する。
なんなんだ、この国は…。


でも、対向車線にはみ出すどころか、完全に逆走してくるバイクもいる。
流れの向こうから突然現れるので、正面衝突しそうになる。
だが、そいつは迷惑行為ではなく、道を渡ろうとしているだけなのだ。

対向車線を挟んだ向こうの建物に行くには、対向車線を越えなければならない。
対向車線にはバイクの流れが途切れないので、90度の角度で突っ切るのは道を塞いでしまうし不可能だ。
その場合、辿り着きたい場所の手前から対向車線に侵入し、向かってくるバイクを一台一台かわしながら、ゆっくりと対岸に近付いていくしかない。

みんなそうしている。
それが、ルール。
なんなんだ、この国は…。


ホーチミン市内には、いくつもの汚い川が流れている。
川には橋が架かっているが、数が少ないのでどの橋も混んでいる。
橋を渡らなければ、違うエリアには行けないのだ。

日本でも、いくつもの渋滞した橋を見てきたが、それは自動車で渋滞していた。
バイクは自動車の間をすり抜けていけるので、渋滞では便利だ。

だが、ベトナムでは渋滞全部バイク。
すり抜ける隙間もない。


市の中心部に入ると、大きなお店も増えて賑やかになってくる。
…ていうか、クラクションとバイクのエンジン音で、いつも賑やかだけど…。

突然、バイクの流れの中に人が立っていたりする。
その人は、道を渡っている最中だ。
押し寄せるバイクの波の隙を見付けて、一歩また一歩と道を渡っていく。
バイクはスピードこそ出ていないが、生身で道路を横断するのも命懸けだ。

手に大量の料理を持って道を渡る女性がいた。
飲食店の店員だろうか。
道路を挟んだ対岸の人から、料理を届けてくれと言われ、今配達に行くとこなのだろう。
両手にお盆を持ち、バイクの流れの中を泳いでいく。
バイクに接触したら料理を落としてしまうだろう、危険な配達だ。

僕はバイクの後ろに跨ったまま、それらの光景を見ていた。
なんなんだ、この国は…。
馴染めなさそう…。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 02:03| Comment(2) | TrackBack(0) | 旅は靴擦れ

2008年02月06日

ベトナム編4 〜バイクで朝食を〜

暑さとクラクションの音で寝つけず、明け方まで寝たり起きたり。
日本の寒さが懐かしい。

明け方やっと寝ついて、朝7時起床。
僕が起きると既にみんな起きていて、義弟の甥っ子がバイクで義妹を迎えに来ていた。
これから美容師の仕事に行くらしい。
義妹はベトナム語と韓国語を話せるが、僕はどちらも話せないので、手を振って見送るだけだ。


義弟がバイクで朝ご飯を買いに行くと言うので、僕も後ろに乗せてってもらう。
マンション前のベトナム随一の広い通りを西へ向かい、1kmほど走って右折すると狭い道になった。
狭い道にバイクが溢れ、その隙間を縫うようにトラックがクラクションを鳴らして通り抜けていく。

朝の市場.jpg

さらに右折すると未舗装路になり、そこが市場だった。
小さい市場だがたくさんの人々が行き交い、賑わいを見せている。
ホーチミン市街と違って、近辺の建物は低い。
ここはマンションなどが点在する郊外だ。

そこで、フランスパンに肉や野菜などの具を挟んだ『バイン・ミー』を購入。
他にも名前を忘れたが、麺料理を買って帰宅。

来た道を戻るのだが、マンション前の大きい道路には中央分離帯があり、マンション入り口に向かって左折できない。
なので、ずっと先まで走って交差点でUターンしてこないとマンションには戻れないのだ。

     ←←←←←←
   ↓         ↑
  |  |  ||↑|↑
  |二|四||四|二
家|輪|輪||輪|輪
  |車|車||車|車
  |↓|↓||  |

マンションを左手に見ながら1km以上先まで走っていく。
大きめの交差点でUターンだ。
そのためには、自動車の車線を二つ越えなければいけない。
信号はあるが、交差点にはクラクションが響き渡ってなかなか怖い。


HTM交差点1.jpg

まずは、左手の車を交わしつつ左折。

HTM交差点2.jpg

右側通行なので、対面するバイクの群れの右側の位置まで行く。

HTM交差点3.jpg

やっぱり、マスクにサングラスが強盗団のようだ。

HTM交差点4.jpg

とりあえず90度曲がった。
さらに左手の家の方の車線に入っていかないと帰れない。

HTM交差点5.jpg

騎馬隊のようにクラクションを鳴らして突撃してくるバイクの前を左へ抜ける。
急いで駆け抜けないと、バイクの群れの中に逆向きのまま取り残されて危険だ。

HTM交差点6.jpg

ギリギリでクリア!
なんだか障害物を避けるレースゲームのようだ。


バイン・ミー.jpg

こうして帰宅して食べたバイン・ミーは、香草は入っていたが気にならない程度で、とても美味しく2個も食べてしまった。
さらに麺も食べた。
おかしい…ベトナムに来たら食に困るはずだったのに…。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 13:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 旅は靴擦れ

2008年02月06日

ベトナム編3 〜ホーチミン到着〜

機体はホーチミンのタンソンニャット空港への着陸態勢に入った。
高度が下がると民家の窓の灯りが近付いてきて、それが高速で後ろに流れていく。

機首を上げて後輪、前輪の順に着地していく。
前輪が地に着いた大きなショックの後、轟音と共に減速していく。

ゴゴゴゴゴゴ〜!!

揺れと轟音が収まり、着陸成功だ。
一時は、僕は空の上で死ぬかと思ったが、無事にホーチミンに到着した。
成田を経った時は気温6℃だったが、ホーチミンは26℃あった。


入国手続き、荷物の受け取りを済ませ、空港の外へ向かう。
窓の外が見えた瞬間、僕は驚愕した。

到着ロビーの外に、数百もの人が幾重にも連なって並んで手を振っているのだ!
その数は、飛行機で到着した人数よりも多い。

名前の書かれたボードを掲げる人、飛び跳ねながら待ち人を探す人、大声を上げて手を振る人、様々だ。
なんでも、ベトナム人は一家一族総出で空港にお迎えに来ているらしい。
なので、一人の到着を待つのに5、6人も来て待っているのだ。
その様は、ゾンビ映画を思い出す。
空港内はクーラーが効いていたが、外に出た途端に汗をかいた。

タンソンニャット空港到着.jpg

僕らは大量の荷物を2台のカートに積んで、その中を分け入っていく。
通路を塞ぐ輩は、係員がピーピー笛を鳴らして注意する。
人ごみで進めない上に、そこかしこからタクシーの客引きが話し掛けてくる。

ピッピ、ピピーッ!
プ〜ッ!プップ〜!
ボボ〜〜ッ!

ホイッスルとクラクションと人々の喧騒が響き渡る。
まるで何かのお祭りだ。

空港には、義弟の妹、つまり僕にとっては義妹が迎えに来ていた。
僕は義妹の顔を知らない。
妹夫婦が義妹を見付けたらしいが、人だかりのどこにいるのか僕にはさっぱり分からない。

どうにか人だかりを抜けると、義妹が近寄ってきた。
大型タクシーに大量の荷物を積んで乗り込み、マンションへ向かう。
日本を出てから7時間半が経っているが、時差がマイナス2時間なので深夜0時だ。

タンソンニャット空港は、ホーチミン市街の北方に位置する。
向かうマンションはホーチミンの南西部なので、市街地を抜けていく。

深夜0時だというのに、通り沿いにはけっこう人がいた。
暑くて眠れないのか、家の前に出てイスに座って話し込んでいる。
上空から見てずいぶん明るい街だと思ったが、こんだけ夜も賑やかなら頷ける。

だがそれ以上に驚いたのが、道路の交通事情だ。
日本とは逆に右側通行なのだが、僕らの乗ってるタクシーのすぐ前に、突然バイクが飛び出してくる。
しかも二人乗りだ。
いや、ほとんどのバイクが二人乗り以上である。
ベトナムでは車が少なく、その分バイク大国なのだ。

ホーチミンは砂埃や粉塵がすごいので、バイクに乗っている人は、防塵対策でマスクをしている人が多い。
大型のマスクなので、西部劇の強盗みたいに見える。
二人乗りのバイクがマスクで顔を隠し、タクシーを囲んでくる。
まるで強盗団に狙われてる気分だ。

それらのバイクがクラクションを鳴らしながら、我先にと走っているのだ。
負けじとタクシーもクラクションを鳴らす。
後ろ、前、横、いろんな方向からクラクションが聞こえてくる。


交差点が近付くが、信号はない。
タクシーはそのまま交差点に向かっていく。
交差点には数十台のバイクが横切っている。
(どうすんの、これ!?)

タクシーはクラクションを鳴らしながら、バイクの群れに突っ込んでいった。
バイクがタクシーの横から、クラクションを鳴らして向かってくる。
ぶつかりそうになりながらも、バイクはよけていった。
次々にバイクと交錯していくが、一台もぶつからない。

これがベトナムの交通ルールだ!
僕はとんでもない所に来てしまったと思った。


深夜12時半過ぎにマンションに到着。
この日は、そそくさとシャワーを浴びて寝ることにした。

だが!
暑くて眠れない…。
扇風機はあるが、クーラーはない。
窓を開けてあって風は通るのだが、いかんせん気温が高いのだ。

それどころか!
マンションの前の道は、現在ベトナムで最も大きい道路だ。
交通量も激しい。
前述の通り、クラクションを鳴らしまくるのが基本なので、夜通しクラクションが鳴り響く。
うるさくて眠れない…。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 00:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅は靴擦れ

2008年02月05日

ベトナム編2 〜空へ〜

先に言っておこう。
僕は飛行機が苦手だ。

何が苦手かって、空を飛んでいるのが苦手なのだ。
落ちるのはもちろん、高速で飛んでいるのも怖い。
新幹線の4倍の速さだ。

昔、青森旅行の際、青森空港から羽田空港まで飛行機に乗った。
その時、途中で乱気流に遭遇して怖い思いをした。

乱気流の中で飛行袖が急降下したのだろう、子供が泣き出すほどの無重力を数秒間感じた。
まるでジェットコースターだ。

それ以来、飛行機は苦手である。


だが今回は、ベトナムに行くにあたって飛行機に乗らざるを得ない。
なんとか快適なフライトといきたいもんだ。

家族6人で成田空港に着いたのは、飛行機の出発の4時間前。
早過ぎる到着だ。

荷物を預け入れした後、父はベトナムに行かないので一足先に帰宅。
僕と母と妹夫婦と姪っ子の5人で、出発まで2時間半待ちだ。

僕は一人でぶらりと空港内を散策。
空港内には店がいっぱい。
当たり前だが外国人も多い。
僕は外国語が分からないので、外国人がいっぱいいると不安になってくる。

成田空港屋上.jpg

寒風の中、空港の屋上から飛び立つ飛行機を見る。
次々に飛行機が空へと飛び立っていく。
(僕ももうすぐ機上の人となるんだ)
いよいよ海外に旅立つんだ、という実感が湧いてくる。

待っていても暇なので、早めにベトナムへの出発ゲートへ向かう。
そこでも数十分待って、やっと搭乗開始。

母と妹夫婦と姪っ子が前の座席、僕はその後ろの席に座った。
僕の隣りには、間ひとつ空けて商社マン風の年配のおじさんが座っていた。
新聞を広げ、飛行機にも慣れている感じだ。


午後6時過ぎ、JALの機体が動き出す。
夜のとばりが降りた滑走路に、ずらりと並んだ誘導灯が道を作る。
飛行機は何度も方向を変えながら、ゆっくりと地面を走って長い滑走路へ向かう。

そして轟音を上げながら一気に加速すると、飛行機は大地を離した。
けっこうな急角度で空へと昇り、みるみる内に夜景が小さくなっていく。
僕の座席は真ん中辺なので、窓側の席の人たちの隙間から外を覗いている。

離陸後、機内サービスのドリンクが運ばれてきた。
僕はトマトジュースを頼んだ。
こんなとこでトマトジュースを飲めるとは快適だ。

妹はビールを頼んで半分だけ飲み、残りは僕が飲んだ。
飛行機の中で酒を飲んだのは初めてだ。快適快適。


離陸から50分かからない内に、和歌山県上空へ。
去年の春に車で和歌山県に行った時はずいぶん遠いと思ったが、飛行機だとすぐだ。

機内サービスの夕食が運ばれてきた。
僕は牛玉丼を頼んだ。
前の座席の背もたれには液晶テレビが付いていて、映画や音楽、ゲームを楽しめるし、なかなか愉快なフライトになりそうだ。
ついでに日本酒も頼んだ。

備え付けの液晶テレビで、『その時歴史が動いた』や、ジャッキー・チェン主演映画『ラッシュアワー3』を観る。
日本酒を飲みながらテレビを観るなんて、ちょっと空の旅を満喫してるかな。
機内モニターには『時速800km 外気温−43℃』の表示が出ている。

飛行機の中姪.jpg

1歳児の姪っ子が飽きたのか、前の座席から後ろを覗きこんできた。
僕を見付けてニッコリ笑う。
僕の横に座っているおじさんの読んでる新聞をも覗き込む。
おじさんは姪っ子と視線を合わせないようにしている。

姪っ子がティーカップを握って覗きこんできた。
ティーカップを振り回す。
おじさんは見ないようにしている。

姪っ子がティーカップを手放した。
カップはおじさんの足を掠めて落ちた。

「すみません」
僕がおじさんに謝ってカップを拾う。
おじさんは気にしないフリをしている。
僕は冷や冷やもんだ。


機内アナウンスが流れた。
『乱気流です。乗務員は着席して下さい』

(えっ!?乱気流!?)
数年前の記憶が甦る。
だが少し揺れただけで、急降下などはしなかった。
良かった良かった。


少しうウトウトしてきた。
酔いが回ってきたかな?

ラッシュアワー3を観ていたが、寝たり起きたりしてる内にいつの間にかエンディングになっていた。
ちょっと気分を変えようと、ヘッドホンを外した。

その時だった。
耳鳴りがした。
耳鳴りで音がよく聞こえない。

4時間以上ずっとヘッドホンをしていたからかと思ったが、どうも違うようだ。
音が聞こえなくなった後は、目が見えなくなってきた。
呼吸も苦しい。
(これは…酔い過ぎたかな?)

外気温は−40℃以下なのに、なんだか暑くなってきた。
汗をかいていたので、上着を脱ぐ。

そしたら今度は寒くなってきた。
上着を着ても、寒くて寒くて仕方ない。

…と思ってたら、また暑い。
いや、寒い。体温調整もうまく出来てないようだ。
暑いのか寒いのか分からないが、汗をかいている。
冷や汗だ。

目眩と耳鳴りで、吐き気を催してきた。
頭の中がグルグル回っている。
平行感覚も失われた。
いや、飛行機が少し傾いただけかもしれない。

脈拍も遅くなり弱々しい。
心臓が止まりそうだ。
(あれ?…これ、ヤバいんじゃないの…?)

(乗務員に水を頼もう…)
手元のボタンで呼べるが、目がよく見えない。
仕方なく立ち上がって、乗務員に水を貰いに歩いていった。
動かないと心臓が止まりそうだった。

「すみません、水を下さい…」
耳鳴りで自分の声も遠くに聞こえる。
乗務員が水を注いでる間も、視界が真っ暗になっていく。
(血圧が低くなってて、頭に血が来てないんだな…)
それでも、乗務員の名がムックさんであることは覚えた。

水を貰って自分の席に戻るとき、通路に人が立っていた。
僕が水を持っているのを見てどいてくれたが、僕は目の前が真っ暗になり動けなくなった。
今にも気を失いそうだ。
もし気を失ったら、二度と目覚めないかもしれない。

(ヤバいヤバい、今倒れたら水をぶちまける…)
僕は歩けない。
通路に立っていたおじさんは、せっかくよけたのに通っていかない僕を不思議そうに見ている。

数秒の後、僕は一歩一進み始めた。
なんとか自分の席にもどり、水を飲み干す。
だが、まだ水が足りない。

「お兄ちゃんどうしたの?顔が真っ白だよ」
ちょうど妹が話し掛けてきたので、水を注文してもらう。
「手元のボタンで乗務員呼べるよ」
「うん…分かってる…」

水を2杯飲んだが、それでもまだ足りない。
姪っ子の水も貰って飲んだ。
それでようやく脈が回復してきた。
視界が開け、音も聞こえてきた。

飲んだのはビール350ml缶の半分と、日本酒180ml。
ちょっと量を飲み過ぎたが、気圧が低くなっているせいもあるだろう。

視界が回復した後は、液晶テレビでソリティアや上海のゲームをクリアした。
頭も回るようになったし、これならもう大丈夫だ。


『乗客の皆様、当便は間もなくホーチミンに到着いたします』

出発から約7時間、機体が高度を下げ、旋回する。
窓の下にはベトナム随一の商業都市ホーチミンの、煌びやかな夜景が広がっている。

   〜続く〜
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2008年02月05日

ベトナム編1 〜ベトナムって〜

先に言っておこう。
僕はベトナムが苦手だ。

何が苦手かって、ベトナム料理が苦手なのだ。
あの、香草を使った料理が好きではない。
生春巻なんか、包んだ皮の下にエビが透けて見えている。
僕はエビが苦手なので、生春巻にも魅力は感じない。

ふんだんなエビと香草。
それらを、タイで言うところのナンプラー、ベトナムではヌックマムで味付けするわけだ。
僕は魚醤の生臭さがとても苦手だ。
僕にはベトナム料理は無理だろう。


以前、家族がベトナムへ旅行した。
あ、僕以外ね。

妹がベトナムへ留学して、そのままベトナムで働いて暮らしていたので、両親が会いに行ったのだ。

家族が日本へ戻ってくると、自宅でもベトナム料理を作ってみた。
まぁ、有名なベトナムの麺料理『フォー』だ。
フォーと、皿にどっさり盛られた香草が食卓に並ぶ。
香草をフォーに入れて食べるのだが、僕は香草の匂いが苦手なので、なるべくフォーに入れないようにした。

「ベトナムのお店ではテーブルの上にパクチーがいっぱい置いてあって、みんなたくさん入れて食べてるんだから」
ベトナムへ旅行してベトナム贔屓になった母が言う。
「うん」
僕は返事だけして、香草を食べなかった。

「お兄ちゃん、いっぱいあるからどんどん食べて」
妹にも香草を勧められる。
「うん」
久しぶりの一家揃っての食卓だ。
ここで香草が嫌いだとわめいて場の雰囲気を悪くするのもなんなので、少しばかり食べた。

…不味かった…。
フォーも味気なかった。
食事を終えて寝る時も、香草の匂いが漂ってくるような気がした。


次の日。
夏場で暑かったのだが、どうも違和感を感じた。
やっぱり香草の匂いが漂ってくるのだ。
気のせいではない。

どこから?
食卓には香草はもうないし、匂いが漂ってくるのは自分の部屋だ。

(まさか!?)
僕は服の匂いを嗅いでみた。

香草の匂いは、僕の服からしていた。
昨夜は風呂に入ったし、着替えもした。
つまり、香草の匂いは僕の身体の中から発している。

暑くて汗をかくと、汗に香草の成分が含まれているのか、香草の匂いがする。
夏の最中、僕は汗をかきながら一日中、逃れられない香草の匂いに苦しんだ。


そんな思い出で、僕のベトナムのイメージは出来上がっている。
良いイメージのはずがない。
出来ればベトナムなんかには行きたくない。


以前、ベトナムに住んでいる妹から電話があった。
「お兄ちゃん、ベトナムにいつ来るの?来週?」

なんでも、『僕がベトナムに行きたがっている』というお告げが、占いで出たそうだ。
だが、仕事もあったし、急に行けるはずもない。
「ゴメン、行けないや」
前々から、僕もベトナムへ行ってみるよう家族から勧められていたのだが、ベトナムに行く気なんか僕にはさらさらないのだ。


月日は流れ、妹がベトナム在住のカンボジア人と結婚して日本に戻り、僕に姪っ子が出来た。
妹夫婦は、僕と両親と一緒に日本に住んでいたが、義弟の母親にはまだ孫の顔を見せていない。
姪も1歳になったし、義弟の母に会わせにベトナムへ連れていっても大丈夫だろう。


「海外は一度は行って見ておいた方がいい」

僕自身そういう考えではあった。
この機に乗じて僕もとうとうベトナムへ行くことにした。
海外に行くなら韓国や台湾辺りが妥当かと思っていたが、まさか初の海外旅行先が苦手なベトナムになるとは…。


1月25日昼過ぎ。
僕は、両親と妹夫婦と姪っ子と6人で、成田空港へと向かった。

   〜続く〜
ニックネーム SNJ at 01:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 旅は靴擦れ